第13話 友情の為に

ある日、司から電話があった。

「美羽~~~~、ライン交換したあのイケメン男子ぃ。既読無視が続いて連絡付かなくなったぁ(涙)」


との事。


振られたか。


「デートとかまでは言ったの?」


「行ってない。。てか、誘われてもない。。社交辞令だったのかな。あああぁ私の何がいけないのぉ!??」

泣き叫ぶように電話口で喚く司。


「まぁまぁ、縁が無かっただけ!それだけだって。

だって会っても無いんでしょ?司の事もよく知らずに連絡が途切れるなんて、司が悪いんじゃないじゃん。縁が無かった。それだけだよ。」

内心、『駄目だったか・・。」と、私も少し落ち込んだ。

親友の司には幸せになって欲しい!!!


「あ、でも丁度よかったや、今度、お茶でもしない?」


「慰めならいいよぉ。」


いや。完璧ぐれているな。


「じゃないじゃない!聞いて欲しい話があってさ、どう?空いてる日あったら教えてよ。出来たら土日祝のどこか・・、どこかが良いんだけど。」


「こだわるねぇ。何?誰か紹介してくれるの!?」

司のテンションが一気に上がる。


気持ちの切り替えが早すぎっしょ~。


苦笑いしながら、

「紹介ではないんだけど、、黒木君、この前会ったでしょ?

ちょ~っと分け合って医師会病院に行ったら偶然会ってさ。連絡先交換したの。

そんで、今度みんなで会おうって話になって・・・って、気乗りしない?」


「しないね。だってあいつ、付き合ってる時にバレンタインデーに他の女子からチョコ受け取ってんだよ。何してんだよお前って話じゃん。普通『彼女いるから』とか、断るっしょ!」


なんだ。ばっちり別れた理由覚えてんじゃん。


「そーれーはー、私が思うに、断れなかっただけだと思うよ?

せっかく時間割いて作って来てくれたかもしれないチョコ、いらないなんて言えないでしょ。私だったら、それを受け取らない男子の方が非道だと思うね。」


司が一瞬だまり込む。

「・・そういう考え方もあるけどさぁ。私はとにかく、当時は嫌だったの!誰にでも良い顔しちゃってさ。私が子供だっただけの話かもしれないけど?」


「36の今になって考えれば、好きでもない女子からチョコを受け取る黒木君は“優しい”って思えるんじゃない?」


司が電話口で黙り込む。


「ま、空いてる日が分かれば連絡ちょうだいよ。電話でも良いし、ラインでも良いし。」


「分かった」

少しトーンは低かったが、私の伝えたい気持ちは分かってくれたようだ。


それから数日たって、司からラインが入った。

「2週間後の日曜日なら空いてるよ。時間は合わせる。」と言った内容だった。


よっしゃ!!復縁、狙えるんじゃないのぉ?!

お互い嫌いで別れた感じじゃないし、36の今なら、きっと二人はうまくいくはず。


すぐに黒木君へラインを入れる。


“お疲れ様!仕事中にゴメンね。2月17日(日)良かったら、お茶でもしない?司も一緒だよ。”


こんな文章で大丈夫か?

てか、そもそも、黒木君が司をなんとも思って無かったら?


いやいやいやいや。あの感じ、あの雰囲気。私の直感は当たるのよ!

未練、あるはず!!!!!!!!!!!


夜、仕事が終わったのだろうか、返信があった。


“了解。場所と時間分かったらまた教えてください。”


意外とシンプルな文章書くんだ。

旦那はなが~く書いて顔文字や動くスタンプもめっちゃ使うけど

同じくくりの男子でも、こうも異なるもんなんだなー(←当たり前)


とりあえず、2人の恋のキューピッドになれるよう、北川美羽!

全精力注ぎまーす!!!エイエイオー!!

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