2話 男爵イモの願い

「立派なポテトサラダになってきます!」


 いよいよ、僕たち男爵イモの出荷日だ。

 この日をどれだけ待ったことか。


 ポテトサラダになることは、種イモの頃からの夢だった。清潔なボウルの底で、白くて綺麗な肌をしたマヨネーズさんと情熱的なフラメンコを踊るのだ……ああ、なんと素晴らしいことだろう!


 数日が経過し、ついに僕は調理場へと躍り出た。鍋で蒸され、この身にマッシャーを受けた後、ボウルの中で玉葱くんと合流する。


 しかし次の瞬間、予想外のことが起こった。


 ボウルの中に、豚挽き肉が侵入してきたのだ……なんだか、嫌な予感がする。


 すぐに嫌な予感は的中した。豚挽き肉と共に暑苦しいダンスを踊らされ、パン粉の衣を着せられ、油のプールの中へと投げ入れられてしまったのだ。


 だが――僕はその後、運命的な出会いを果たす。


 こんがり焼けた褐色肌の中濃ソースさん。


 ……コロッケも案外、悪くないもんだ。

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