第4話 バレてなさそうなのは良かったが......

 翌朝、教室に入るなり、小春が近付いて来た。


「薫って、お姉ちゃんとか妹いた?」


 やっぱり、女装の俺の事を疑っている。


「いないけど、母さんの仕事の関係で、女の子は出入りする事は多い。どうして?」


 何とか誤魔化さないと!


「昨日の朝、早い時間だったら会えるかなって行ってみたけど、薫のお母さんのような人と、私くらいの年頃の女の子が車に乗ってたから」


 俺とは気付いてない?


「何時くらい?」


「8時半過ぎくらいだったかな」


「それくらいなら、俺は先におばあちゃんの家に行ってて分からない。母さんは、急用が入ってたから、仕事関係の女の子と一緒だったかも」


 こんな言い訳で、小春を誤魔化せるか?

 

「そうか、薫は、もっと早く、おばあちゃんの家に行ったんだ。じゃあ、今度から私、もっと早起きして、薫に会いに行こうかな?」


 なんでそうなる!


「その日によって、おばあちゃんの家に行く時間が変わるから、早くしても、無理かも知れない」


 これじゃあ何だか、小春を避けているように思われないか?


「もしかして、薫、日曜日は私と会えないわけが有るとか?おばあちゃんの家にお見舞いなんて嘘で、お母さんまで利用して、あのすごい美少女と楽しんでいるんじゃない?」


 そんな風に勘違いされていたとは!

 小春の勘違いが可笑しくて、吹き出しそうになるのを堪えた。

 

「母さんの仕事関係の女の子と、俺は面識無いって!」


「本当に、二股かけてない?」


 心配そうに念押ししてくる小春。


「誓って、二股なんてしない!」


「分かった、信じるから。でも、おばあちゃんが回復したら、定期試験前以外の日曜日は毎週デートね!」


「回復したらね」


 一応返事をしたが、小春と日曜日デートなんて、ずっとお預けのままだな。


 祖母は、俺が小春についている嘘と違って、ずっと御健在だろうし。


 俺の日曜日の週一美少女生活は、まだまだ続く。

 成長期の俺は、アラが出てバレないように、母と対策を考えておかねば!


 と、その時は思い込んでいた。

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