憎しみと喜び
バブみ道日丿宮組
お題:愛と憎しみの道のり 制限時間:15分
憎しみと喜び
1人1人のパーツはただの勲章。
そこにあるのはその人の残骸。
憎しみの道しるべが棚に並べられてる。
「どう思う?」
「そうね、アーティストといえば聞こえはいいかもしれないけれど気持ち悪いわ」
そうだろうな、死体が部屋中に並べられてるのを綺麗というやつはどこにもいない。いるとしたら、俺と同じ異常者だ。
「彼女は?」
「相変わらず目覚めないわ。表面上のケアは終わって昔と同じ状態ね」
「……中は?」
聞きたくもない。思い出したくもない。
彼女の中がどのように破壊され、いたぶられ、娯楽のおもちゃとされてたのかなんて。
でもーーそれが守れなかった俺が胸に刻まないといけない楔だ。
「いくつかはなんとか適合者からの提供でなんとか動いてはいるけれど、他はひどいものよ」
手渡された内部写真は酷いものだった。鋭い刃物できりさかれた体内構造、特に子宮周りはもはや口にしたくないものだった。
「相手は総統なプロ。死なないように女性を自分のオナニー人形とさせる」
「……そうみたいだな」
殺してきた連中の家には彼女と同じような女性がいた。
幾人かはこの医者に託せたが、あとは手遅れだった。弄られすぎて精神が崩れ自ら自壊行為を行う。俺ができたのは、楽に天に返してあげることだけだった。
「組織は半分くらいは潰せた。彼女をやった連中も全て刻みつけた」
痛みを感じない奴らと同じ薬をうち、爪を抜き、手足を折り、骨を抜いて、歯を抜き、鼻を削る。全ての憎しみを与えた。
「満足できた?」
「しれたことか、俺は彼女じゃない。ただ虚しくなっただけだ」
同じことをしても楽しさなんて得られない。
ただこんなことを、俺と同じ人間がずっと平気な顔してやってるという怖さが脳裏にインプットされたぐらいで、満足感なんかない。
「彼女はいつか目覚めるは。それに助けられて意識が戻った人はあなたに感謝してる」
そして、
「不可解な女性を狙う誘拐事件もなくなってきたし、少年を狙う悪質なものも減ったわ」
「そうか」
少年。年老いた異常者が自分の使えなくなった古い銃を、新品にすり替えるというスペアという改造手術。そのための誘拐。
「あなたがやってることは到底許されることはないし、指名手配が消えることもないわ」
「だろうな」
俺が目覚めた彼女に再会できることもない。
天国にいけもしない。
情報を提供してくれる医者の行為があって、やっと彼女を近くに感じられるくらいでしかない。
「次は本部を潰す」
「それで終わり?」
「わからない。ただ違法な人形制作のデータは破壊できてきてる。同じやつがあらわれるにも数年は稼げるはずだ」
そういいながれ、俺は隠れ家から出た。
ここの隠れ家もさよならだな。
憎しみと喜び バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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