関わりあい

お題：フォロワーの笑顔 制限時間：15分

関わりあい

　人の笑顔を取るには何をすればいいだろうか。

　不自然な笑い方は誰にでもできる。

　笑う、泣く、怒る。

　ごく自然な行為。僕は母が病気で死に、父が失踪し、兄が犯罪者として逮捕された時、感情がわからなくなった。

　どれにたいして何を感じればいいのか。

　人というのに興味を持って、本を読んでみた。

　親戚にメンタルクリニックにいってみてと言われ行ってみたが調べたことのある病名が医者の口から出てきただけで意味はなかった。

　薬ももらったが成分もわかりきってる。

　これくらいなら、薬剤師だった母の研究材料でなんとでもなる。そう……脳に影響を与える薬なら自分でも作れるのだ。

　脳を刺激する薬を口にしても、やはり感情は変わらない。楽しさはなかった。

　いけないことだとわかっても、焼却処分と聞いたペットたちを大量に買い込んだり、譲り受けたりした。そのおかげで庭には犬と、猫が溢れて遊ぶ動物園になった。

　目的は実験。非合法な目的のためだ。

　舐められたりしたからか罪悪感がちょっとだけ蘇ってきた気がした。けれど、実験は止まることはなかった。

　あまりにも騒がしいというか多すぎるからか、近所から子どもたちが遊びに来るようになった。しかもかなり多い。

　神社のように広い庭だから、別に子どもが遊びにくることは気にはしなかった。もともと近所付き合いは母にあった。それに親も子どもをしっかりと見てるから危険なことはない。

　噛み付く気配があるペットは家の中できちんと管理してるし、外にいるのは安全なタイプ。じゃれつくのが大好きだという感じのものだ。

　そうした中で、夜な夜な一匹一匹元気がないこに自分で作った薬をあげてみた。噛みつきグセはそれがなくなるように作用するように一匹一匹それぞれ効力をかえ試してみた。

　数日経つと、大人しくなるペットたちが現れた。同時に元気過ぎるペットも現れた。

　こうやっていくつもデータを取って、Twitterに庭を走るいくつかのペットの画像を晒してると、『フォロワーの幾人かが見てみたい！』と反応するようになった。

　一瞬困ったと感じたが、薬を飲んだペットたちがどういう反応を返すようになったのかもみたいし、知らない人に反応するのかも見たかった。

　というわけで、なんと20名ほどのフォロワーが休日に足を運んできた。

　簡単な挨拶と、噛みつきグセがあるペットはリードを繋いであると説明すると各自が散らばってく。自分が好みのペットに進んでる。

　そこで見えたのは、笑顔だった。

　子どもたちが見せる笑顔と違う、素直に楽しんでくれてるという笑顔。

「……」

　それを何時間か見てたら、僕は泣いてた。

　泣いてたことを知らされた。