第5話 三ヶ月
京子が新しい会社に入って三ヶ月が経とうとしていた。
日々覚える事が多く、毎朝会社目の前の珈琲店でブレンド珈琲をのみながら仕事の準備をし、勉強するのが日課となった。
朝はだいたい同じ顔のサラリーマン、OLばかりだった。定年を迎えたであろういつも競馬新聞を読むおじさん。
店員は毎朝明るい笑顔と穏やかな声で迎えてくれる。
京子にとって毎朝の珈琲を飲む時間だけが安らげる、落ち着けるそんな場所となっていた。
ランチのあと毎朝の珈琲店に京子はやってきた。
「原田さんって結婚してるんですね。」
「見えない?笑」
「いえ、やっぱり落ち着いてると言うか、安定感あるな〜って思って笑」
「はは、うちの会社の人は慌ただしい人多いからね。何かあったらなんでも聞いて。」
原田純は京子にとってとても頼りになる先輩上司であった。
彼は35歳になろうとしていた。
歳上の奥さんが居る、誰もが羨む愛妻家だ。
仕事も社内一優秀出世も早く、みんなからの期待と信頼もある。
ぼそっと彼は言った。
「松下さんもさ〜若いし彼氏も若いんだし、早く子供作って結婚しちゃったほうがいいよ。」と
その時京子はいきなり何を言っているのだろうと全く気にはとめていなかった。
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