領地でのんびりしています
その日から1ヶ月、私はジークハルト様の領地で過ごすことになった。
最初の予定では、私は侍女のリンダと客間で過ごす予定になっていたのだが、ジークハルト様が自分が世話をするので一緒の部屋で過ごしたいとゴネだし、一緒に過ごすことになった。
とは言え、ジークハルト様は領地でも剣の稽古や勉強があるので、その間はカトリーヌ様やサンドラ様、アーサー様と遊んだり、アゼリアおばさまやおばあ様とお茶を楽しんだり、お買い物をしたりしていた。
「ねぇ、レティは本当にお兄様と結婚するの?」
サンドラ様が突然聞いてきた。
「わかりません」
私は答える。まさか、ジークハルト様が心変わりして殺されるのとは言えない。
そして、カトリーヌ様の婚約者もシャロン様に夢中になり、無実の罪で断罪され、国外追放になるとは言えない。
カトリーヌ様は前の人生では王太子殿下の側近で宰相の子息ミッシェル様と婚約していた。
ミッシェル様もジークハルト様と同じようにシャロン様に学生の頃から想いを寄せていて、王太子妃になられた後もお側で思いを秘めながらお仕えしていた。思いは秘めてないか。
カトリーヌ様は去年からジークハルト様と一緒にクロードおじ様から剣の指導を受けている。騎士の家系であるヴァンヒューレット侯爵家の子供達は男女問わず6歳になると剣を教わるそうだ。ジークハルト様は本人の希望で3歳には剣をにぎっていたらしいが……。
サンドラ様とアーサー様も来年から習うそうでものすごく嫌がっている。
「レティも一緒に習いましょう」
サンドラ様は私を道連れにしようとそう言う。勘弁してほしいが、剣を習えば殺されそうになったら反撃できるし、それもありかなと思うが、ジークハルト様に勝てるわけないし、やっぱりやめておこう。
「レティは剣なんか習わなくていいよ。僕が命をかけて守るからね」
途中から横でサンドラ様の話を聞いていたジーク様は私の髪を撫でながらいつもの世迷言を言っている。守るとかって、殺しにくるのはあなたでしょ。
それからはジークハルト様のご家族と仲良くなり、王都でも一緒に過ごすことが増えた。もちろん剣は習わず、もっぱらアゼリアおばさまと刺繍やお茶を楽しみ、ジークハルト様にベタベタされ、カトリーヌ様達に不憫がられる日々を過ごしていた。
そして月日は流れ、私はジークハルト様に毎日溺愛されながら6歳になった。
「レティシア・クロムスの魔力は特別である」
魔力属性検査で魔力が半端なく全ての属性を持ち、その全てが強く多いと判断された。
そりゃそうだろう。私は女神スパリーナの神子なんだから。
前の人生とは魔力属性が少し違うのね。
父と共に登城せよと連絡がきた。魔力が凄いと何か問題があるのだろうか。
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