5歳 お披露目会③

ホクホク顔で店を出て、ディーとロンザを探す。


「この辺をウロウロしてるはずなんだけどね」


「やめてって、しつこいわよ、あんたたち!」


ディーの声が奥の通りから聞こえる、急いで声の方向へ向かう。


ディーが男たちに絡まれてる。


「あれはナンパかな?助けに行かなきゃ」


そこにいきなり貴族の子女が従者と近寄る。


「ちょっと、あなた達、女性に何をしてるの!?その手を離しなさい!」


「なんだ、おまえ。貴族のガキが邪魔すんじゃねーよ。ちびは早く屋敷にでも帰ってろ」


「あなた達、淑女にたいして失礼な言葉遣いね。嫌がる女性にしつこくする野蛮人のあなた達こそ、この王都には不要よ!」


「そもそもチビ、おまえはこいつの知り合いでも何でもないだろ?話に入ってくるんじゃねーよ」


睨み合う男たちと貴族の子女


「すみません、そこにいる女性は我々の仲間です。戻っておいでディー」


「あんた達、離しなさいよ。リゼル遅いから変なやつにナンパされたじゃない!?そもそも酒臭い男はタイプじゃないのよ、出直してらっしゃい!ブ男ちゃん」


「なんだと、この女!ちょっとばかり可愛い顔してるからっていい気に乗るなよ!」


酔っぱらい達がディーに襲いかかろうとする。


「”ノーム” 転ばせて ”ウンディーネ” 男たちの顔に水をかけて」


酔っ払い達が盛大に転び、頭から水をかぶる。


「なんだ、何をしやがった?」 のたうち回る男たち


「お!なんだなんだ、リゼル坊楽しそうなことしてるじゃねぇーか。俺も仲間に加えろよ!おいおい、おまえら魔法使い相手に喧嘩を挑むのか?勇気あるなぁ、相手してやるよ、かかってこいよ!」 細い小路からロンザがやってきて啖呵を切る。


「魔法使いかよ、おまえら帰るぞ…」すごすごと逃げ出す男たち。


口をポカーンと開けている貴族令嬢。


「彼女は私の連れです、助けてもらってありがとうございました。よければ家名とお名前を教えていただけないでしょうか?」


「お嬢ちゃん、声をかけてくれて、ありがとうね」

丁寧な対応をする私といつも通りのフランクなディー。


「あら、丁寧な対応ありがとうございます、名を名乗るほどのことはいたしておりませんわ。それにあなた、貴族にたいしてその感謝の仕方は不敬にあたりますわよ」


両手でスカートの裾を軽く持ち上げて対応してくれる令嬢。


「あら、ごめんなさい。私も一応、貴族なの。エルフ族の外交官をしているディー、この国では法衣貴族扱いになってるはずよ、人族の風習わからなくてごめんなさいね」


マントからフードを外してディーがエルフ特有の耳を見せる。


「あなたはエ・・・エルフ族なの!?これは失礼いたしました。わたくしも名乗らねば失礼にあたりますね。マイン侯爵家長女マリーヌと申します。あと先程の魔法は一体なんですの?」


ディーに動揺しながら、私に質問をしてくる。


相手が貴族、しかも格上の侯爵家の令嬢である、名乗り上げたのでこちらも名乗りあげる。


「私はクリムロード伯爵家次男リゼルと申します。こちらはわたしの連れのエルフ族のディー、後ろの2人がリード、ロンザです。この度はディーを助けていだき改めてお礼を申し上げます。後ほど、父から感謝の品を贈らせていただきます。これから用事がありますので失礼致します。」


3人に目で合図を送り、その場から急いで立ち去る。


精霊魔法のことを聞かれると説明に非常に困る、まだ機密事項になっている。


そそくさとここは逃げるが勝ちだ。


こんなわかりやすいテンプレに出会うなんて…


”私の物語に、テンプレは存在すると明記された”

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