リードとロンザ③
クリムロード屋敷内にて
「はじめまして、ラウル・クリムロード卿。
我々2人、クザン・アラビス閣下より魔術師団からリゼル卿の指導担当で派遣されましたリード・ローゼフとロンザと申します。
以後よろしくお願い申し上げます。こちらが閣下からの書状でございます。」
「長旅ご苦労であった。これから息子の指導の方をよろしく頼む。閣下より先立って手紙のほうが来ている2人の部屋は用意してあるから、これからは気楽にしてほしい。これから会うとわかると思うが息子は少々特殊でな、くれぐれも内密に頼む。家内の者もこのことはわかっているから他では他言無用だ。」
「はい、閣下にも言われております。我が名にかけて機密は守ります。」
「うむ、セバスチャン。リゼルとディー殿を部屋に呼んでくれ、2人を紹介する。」
クリムロード卿と雑談を交えながら、神童のリゼル卿が来るのを待つ。
ロンザが大人しいから今のところは安心できる。
「父様、失礼します。リゼル呼ばれて来ました。」
そこには幼い美少年と細身の美女が立っている。
「エルフ族だと!?!?」
「なによ、いきなり失礼ね!あんた達だれよ!? せっかく、リゼルと修行が良いところまで来てたのに」
「父様、このお二人はどなたでしょうか?魔法使いとお目見えしますが」
「あ…はじめまして、リゼル・クリムロード卿。
我々は宰相閣下より派遣されましたリードとロンザと申します。それぞれ風魔法と土魔法の指導を致します。これから、貴族学校に入るまでの期間よろしくお願いします。」
「お!?噂のリゼル卿。俺はロンザだ、平民上がりの土魔法使い。口は悪いがよろしくな!」
「はい、リードさんとロンザさんですね。こちらこそよろしくお願いします。横にいるのはエルフ族のディー、閣下からの紹介で私に精霊魔法を教えてくれています。」
「私はディー、見ての通りのエルフよ。リゼルは私の教え子ね。あなた達、ドラキュラ閣下の部下なのよね?それなら私も敬いなさいよ、私たしか法衣貴族よ?」
「え?ディー、法衣貴族なの?聞いてないよ?」
「エルフ族との外交するのに、私がその貴族になってるはずよ。人族の資格はエルフには理解できないから。そもそもエルフ族は里から出ない者の方が多いから、私と数人くらいしか里を出ていないもん。」
「あ…あのディー殿、あらためて私はリード・ローゼフと横にいる口が悪いのがロンザです。今後はよろしくお願い致します。まさか法衣貴族だとは思いもよりませんでした。一つ質問があるのですが精霊魔法を教えていると先ほど口にしていたのですがリゼル卿は精霊魔法を使えるのでしょうか?そのことは閣下から何も聞かされていないので…」
「あら何も聞いてないの?リゼルは人族なのに精霊魔法が使えるわよ、それも将来有望ね。里のものより飲み込みも早いし精霊に愛されてるわ。信じないならあとで精霊魔法を見せてもらえば良いの。」
「ははは、お互いの挨拶は終わったかな?リゼルが精霊魔法を使えるは本当だ。私も初めてみたときは驚いたよ。ディー殿、これからこの2人もリゼルの指導に入る、まだ幼いリゼルだが無理しないように指導してほしい、よろしく頼む。」
「もぉ〜精霊魔法だけでリゼルは充分凄いのに。人族の魔法も覚えさせるわけ!?リゼルと一緒にいる時間が減るじゃないの!」
「やり方はあとで4人で話そう。今日は遠いところから2人が来てくれたことだ。ディー殿の好きな料理を用意するので、歓迎会を開こうではないか。リードとロンザは酒は飲めるんだろう?クリムロード産のワインは美味いぞ!」
「旨い酒があるなら文句はないぜ!口が悪いのは愛嬌ってことで勘弁してくれ。リゼル卿がすげーってことはわかったからよ。数日間酒断ちしてたから口が乾いて仕方ないんだ。ディーさん晩餐まで精霊魔法を見せてくれよ。エルフの魔法見るの初めてだからよ、ワクワクしてるんだ!」
「あんた口が悪いのに見る目はありそうね、ついておいでリゼルの凄さ見せつけてあげるから!」
「クリムロード卿、これはなかなか大変なことになりそうですね、胃が痛くなりそうです…」
「リード、このくらいで胃が痛くなってたら魔法使い失格だぞ!今の魔法騎士団の話でも聞かせてくれ」
(この夜の歓迎会は非常に賑やかであった)
”私の物語に2人の先生が増える”
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