5歳 お披露目会⑧
現代知識のフル活用を企む。
と言っても教養番組で覚えている範囲だが、実験しても良いということだし…
「そうですね。思いつくのは混合農業を試してみようと思います。」
「混合農業とはどういうものだ?」宰相閣下が話に食いついた。
「現在のクリムロード領は二毛作が基本になっています。家畜を育てることまでしていません。これを解消してみようかと思います。
わかりやすく言うと、食料作物と飼料作物と家畜を混ぜて生産するイメージです。現在は一箇所の農地を夏と冬にわけて2回種まきをしています。
これを農地を四ヶ所に分けて、1年ごとに、①冬に小麦を栽培→②根菜類を栽培→③夏に大麦を栽培→④牧草を栽培します。 毎年栽培する農地を横にスライドさせてローテーションしていきます。
これで畑が弱くならず家畜も育てることができる計算になります。
家畜の排泄物で堆肥も作ることで栄養価の高い土壌を年々作ります。牧草の他に大麦や小麦を家畜に食べさせれば肉もきっと美味しくなるはずです。不作や雨不足のときの対策にも繋がりますし、複数の作物を作ることで今より品質の向上や生産量やが上がるはずだと考えました。
あとは父様にお願いしてあるビートの精製がうまく行けば王国内の農業がより活性化されると思われます。」
「なるほど、二毛作よりも成功すれば収穫量が上がりそうじゃの、さすれば税収も上がる…リゼルよ、これはすぐに実験してみなさい。結果が出るまでに4年は最低かかる、失敗したときのことも考えて倍の8年か…貴族学校を卒業するまでリゼルの領内は無税にする、農民への補助も打ち出す、農務省から優秀な役人と学者も出向させよう。これは国家プロジェクトじゃ、思うようにやってみるが良い。良いですね陛下??」
「俺は文句はいわんさ、来たものにサインを書くのが仕事だからな。宰相が悪い顔をしてるときはだいたい成功するって嫌でも理解してる、ククク。リゼルよ、ドラキュラに血を吸われ始めたら逃げられないからな覚悟しとけよ」
非常に悪そうな顔をしているこの王国の2トップ。
無税で補助金を出してくれるなら私としてもありがたい。成功すれば収益が上がるし、特産品も作り出せる。
きっと、私の顔も悪い顔をしてるんだろうな…
「はい、ありがとうございます。早速、領地へ戻ったら計画を立ててみます。陞爵に見合った良い結果を出せるよう奮起し努力致します」
「あとはそうだな、男爵になったからには家名を決めねばならぬがそれは成人してからでよかろう。ラウル卿が悲しんでしまうしな。二代目賢者となったことを広く認知させるためには…与える村の名前を”リゼル村”とせよ、これは王命である。拒否はできんぞ、混合農業を成功させよ、ははははは」
今日一番の悪い笑顔をする国王であった
”私の物語にリゼル村開拓が加わる”
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