10話 ピンチとトイレは隣り合わせ
冷静に整理しよう。
腹痛に耐えかねて飛び込んだ公衆トイレの個室で、俺は腹――ではなく、頭を抱えていた。突然訪れた3つの試練にどう対応するか、という悩みだ。
①トイレットペーパーが無い。
ホルダーに残っている紙は、5センチもない。予備も置いていない。助けを呼べればいいのだが、トイレ内に人の気配は無し。
②パンツ。屈んだ時に、大穴が空いてしまった。
なんてことだ。こんなに生地が薄くなっていたなんて。よりにもよって、こんなタイミングで破れなくたっていいじゃないか……。
③最後に、ベルト。
ちぎれた。
もう10年くらい使っているからなぁ……。このキズは、俺のズボンを支え続けてくれたベルトの名誉の負傷とも言えるだろう。
果たして、自力で紙を調達することは出来るか?パンツやベルトを買い直せるか?
クライアントとの待ち合わせまで――あと15分。
……やれやれ。
人生は、試練の連続だ。
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