女装系彼氏
バブみ道日丿宮組
お題:シンプルな真実 制限時間:15分
女装系彼氏
僕がなりたかった関係はこんなものじゃない。
「誰がいったいこんなものを書いたんだ!」
黒板を叩いてみても、クラスメイトは誰も僕を見ようとしない。
シンプルな答えだ。知ってるが教えたくないってことだろう。
「……く、卑怯だ」
駄々をこねてみても、誰一人反応を示さない。
知ってる。
僕の執事と僕は愛し合ってる。それは真実。
愛という絆で結ばれてる。
でも、彼は未熟で失敗ばかりで良いところがまるでない。それでも僕にだけは優しく接してくれる。
「彼が女装をしてるのは僕がさせてるだけだ。ただの変態じゃない」
取り消せと大声で叫ぶ。
小さい頃、大きな屋敷の中友だちもいない生活で執事の子どもが僕の相手をしてくれた。男の子と女の子だと合わなそうだねと彼は自分で女の子として生活をしてくれるようになった。
スカートをはいたり、髪を結んだりと……実際あの頃も今も僕より可愛いのが納得いかないが少なくとも、俗にいう変態目的で女装してるわけじゃない。
「いいですよ。お嬢様。私が変態であっても、ど平民であっても、期末試験が下から数えたほうが早くても、スポーツテストはできる体力でないことも、お嬢様よりラブレターをもらってても私は気にしません」
ずっと僕の後ろで控えてた女子制服をきた彼は笑顔だった。拙いと思った。それとともに怒りも感じた。
「ラ、ラブレターをもらってるって聞いたのは初耳だぞ! いったいどこのどいつだ!」
肩をゆらしまくる。そうすれば白状するのはわかってる。
彼はえっとと言いづらそうに指をさすと、1人の男子生徒が当たった。
その男は気まずそうに口笛を吹いた。
そうやって、何人も指を動かすと……なんてことだろう。今クラスにいる男子生徒全員を示したのだ。この執事は。
「……意味がわからない! なら、どうしてこんな薄情もない言葉を黒板に書いたんだ!!」
近くにいた眼鏡の男子生徒のほっぺをつねると、
『だって悔しいじゃないですか、可愛い彼女がいるのに自分も可愛いなんて? 男同志だったら間違いがあってもその場きりの関係になれるかな』と言いにくそうに白状した。
「……最低だ」
「あはは……」
クラスが僕の怒りの赤い空気から、男子への冷たい青い空気へと変わった。
そして女子生徒たちが次第に彼を次々にかばいあってくれた。
『一緒にいてくれると助かる』『怖い人に絡まれた時前に出てくれた』『ガサツじゃないから話しやすい』
評判が凄くよかった。
「……」
良かったのはいいけど、むかむかしたので僕は執事を引っ張り出すとクラスから逃げ出した。
今日は授業なんて受けてる気分じゃない。
女子生徒も男子生徒も嫉妬するくらい執事を独占してやるんだからね
「ーー授業は?」
「あとで資料送って下さい」
担任とすれ違うとその言葉だけで挨拶は終わった。
何これがいつもの日常な、だけなのだ。
女装系彼氏 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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