ドラキュラ閣下
「クリムロード卿、リゼル殿を教会本部の法王様に会わせたいのですがいかがでしょうか?
回復魔法のこともございますし、教会本部で是非とも対応させていただきたいのですが?」
「クリフト大司教殿、まだリゼルは3歳です。長旅も危険ですし、これから魔法や貴族の勉強もしていかなければなりません。
王宮への報告もこれからですので、そちらの件が片付いて落ち着いてからに致しませんか?まだ、賢者のスキルについてはご内密にしていただきたい。これからの対応は王都から連絡が来ると思いますので、それを踏まえて検討していきましょう。」
(やれやれ教会側は早速目をつけて来たか、神聖魔法と違い、回復魔法など伝説級の魔法だ。教会が保護の目的で独占されてはたまらん。そもそも息子はまだ3歳だ。早急に師匠と対応策を練らねばならん)
「わかりました、今日のところはここまでとしておきましょう。回復魔法のことでわかったことがあれば是非お教え下さい。こちらも回復魔法についてわかりましたらご連絡いたしますので。これからも良きお付き合いのほどを。」
大人たちの笑顔の駆け引きが終わり、一旦昼食を取りに屋敷へ戻る。
父様の書斎に家族全員が呼び出される。
「いいか、今日のことは他言無用だ。夜会・お茶会で話に出てもうっかり話したりするんじゃないぞ。弟自慢で決して今日のことは話さないように。このことが公となってリゼルに何かあってからでは困るのだ。いいか、大事な家族を守るためにこれから宰相閣下と打ち合わせをする。くれぐれも念を押すようだが今日のことは家族だけの秘密だ。」
「わかったわ、あなた」
「はい、父上」
「リゼルもこれから少し窮屈になるかもしれないが、我慢をしておくれ。お前のためにのことを思ってだ」
「わかりました、父様」
家族間のルールが決まり、4人で昼食をとる。
昼からは王宮へ行くため、着せかえ人形が始まる…終わった頃を見計らったかのように、王宮から迎えの馬車がやってくる。
「リゼルよ、王宮へ向かうぞ。道中、師匠のことを話してやろう」
父様から聞いた宰相閣下は、思ったよりぶっ飛んでる人だった。
3大魔法を使える天才中の天才。賢者であった初代宰相閣下の生まれ変わりと言われているそうだ。
魔法の才能だけではなく、政治面でも力を発揮し今の王国の安定を築いた人で不正を許さない人。
優秀な人材を愛し、学校のカリキュラムも変更し平民でも立身出世できるようにした。
その一面、魔法への追求心は異常で時間がないはずなのに魔法や魔道具の研究をし、いつ寝ているのかと言われている。
見た目も若い頃とあまり変化がなく、ついたあだ名がドラキュラ公爵…
父様も宮廷魔術師時代によく鍛えられたそうだ。
魔法に関しては一切妥協のない人で、相当ひどかったと思い出し笑いをしている。
そうこう話をしていると王宮の入り口へ辿り着いた。
まずは、宰相閣下の部屋へ移動する。私は初めての王城内なのでとても緊張している。
宰相閣下の部屋に辿り着き、父様がノックをする。
「失礼します。ラウル・クリムロード伯爵です。息子リゼルと共にやってまいりました。」
「どうぞ、お入り下さい」
”私の物語に、ドラキュラ宰相閣下のページが加わる”
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます