7歳 ダンジョン制覇後③


グリフは日に日に成長していく。

餌の他に私のマナを欲しがるようになり、ここ数日で一気に成長速度が早まった。


産まれた頃と比べると体格も変化し始め、楽しそうに部屋の中を歩きまわったり、仰向けで寝転がったり、私にじゃれ合ったりしてくるようになった。


「フォークさん、グリフは冒険者ギルドで登録とか必要ですか?」


「そうですね。グリフの場合は普通の獣魔と違いますのでギルドに登録しておいた方がなにかと安全かもしれません。伝説の魔物の部類になりますから陛下や閣下にもお伝えした方がよろしいかと」


「わかりました。閣下に会いに行くタイミングでギルドに登録も一緒に行います」


数日後、閣下から登城の許可が出たため、家臣団とグリフを連れて、閣下の元へ向かう。政務室にフォークさんとグリフを連れて行く。


グリフを見て驚きの表情を見せる閣下。


「これ、リゼル坊•••どうしてグリフィンの赤子を連れておる、説明をせい」


これまでの事情を閣下に話す。


「ふむ、初代様の仲間の卵か•••伝記にはモンスターが数体出ていたが事実であったか。グリフィンは伝説の魔物だ、成長したら国をも滅ぼす力を持つと言われているのだ。きちんと管理はできるのか?」


「はい、以前に頂いた初代様のイヤリングでグリフからの意志はなんとなくですが伝わってきます。まだお腹が空いた程度の意思ですが、将来は話せるようになる予感がします。グリフは頭が良いですから私の言葉を理解していると思います」


「うむ、それなら良いがのぉ。リゼル坊ならドラゴンも仲間にしそうじゃな。

それでダンジョンで手に入れた初代様の本には聖剣が書かれておったか。儂の手元にある手記にも聖剣の記述は書かれておった。実際は消失しておったのか•••聖剣の情報が入ったらリゼル坊に伝えればよいのじゃな?」


「はい、お願いします。初代様の本に書かれていますので何かに使う可能性が考えられます。それと今日は陛下へ献上したい物がございます。ミノタウロス討伐の証として首級をお持ちしました。こちらを是非にと思いまして」


「それは凄いの〜ミノタウロスも伝説の魔獣と言われておる。やれやれ、日に2度も伝説の魔獣を見ることになるとはのぉ。陛下も喜ぶであろう。ミノタウロスの剥製を飾ってある王家など他所にはないからな。ありがたく受け取っておくぞ。そのうち陛下から褒美の件で連絡が行くと思う、グリフにも会わせて欲しいと言いそうだが•••本当に可愛いもんじゃなぁ赤子のグリフィンは」


閣下は目を細めてグリフを見つめる。


グリフの可愛さには閣下も負けたらしい。


王城を後にして冒険者ギルドへと向かう。


我々を見かける冒険者達がいつものように騒つくが今日のざわつき方が黄色い声援だ。

原因は私が抱きしめているグリフの存在だ。お人形のようにお利口にしているグリフの可愛さにいつもはむさい顔をしている男たちがデレデレである。


「ようこそ冒険者ギルドへ、リゼル様、セージ・スプリングの皆様。受付のミリアが担当いたします•••失礼ですが何ですかそのリゼル様が抱きしめている可愛い生物は•••!?」


「こんにちわ、ミリアさん。今日はその可愛いグリフの獣魔登録をしに来ました。お願いできますか?お金はかかっても問題ありません」


「”ミャー”」


「ミャー•••グリフちゃんの登録ですね。私が担当いたします。書類と獣魔ベルトを急いで取ってきます!!少々お待ちください」


他のギルドスタッフの顔もとろけ始めてきた。今日のギルドは幸せなオーラに包まれている。


ミリアさんが駆け足で戻って来る。


「お待たせいたしました。こちらの水晶にリゼル様の右手をかざして下さい。次にグリフちゃんを水晶に触らせて下さい」


私は右手をかざし、グリフは嫌がらずに水晶に触れる。水晶が薄く光る。


「こちらのベルトをグリアちゃんに付けてください。ベルトは体に合った大きさに変化します。これで登録は完了です。規則を書いてある冊子をお渡しします」


「ありがとうございます。これで安心できます」


「あの•••リゼル様、お願いがあるのですが一度グリフちゃんを抱っこしてもよろしいですか•••?」


グリフを抱きしめたミリアさんがとても幸せそうな顔をしていた。


王都での用事はこれで終了。


クリムロード領へ帰省しよう。

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