7歳 王都生活②

2日目の朝、クリスと馬車に乗り学校へと向かう。


座席は自由。派閥で座る人たち、一人で座る人など自由である。クリスは自然と私の隣に座る。学友たちが寮生活について話しかけてくる。話題は私の屋敷と寮生活についての愚痴がメインになる。貴族の子息とは言え、親の元を離れたばかりで何かと不自由だと文句が出る、私が屋敷生活なのが羨ましいと言う。こればかりはどうしようもないので苦笑いで返答する。


授業が始まる。


私としては色々と新鮮なので真面目に授業に取り組む。特にテストなどはないが評価はされる、将来に繋がるため皆も真面目に授業を受ける。今日のディベート課題は、”貴族とは?”という題材。私のように当代の爵位持ちがいるためか質問コーナーに近くはなるが至って真剣で面白い。それぞれ親の爵位の違いがあるため目線が違う、1時間ほどの議論があっという間に終わる。よく考えられてる授業だと改めて思う。この王国の貴族はこうやって成長していくのだと。


3日目


今日は武術と医術の授業が中心となる。医術は民間治療に近いものを習う、自分が万が一怪我をした場合、領民が怪我をした場合に備えて身近にある薬草を使って治療できる範囲を教えられた。目的は多々ある良い授業だと思う。


武術の時間。低学年は体術を中心に授業が進められる。今日は軽い運動と受け身のとり方、体育に似ている。貴族の子息は幼い頃から護身術は習うためかワイワイ楽しく学ぶ。


4日目


歴史の授業。詰め込み式ではなく思案式の授業。なぜ?を皆に意見を言わせる、それぞれの考えをに口に出させる、発表の苦手な子も頑張っている。それぞれの視点での意見は面白い、自分の意見以外を聞くことはためになる。


5日目


マナーとダンスの授業。私はダンスが苦手だ…下手ではない…苦手なのだ…この学校は土の日と太陽の日が休み。金の日にダンスとマナーを行うのは休みの日に晩餐会やお茶会に行くことが多い生活のため、学習と復習をするためだと後で教えてもらった、理にかなっている。


初日はオリエンテーションで授業はなかったが一週間の授業のカリキュラムである。ちなみにダンスの授業でクリスは法衣貴族の子女からのお誘いが多かった。


土の日、今日は休校日。ディーが王都を色々と見てみたいということで、王都出身のリードとロンザが観光スポットに連れて行ってくれた。


領都と違って本当に人が多い、私やディーのことを知らない人が多いので気が楽である。治安が良いため買い食いをしたり、お茶をしたり、買い物をしたりと満喫できた。クリスは相変わらずディーにいじられていた…本の虫である私とリードは日を改めて王都の図書館へ行く約束をした。


太陽の日、領地へ赴く。開墾作業を前回に続き行う。公衆浴場が大雑把ではあるが建てられていた。村の温泉人気は日に日に高まっているらしい、非常に良いことである。村に目安箱を設置する、良いアイデアが採用されたら金一封を出すことにする。代官達と打ち合わせをして屋敷に戻る。


屋敷の食事はなるべく家臣団全員で取るようにしている。3人で食べるのも味気ないし、フォークさんとリードやロンザの意見交換をするためでもある。イワンも近くに控えているので全員に報・連・相で効率化を図るためだ。


今日は朝出かける前にカール料理長にハンバーグの作り方を教えた。王都や領都にハンバーグに似た食べ物はなかった。皆が美味しいと言ってくれればアイデアの一つとして使うためだ。


「カール、これ何!?すごく美味しいんだけど!?」


「カールさん、すごく美味しいです!!」


「リゼル様から教えてもらった調理法です。私も試食しましたが非常に美味しいですね、今日の牛肉はリゼル様の領地のものを使っております」


「焼いた肉と違って歯ごたえないけど、肉の旨味がすごいな!」


「初めて食べる料理ですね、柔らかくて食べやすい。とても興味深い」


「リゼル様、この料理のレシピは販売なさるご予定ですか? 権利が認められると思いますが」


「みんなの反応を見ると上々だね。この料理を村の名物にしようかと思っているんだ。すぐに真似はできる料理だけどアレンジが色々あるからね、将来的には領地の肉を使う予定ね。村で育てた作物や畜産だけで作った料理で売り出そうかと思う。しばらく食べたことない料理が出ると思うから意見を言ってね」


ハンバーグは万国共通である。美味しいものは遠くでも食べに行く…グルメな村大作戦だ!


(リゼルは知らない…近い未来、ハンバーグ師匠と呼ばれることを)



”私の物語にハンバーグ師匠と呼ばれることを”

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