第7話 ポスト
それはつばさとの交際がスタートして少し時間が経つ頃の出来事だった。
京子のマンションポストへ栄養ドリンクのセットが入っていた。
そこには「いつもお仕事お疲れ様。」と
思い当たる事と言えばあの京子がひどい振りかたをした元彼しかいなかった。
だんだんとそれはエスカレートし、京子の帰りを待ち伏せするようになった。
「おつかれ今帰り?」
「え。どうしたの?」
「だってさ、俺この近くに引っ越してきたの知らなかった?笑」
「駐車場もここに借りてる。」
それは京子のマンションの目の前の駐車場だった。
「知らないよ。」
「この街結構気に入ってたからさ、住みやすそうだと思って。」
京子の元彼は京子と同じ歳の大手企業の営業マネージャーをしていた。
そして、彼もまた高学歴エリートだった。
そう私は学歴コンプレックス。
自分は高卒なくせに相手には自分よりも優秀な人ばかりを求める。
京子の家庭は京子が幼い頃両親が離婚している。モデルの様な美人な母とすらっと背の高い肩幅の大きな父の間に京子は産まれた。
京子の父は酒とギャンブル、女が大好きだった。スポーツカーを乗り回し、全身ブランドで固める見栄っ張りそのものだった。
京子の家は、祖父が家業をやってたのでそこに母は嫁いだのだった。わりと裕福な環境で彼女は育った。
京子の父は毎晩浴びるように酒を飲んでは暴れを繰り返し母を苦しめていた。
京子は毎晩母が泣く姿をどうすることもできず、ただそばにいることしかできなかった。
京子は幼すぎた。
父は朝は起きれず仕事にもいかず、当時流行っていたゲームをひたすらやっていたのが父だった。夢中になる父の背中ををいつも遠くから見たいたのが京子の幼少期だった。
そんな父だが京子にはいつも優しかった。
しかし、京子は父のことが大嫌いだった。
京子の歪んだ感情はこの頃から芽生えてしまった。
なにかが崩れ落ち、大切なものを失ったのもこの頃かもしれない。
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