5歳 お披露目会⑨
控室に全員で戻ってきた。
母様に事の経緯を話し驚かせた。独立が早いと悲しんではいたが、陞爵することは喜んでいた。
「リゼル様、あらためましてリード・ローゼフ、これからは家臣となり微力ながらお力添えさせていただく所存です。」
「リゼル様、俺はリードと違って言葉遣いは悪いけど家臣として精一杯頑張るからよ」
「えーなんか二人共楽しそうでいいなぁ〜わたしもリゼルのあと追っかけるからね〜」
「3人共ありがとう。これからも変わらずよろしくね、まだ5歳だから色々とお願いね」
夕方の晩餐会
エルフの里からの外交官ということで貴族への顔見世が目的のためディーも参加を義務付けられた。本人は面倒くさそうにしていたけど…
晩餐会は普段とは違い子供が主役ということで立食パーティーにしている。
派閥ごとに別れているのは子供でも貴族の世界であることを感じる。寄親が辺境伯の5歳児は私とクリスだけなので久しぶりの再会に話に花が咲く。クリスはスタンロード卿に毎日鍛えられて大変だとボヤいている。私が今日、男爵になったことで修行がもっと激しくなると凹んでいる。ごめん、クリス…心のなかで謝る
公爵派の法衣貴族の子供たちが挨拶にやってくる。父様は元々宮廷魔術師をしていたので法衣貴族達とは比較的仲が良い。私が男爵になったことで自分の子供たちの就職先としての認識もあるのだろう。
ある程度の挨拶を終えたところで、マイン侯爵家マリーヌ嬢がやってきた。
「昨日ぶりですわね、リゼル卿。この度は陞爵おめでとうございます。同い年で爵位を叙爵される場面を見るとは思いませんでしたわ。2年後の入学が楽しみで仕方ありませんの。 実は昨日の魔法が気になって仕方がないのですがあれはどんな魔法ですの?」
「ありがとうございます。マリーヌ嬢こそ将来の宮廷魔術師候補として名を挙げられたではないですか、とても素晴らしい栄誉だと思います。 私の方こそ入学してから仲良くさせて下さい。 昨日の魔法ですか…あれは賢者の魔法で普通の魔法とは違うのです。そのため今の私には説明が非常に難しいのです。ご期待に答えられず申し訳ない」
{格上の侯爵家のご令嬢だから嫌味でも言われると思ったら、魔法が気になるのか…精霊魔法はまだ秘密にしておきたい)
「賢者の魔法ですって♪ そんな魔法があるのですね、私の知らない魔法…詳しくお話をお聞かせ下さい。わたし魔法が大好きなんです、知らない魔法があれば知りたくなってしまうんです。 できるだけ早く賢者様の魔法を知りたいの…」
「2年後入学すればお話する機会は増えると思います、そのころにはきっと説明できるように私も上達してることでしょう。今は晩餐会の途中ですしね」
「そうですわね、私としたことが魔法になるとつい夢中になってしまいまして寄子の子女もいるのを忘れてましたわ。それでは2年後の学校でお会いしましょうリゼル卿」
(なんとか精霊魔法のことは誤魔化せた。社交の場は庶民の元日本人だとまだ慣れない、早く克服しないと…)
他の貴族やその子供たちの注目は、エルフ族のディーに向いていた。
お陰で挨拶祭りは比較的穏やかで済み、無事にお披露目会を終えることとなった。
”私の物語に王城晩餐会デビューが加わる”
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