第2話 指田との思い出
指田は私にいやというほど絡んできた。
「守!どこ行くんだよ~」
「今日暇??うち来ない??」
「OOってゲーム知ってるか??」
入学早々から厄介なやつと出くわしたと感じた。小学生ながら、私の考え方は大人びていたのかもしれない。齢7歳にしてそんなことを考えていた。
小学校時代の記憶というものはだんだんと忘れてしまうものだ。他にもよく話していいた友達はいたが、指田の記憶だけは鮮明に残っている。
私は人と話すことが苦手だったが、指田と話すときは自然体でいられた。指田の1年生のころから日に焼けて、健康的な体をしていた。また、眉毛はまるで/のようにしっかりとして、目は黒目が大きく、最初のころは目線を合わすことができなかった。
しかし、彼の雰囲気にのまれて行くと自分としても心地よかった。
指田は活発な性格とはっきりした顔立ちであったためか、男女関係なく、頼られる存在であり、友達は多くいた。彼はよく友達と昼休みにサッカーをすることが多かった。私はグランドに出ることはなく自分の席に座って図書館で借りた本を読むことが多かった。
「お前もグランド来いよ~」
4限の国語の授業の時間に私にひそひそ声で言ってきた。
「いいけど・・」
「よっしゃ!!これでチーム組める!」
指田が誘ってくれるのがうれしかったが、最後の一言は余分だと感じた。私はただの人数合わせなのか?自分じゃなくてもよかったのでは?そう考えてしまうと複雑な気持ちになる。しかし、私は断ることがあまり得意ではなかった。
昼食後、グラウンドに出た。その日は雲一つない青空が広がっていた。体育の授業がない限り、グラウンドに出ない。私は体育が苦手で、あの憂鬱な時間が来ると思うと、この空とあべこべな気持ちになっていた。
サッカーは全く興味がなく、ボールをゴールに入れることぐらいしか知らなかった。
サッカーは指田は同級生にかなり指示を出していた。『さすが、指田』これは女子にモテるだろうなと私はボールを追いながら思った。案の定、一輪車をやっている女子3人組が指田を見ているようだった。
同級生の松本和也は私にボールをパスしてきた。案の定トラップはできず、ボールはファールゾーンへと飛んで行った。
女子三人組の方向へ転がっていた。一人のショートパンツとANAPの服を着た女子が拾ってくれた。『同級生だろうか? いや、見たことない顔だ 上級生かな』
「はい!ど~ぞ、気を付けてね~」
そう言うとその子はボールを僕に渡してくれた。私は女子と話すことはあまりなかったので ありがとう の言葉が出なかった。緊張していたということもあるが、
『私もあの服を着たら、似合うだろうか?』
そんなことを考えていたので、声を発することを忘れていたのかもしれない。
『あれを着たら、どんな気持ちだろう、この短いズボンがあるんだ』
この時ショートパンツの存在を知った。
「守~何してんだよ早くしろよ~」
指田の声によって現実に引き戻された。その後もサッカーをしたが、私はボールが来ても何もできずチームの足を引っ張っていた。『チームメイトは私のことをどう思っているんだろう?』と思うと、怖かった。
「また、明日もやろうぜ~ まだ守はやったことないからできないんだよ~毎日やればうまくなると思うよ~」
「うん~ もしかしたらセンスがないのかもしれないけど(笑)」
「そんなことないぜ、おれだって最初は守と同じくらいだったし、始めた時にはそんなもんだよ」
そう言ってくれる指田が私は好きだった。もちろん人間的に好きという意味だ。
結果的に昼休みはサッカーをすることが日課になっていった。
この日は帰ってから、布団に入り、女子の服を着る妄想をしながら、性器を触っていた。
オートガイネフィリア 澄田聖 @GALUBOY
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