第185話レーミアの気持ち。
レーミア視点
私の前で自分の過去を語っているバラキ。
彼から言われたその事実。
私は記憶からはほとんど忘れていたけど確かにそんな事があったのは事実だった。
私はお兄ちゃんが滝から落ちたと聞き家を飛び出し山に向かった時の事。
あの時、私は足を滑らせ…そしてお兄ちゃんの後を追うように落ちてしまったの。
その時の記憶は不思議となかったの。
私は気がついた時にはどう言ったわけか家の前で発見されたの。
だからバラキの話に戸惑ってしまう。
「まあ無理は無い…お前の記憶はできる限り消そうとしたからな…。だが」
「だけど…なんですか?」
「あの時…お前を救う為にした行為が…」
「えっ?ど…どういう事ですか?」
私はその言葉についドキドキしてしまう。
「まぁいい…その話は後だ。俺は俺ばかりかお前まで襲った人間達が許せなかった…。やがて俺は闇に堕ちた…。そして。」
「こうなってしまったのですね。」
「ああ…俺は元々幻獣だったが人間達の身勝手さを沢山見てきた…こんな人間の為などに俺様の力を使う必要はないのだ!!!」
「バラキ……。」
「俺は幻獣のこの力を世界支配の為に使う!!魔幻獣十二魔神まで入ったのは世界支配をしやすいが為に利用した…いずれはアイツもこの俺が。」
バラキのいうアイツとは、やっぱり竜也とかいう恐るべき怪物のことなんだろう。
「バラキ!貴方は間違ってるわ!!こんなやり方、貴方が人間を嫌う理由はわかったわ!でも でも!!」
「レーミア…俺はもう戻れん!世界は俺を魔導協会のバラキとして認めてはくれている…だがな……。うぐっ!!!!!」
突然バラキは苦しみ出す。
「えっ!?どうしたの??」
「うがぁぁぁーーーっ!!!」
手で頭を抑えながらのたうちまわるバラキ。
「バラキ!!??」
私はバラキに呼びかけるもバラキの苦しみはおさまらない。
そして突然バラキの身体から触手が飛び出す!!
「えっ!?触手!!??」
「近づくな!!!」
バラキは私を手で制止する。
そしてバラキの身体から光が溢れてくる。
しゅーっと音を立て触手から煙がたってくる。
「はぁぁぁーーーーーっ!!!!!」
バラキの一声で触手がボトボト崩れ落ちていく。
そして両手をつき深い呼吸をしているバラキ。
「はぁ…はぁ…はぁ…すまん。」
「バラキ……。」
「この俺は召喚獣ではあった…それを知って俺達魔幻獣十二魔人の筆頭竜也は俺のその力を自分の為に使えと言ってきた…だが俺達召喚獣は一度召喚契約を果たした者がこの世から消えない限り永遠に召喚者との関係は続く事になっている…いいか?レーミア…今こそ話すが…お前は俺と……。」
バラキはそこまで言うとまた苦しみ出す。
「うがっ!!!ううううぅぅ。」
「バラキ!!」
「大丈夫だ!はぁはぁ…俺とお前は契約を結んでいるのだ。」
「けいやく??」
私はバラキに問う。
以前私はきっとバラキに生命を救われたのだろう…そしてその時なにか。
「そうだ…俺はあの時…息のなかったお前が何故か気になり…救う為に致し方なく…お前には悪かったと思っている…勝手に契約してしまった事。」
「えっと…あの契約とは…一体どんな…。」
「あ、ああ…勝手ながら…お前の中に息を吹き込んだのだ。」
「ええっ!!??」
私は顔が赤くなり頬まで熱くなる。
「あ!わ、え、えっ…と、」
「そう恥ずかしがるのではない!だがな…その時不思議な感覚に俺は襲われたのだ。」
「あ…は…はい…不思議な感覚ってどういう事ですか?」
「ああ…俺はこの性格と猪の幻獣…『
「そう…なんだ。」
「いいか?俺はお前の兄や仲間たちを葬ってしまった今…俺がこれからすべき事は…アイツ…魔幻獣十二魔人の筆頭…竜也を潰す事だ。」
「えっ!?ええっ!?」
「まずは世界に俺たちの事を宣言する…そしてこれから俺の世界へ…ついてこい…レーミア。」
私は、このバラキに告白を受けたの。
でもこの人は本当に一人なんだと実感したの。
彼は確かに強いと思う。
でも…私の前で苦しむ彼は…。
するとまたバラキは苦しみ出す。
「があああーーーっ!!!」
「バラキ!!!」
苦しみ悶える彼。
いつもこんな姿を多分誰にも見せた事はなかったんだろう。
そして私を必要としてくれてる。
私の中で何かが変わった気がしたの。
「さっきの答え…ですけれど…。」
「はぁ…はぁ…はぁ…ん?」
私は何も考えてなく彼を抱きしめていた。
そして彼は私の癒しの力で。
「レーミア………。」
「バラキ……私が貴方をずっと……癒しますから!!」
私達を包むように…フェニックスは癒しの力を与えてくれる。
そしてバラキの身体の傷は癒えていく。
私が彼に気づくと。
バラキの目から涙が溢れていたの。
「レーミア…まるで俺の…女神だ。」
◇
◇
◇
バラキとレーミア。
まさかの二人は一体どう動くのか!?
そして二人の世界への宣告に場面は戻ります。
お読み下さりありがとうございました!
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