7歳 王都生活③

穏やかに日々を過ごしていく。ラキル兄さんが最近よく屋敷に遊びに来るようになった。クリスとよく修行をしている。


その光景を見ていると自分も魔法の修行をしたい…ストレス発散に魔法を全力で撃ちたい…


「フォークさん、王都の近くにダンジョンはないですか?」


「ダンジョンですか?わざわざ危険な場所に行かなくてもよろしいかと」


「壊れないダンジョンだと全力で魔法を撃てるので訓練が出来るんですよ」


「リゼル様の全力の魔法ですか…ダンジョンですと王都の近くにあるかと思います。流石にダンジョンは私の管轄外ですので冒険者ギルドに聞きに行かせましょうか?」


「王都の冒険者ギルドは行ったことがないので行ってきます!」


「かしこまりました。リード殿とロンザ殿をお連れ下さい、くれぐれも一人で行動はなされないで下さい」


冒険者ギルドへ家臣団+ディーで移動をする。


「王都の冒険者ギルドに行くのは初めてだから楽しみだね。お決まりに絡まられるのかな?」


「ディー様がいらっしゃいますから可能性はございますね」


「人を厄介者扱いしないでよ〜 わたしからは何もしてないわよ〜ちゃんとフードも被ってるし大丈夫よね?」


「若様に絡むやつがいたら俺が殴りに行くからよ!」


「リゼル様は私が守ります!」


王都の商業地域にある冒険者ギルドへと到着する。外にいても騒がしい音が聞こえてくる。


「王都の冒険者ギルドは大きいね。中にはいるのに緊張してきたよ」


「王都では護衛の依頼や魔物の駆除など仕事は多岐にわたるためか、冒険者の数は多いです。そのためギルドの施設も大きくなります。」


「なるほどね、それでこんなに大きいのか、中に入るのに緊張するね」


「若様はゴブリン・キングを倒してるんだから並大抵の冒険者じゃ手も足も出ませんって」


「リゼル様はゴブリン・キングを倒してるのですか!?!?」


「クリスそうよ、リゼルは一人で倒しちゃったんだから」


「えぇぇぇぇぇ!?」


スイングドアを開けてギルドの中へ入っていく。


酒を飲んでいる者、雑談している者、依頼を見ている者がこちらを注視しだす。こちらは大人2人女性1人子供2人だから見られるのは仕方がない。酔っぱらいに絡まれなければ良いなと思い受付へと歩き出す。


「貴族の坊っちゃんが冒険者ギルドに何のようだ〜依頼でも持ってきてくれたか?ガハハ」


「守ってくれるパパはここにはいないぞ〜」


「定番の煽りだから無視して進もうね、ほらロンザ絡まないの!」


喧嘩っ早いロンザを止めようとした矢先…


「リゼル様はお前たちよりも強いんだぞ!!守ってもらう必要なんてない!!」


「え…っとクリス!?」


予想外のクリスが絡んできた冒険者に食って掛かる。


「何だ、このチビ。いっちょ前に槍持ちやがって」


「おい、リゼルって言ってなかったか?噂の賢者貴族じゃねーのか?」


「なんだよ、賢者貴族って?」


「バカはしらねーのか?」


「バカとはなんだ、このアホ!」


関係ない喧嘩が始まる…それを無視して受付へと向かう。


「クリス、ロンザが我慢してるのに君が喧嘩したら駄目だよ。私のことを思ってくれるのは嬉しいけど次は気をつけてね」


「申し訳有りませんリゼル様…つい馬鹿にされて腹が立ちました。これじゃ従士失格です…」


「凹まなくても良いからね。これくらいで怒ることはないから安心してね」


受付へ到着する。可愛らしい女性である。


「ようこそ冒険者ギルドへ。本日の御用はご依頼ですか? 受付のミリアが担当いたします」


「依頼ではなく王都近くのダンジョンについて教えてほしくて今日は伺いました」


「申し訳有りません、ギルド会員でなければダンジョンについてはお教えできない規則になっております」


「ギルドカードならあります。はい、これです」


名前が書かれている銅製のギルドカードをミリアさんに渡す。


「え?ご確認いたしますので少々お待ち下さい」ギルドカードを持って奥へ調べに行った。先程の冒険者たちはまだ小競り合いをしている。


「お待たせしましたリゼル様、ご確認が出来ました。クリムロード領冒険者ギルドからランクアップの指示が来ておりましたのでこちらのギルドカードと交換になります。おめでとうございます、特例でC級ランクへ昇格いたします」


「C級!?私はFランクですよ?C級に昇格って何があったんですか?」


「リゼル様は過去に単独でゴブリン・キングを退治されております。冒険者ギルドへの多大なる御貢献をされておりますのでローゼンギルド長より王国の各ギルドへ昇格の通達がされております」


「はぁ…その件はわかりました、昇格はありがたく受け取ります。ちなみにC級冒険者は何か規則とかあるのですか?」


「ルールは変わりません。C級冒険者は一流冒険者の証ですので指名依頼が増えるくらいです。B級から上位のランク昇格には試験が必要となります」


「では、指名依頼を受ける暇もないので私への依頼は全て断っておいて下さい。次にここにいる従士のクリスの冒険者登録をお願いします」


「かしこまりました、別のスタッフを呼びますのでクリス様の登録はあちらでお願いします。ダンジョンについての説明を致します。王都近郊のダンジョンは3つございます。低級者用と中級者用、未突破ダンジョンの3種類となっております」


「ダンジョンに入るのに条件とかありますか?」


「中級者用ダンジョンに関しましてはパーティーの場合はDランク以上、個人で挑む場合はCランク以上が条件となっております。皆様でパーティー登録されませんか?」


「そうだね、パーティー登録しよう!」


「では、パーティーのお名前とリーダーをお決め下さい」


「賢者と愉快な仲間達」


「温泉愛好会」


「リゼル一家」


「敬愛するリゼル様とそれを守る家臣団」


「ちょっと、まともなネーミングセンスないわけ!?!?」


誰もまともなネーミングセンスを持っていない…困った…

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