Sir
「久しぶりだな、ラウル卿。遠いところわざわざ来てもらってすまない。君が噂のリゼル君かな?
はじめまして、私がクザン・アラビス公爵だ。悪い噂でドラキュラ閣下と言われているよ、ははは」
宰相閣下は、色白で身長も高く、見目も非常に若々しい。
これが父様のお師匠様で、この国の政治部門のトップの人か。
「はじめまして、私がラウル・クリムロード伯爵次男のリゼル・クリムロードです。今日は私の件でお招き頂き誠にありがとうございます。色々とご鞭撻のほどお願い致します。」
ここでクザン閣下が室内の人払いをする。
「ふむふむ、さすが神童と噂のリゼル君と言ったところか。ここからは師匠と弟子だ。ラウルよ、教会の大司祭殿はいかがであった?詳細の方を教えてくれたまえ。おっと、その前に風魔法で話が漏れないようにしておかねばな。どこに耳が有るかわからんからな」
「教会での鑑定結果はこのようになっております。やはり、法王様に合わせようと打診はされましたが…」
父様が鑑定結果を書いた用紙を渡す。
「うむ、この鑑定結果であれば囲い込みもしたくなるよのぉ。この能力が公になれば3歳にして見合い話が多数やってくるのぉ、他国からも来るやもしれん。どうだ?儂の養子にでもなるか?そうすれば守ってやれる範囲も広がるしのぉ」
「師匠!リゼルはクリムロード家の次男です。養子は師匠の頼みでもお断りします。兄のラキルへの見合い話も多数あって困ってるところなのに…」
「冗談じゃ、そう怒るでない。だが、何かしら手を打たねば、周囲から囲い込まれたら対処が間に合わんようになる。うむ、騎士爵をリゼル君に授けよう。そうすれば、わしの庇護下におけるし言い訳する範囲も広がる」
「3歳で騎士爵ですか?私の寄親のマクベ辺境伯殿から文句が出ませんか?」
「なに、形だけの騎士爵じゃ。マクベ卿にも一枚かませる。成人するまで、儂とマクベ卿で後見人となる、それならば儂の代わりに代理人がお主の領地におっても問題はなかろう? 何か言われても、儂とマクベ卿とお主、3人のうち誰かが駄目といえば話は流れる。それに魔法の修行も気安くなろう。」
「そう言っていただければ私の方としても問題ないのですが、マクベ卿にも挨拶に行かなければならなくなります。」
「早馬で儂から手紙を送っておくわい。どこかのタイミングでマクベ卿にリベル君を連れて挨拶に行ってこい。むしろ、マクベ卿の方からリベル君に会いに来ると思うぞ。あやつも優秀な人材が好きじゃからのぉ。さてリベル君、君は全ての魔法が使える。4大魔法は儂の部下を何人か送る、そいつらから基礎となることを学ぶが良い。精霊魔法は、エルフの知人を行かせる、偏屈じゃが精霊魔法の達人と言える森人だから安心したまえ。問題は儂も見たことがない召喚魔術と空間魔術じゃ。初代様の手記を読むと確かに使っていた形跡はあるようじゃが、現代に使えるものがおらん。初代様の手記など役に立ちそうなものを後で送っておくから、ゆっくりと読んでみて役に立てて欲しい。」
「閣下ありがとうございます」
「うむ、弟子の息子じゃ、儂の孫のようなものだ。公の場でなければクザンじいちゃんと呼ぶが良い。ラウルの両親はもぉ他界しておるからのぉ。孫のように可愛がってるとわかれば、下手な貴族共も手も出すまい」
「はい、クザンお祖父様。立派な賢者になってみせます。」
「ふむ、良い良い。さてラウルよ、賢者が出るということは世に災いが起きる兆候かもしれん。初代様がこの国の宰相になった理由を知っておるか?
建国の父と言われた初代国王陛下と初代様とでこの地に出現した魔族を封印した。そこから発展していったのがこの国の成り立ちだ。つまり賢者が世に出るということは、魔族の封印が解ける可能性がある。それを封印するのがもしかしたらリゼルの将来の役割かもしれん。そのためには今は力を隠しながら学ぶ時期じゃ、目立つのはもう少し先で有る方が良い。今はあくまでクリムロード家の次男が神童で賢者という鑑定結果が出た。クザンとマクベが後見人となった。このくらいの目立ち方で留めておこう。お主も父として、リゼルが真っ直ぐ進むように教育するようにな。」
「師匠の言葉、胸に刻みます。」
「リゼルよ、こっちへ来なさい。君にプレゼントだ。初代様が使っていたイヤリングじゃ、手記を読んでおると魔物と会話ができるようになうアイテムなのだが過去に誰も使うことが出来なかった。君ならもしかしたら使いこなせるかも知れん。召喚魔術が使えるようになったら儂にも教えてくれよ。」
「こんな貴重なアイテム本当に良いのですか?ありがとうございます、大切にします。」
「うむ、お主は今日から騎士リゼル・クリムロード卿じゃ。細かいことは後は儂がやっておく。王都を楽しんでゆっくりクリムロード領地へ戻るが良い。たまには爺に顔を見せにおいで」
ドラキュラとは正反対の好々爺の顔だった。
”私の物語、最初の称号 騎士の称号を得た”
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます