7歳 王都生活①


貴族学校へ入学した。華やかな入学式を終えクラスへ移動する。


2年前に顔合わせをしているおかげでクラスでイジメなど特にない。選民思想もなくテンプレ的展開がないためか拍子抜けである。敷いて言えば、私の従士になったクリスが法衣貴族の子供や跡継ぎ候補ではない同級生から尊敬の眼差しで見られている。7歳から就職活動とはこの王国の貴族はある意味残酷である、能力主義なのだ…。そのためか授業は現実的で合理的である。


小学校をイメージしていたが読み書き計算は貴族であれば家で習うものということで最低限しか習わない。1年生からディベート形式の授業で学んでいく、年々内容が高度になり高学年では国の政策などが題材となる。それと貴族らしくマナーやダンスは勿論のこと、身を守るための武術・医術の授業があることだ。


初日は寮の説明などもあるため、オリエンテーション中心となる。私とクリスは寮生活ではないため、そのまま屋敷へと戻る。


「リゼル、クリス。実際学校行ってみてどう?」


「ディー、今日は自己紹介とか学校の説明とか中心だから特に何もないよ。クリスがモテてたことかな?」


「リゼル様、あれはモテてるわけではありません!皆、リゼル様にお仕えしたいだけです。私ではなくリゼル様がおモテになられてるんです!」


「女性がクリスを将来の旦那候補として狙ってると思うんだけどなか〜」


「そうねぇ〜リゼルは別としてクリスも可愛らしい顔をしてるしね。将来性もあるし、狙い目なんじゃないの?」


「ディー様。リゼル様がご結婚するまで従士として、私は結婚はしません!」


「そんなルールはないよ。クリスが婚約するのは歓迎だよ、それに私は結婚は当分先の予定だからね」


「リゼル様もディー様もあまり私をからかわないで下さいよ…従士として覚えることも多いんですから」


「ごめん、ごめん」 テヘペロするディー。


「午前で授業が終わるし、我々は寮ではなく屋敷に住んでいるから王都で色々と行動できるね。ディーとクリスはやりたいこと考えてね」


「フォークさん、私は王都で何をすれば良いですか?」


「リゼル様には領地経営の仕方をお教えします。授業で習うのはまだ先ですが村人は待てませんから、代官からの書類がこちらへ届くようになっております。早速本日から開始しましょう」


「わかりました、執務以外で私がすることは…」


「そうですね…これと言ってございません。定期的に領地へ赴いてもらうことくらいでしょうか? 他には、閣下からの呼び出し、他の貴族のパーティーやお茶会のお誘いくらいでしょうか?」


「できればパーティーやお茶会は断って下さい。正直、苦手です。頼まれごとをされる場合、逃げにくいですから」


「かしこまりました。貴族のやりとりは独特ですから、はっきり言われるのは閣下と辺境伯様くらいです。その辺境伯様なのですが近々、王都にこられるそうで、その際にリゼル様とお会いしたいと伝言がございます。手紙のやり取りではないので公の場ではない会談と言ったところでしょう。寄親になられる方なのでこちらはお断りできません」


「うん、辺境伯様は大丈夫。父様からも聞かされてるから。それではフォーク先生、授業をよろしくおねがいします!」


「リゼル様、悪ノリをしすぎでございます。本日の書類はこちらになります」

書斎の机に山が見える…ディーは逃げ出した…




”私の物語に書類との格闘が始まる”


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