7歳 ダンジョン攻略⑦


私は宝箱を開ける。


中には本と卵と魔法陣が書かれている布が入っている。


本を開き読む。


「ここは私が作った賢者用のダンジョンである。


この本を読んでいるということはミノタウロスを倒したため、この空間に転移されるようになっている。


この本では一緒に中にある卵についてから書いていこう。


この卵は、私の友人だったモンスターの子供だ。君のマナを与え続けて欲しい。一定量のマナが供給されると孵化される魔法を使っている。私の友人はもしかしたら、まだこの世界で生きているかもしれない。彼の名前はフィン、出会ったらよろしく伝えてくれ。君の旅に私の友人の子供を連れて行って欲しい、フィンと私の願いだ。


次に勇者の能力について書き記す。


勇者の能力は「封印魔法」である。もし勇者が使い方を理解していない場合について説明する。


「封印魔法」は特殊な条件をクリアしなければ使えることは出来ない。


私達が使えるようになったのは”聖剣”を手に入れてからだ。しかし、聖剣は現在どこにあるかわからない。最後の魔族を封印した際に封印魔法と共に消失した。あくまで私達が使えるようになった方法の説明だ。君達が魔族の封印に困っているならば聖剣を探してみるのも良いだろう。


最後に布についてだ。


魔法陣が書いてある布はアイテムボックスにしまうことで元の場所へ戻ることができる。この布が将来の君に役立つこととなるはずだ。ちなみにこの空間は君が元の場所に戻ると消滅する。将来の君へのヒントだ。


君と勇者に幸多からんことを祈る」


「初代様ありがとうございます」


フィンはまだ生きているのかな?どんなモンスターの卵なんだろう?戻ってからマナを与えなきゃ。聖剣の情報も集めないと…やることいっぱいあるな。アイテムボックスに布をしまい込む


「まずは皆のもとへ戻ろう、数分だけどきっと心配してるはずだ」


「みんな、ただいまー」


「リゼル〜大丈夫だったの?すぐに帰ってきてくれてよかった…」


ディーが半泣きになりながら抱きついてきた。


「リゼル様、ご無事で。初代賢者様の試練だったのですか?」


オリビアが興味津々でやってくる。彼女にとっては初代賢者様は崇拝に近い。


「以前とは違い、すぐに戻ってきたということは戦闘はなかったのですか?」


「リゼル様、相変わらずいきなりいなくなるから焦っちまったよ」


前回の私が転送されたことを経験している2人は早く戻ったので比較的安心している。


「リゼル様…怪我はしてないですか?大丈夫ですか?」


クリスには説明していなかったから何が起きたかわかってない。今度説明するからな!


「うん、予想通り初代様の転送だったよ。モンスターがいたわけじゃないから怪我とかはないよ。初代様から卵を貰ったよ」


「リゼル、これは何の卵なの?」


落ち着いたディーが私から離れて卵に興味を持ち始めた。


「わかんない。初代様と一緒に旅をしたモンスターが残した卵みたいだよ。一体なんのモンスターなんだろうね?」


みんなが卵を興味津々で見始める。


「そう言えば、ここの宝箱は何だったの?」


「こちらです、リゼル様。見たことのない文字なので賢者様の書の可能性が高いかと」


「え!?本当?!?」


日本語だ…ここにも初代様の本があるなんて。大変な思いしてダンジョン踏破してよかった。サラッと読んでみたら魔法の使い方についてだ。家に戻ったらちゃんと読み込もう。


「初代賢者様の本に間違いないよ。今日は2冊も手に入ったし、ダンジョンも踏破できたね!帰ってお祝いしよう!」


転移装置で地上に戻る。


地上は目をそむけたいようなまぶしい陽光が我々を迎えてくれた。



”私の物語に魔物の卵が加わった”

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る