第186話バラキの反旗

回想から戻り。

バラキとレーミアはここフォーゼンボルグの壇上に立っている。

「うおおーーーーーーっ!!バラキ様!!!」

壇上の二人を見て誰かが声を上げる!

すると後に続き町中に歓声は響き渡る。

「「バラキ様ーーーーー!!!」」

「「素晴らしいです!!王よ!!!」」

「いいか!国民よ!我がこの世界の魔導協会のバラキはこれから……この我が妻『レーミア』と共に…この世界の安定を必ずや約束する。」

おおーーーっ!!っと国民はその声に湧き上がる。

「よいか?この世界は今…ある一人の巨大な敵を相手にしようとしている!!そいつは強大な力を持つ魔人…魔幻獣十二魔人を束ねる男…その名は………竜也。」

国民はその言葉にざわめく。

「王よ!!その敵とはどんな敵なのでしょうか?」

一人の男がバラキに声をかける。

「んん???」

バラキはそちらに視線を移すと声をかけた一人の男が人々を押しのけ彼の元へと歩き出す。

そしてその男。

バラキの前で被っていたローブに手をかける。

バサリっと投げ捨てる。

バラキよりも遥かに小さい黒髪。

目は金色に輝き鋭い眼光。

背中には男の身長位のサイズの大きな剣を背負っている。

その男ニヤリと微笑む。

すると…バラキの表情は変わっていく。

そして。

「竜也……様………。」

「くく………バラキ!いや、猪鬼ちょき……久しぶりにきてやったぞ!」

誰もがその目で見て分かる体躯の差。

だが。

その小さな男から感じる力は巨大すぎる。

誰もがそれを感じたのだ。

バラキの額には冷や汗が流れる。

「くく…お前さぁ……これってなんだい??僕に対する宣戦布告って事でとっていいって事なのかい??」

ゴオッっと竜也の背後から炎が吹き上がる。

そしてメラメラと炎を纏った竜也は口を開く。

「へぇ…この僕に皆…何をしようって言うんだい??」

竜也の黄金に光るその目はキラリと輝きを増す。

「「グワーーーーーーーーーーーッ!!!」」

その時、突然叫び声をあげたのは空からやってきたドラゴンの群れ。

「な!なにっ!!??ドラゴンの群れだと!?」

バラキはレーミアを庇うように空を見上げる。

すると観衆の中から声が上がる。

「何だあのドラゴンの群れは!!??一体何体いるっていうんだ!!??」

そう一体でも計り知れないドラゴン。

そのドラゴンの群れはこの街フォーゼンボルグの空を今まさに埋めつくそうとしていたのだ。

「くく……ククク……なぁ!?バラキ?この街事消してやるけど……いいよな???」

竜也のギロリと動くその金色の瞳はバラキをも震撼させる。

「くっ!!??竜也様……いや……竜也よ!!」

バラキの大地にも響きそうな怒号は竜也の表情を変える。

「なんだよ?お前も…僕のやりたい事に今まで乗ってくれたんじゃなかったのかよ??」

「確かに…この俺もそして…かつての同胞達も貴方のその力に憧れ…そしてこの世界を変えるという話には賛同しこれまで協力してきたのは事実…言い逃れなど…最早意味は無い。」

バラキのその声に街の一人が声を上げたのだ。

「バラキ様??これは一体どういう事なのでしょうか??」

するとバラキはこたえる。

「いいか?国民よ…いや…世界の人々よ!!」

この声は今や全世界に聞こえているのだ。

「これまで、この俺も世界の魔導協会のトップとして生きてきた…だが、その影で俺達は魔幻獣十二魔人としてもその力を使い…時には人を苦しめ時には国を破壊してきた。」

全世界の人が今…バラキの声を聞き。

騙されてきたという悔しさに怒る者。

これまでの行為に恐れ戦く者。

怒りのあまりバラキの名を叫ぶ者まで人々は叫び、怒り、そして家族や友人知人を殺され涙を流す者。

全世界の国の人々は先程まで英雄と称えてきたバラキを皆敵視し始める。

「ふざけるな!!!」

「そうだ!!お前が奴らをずっと操ってきたんだな!!??」

「なにが英雄バラキだ!!??」

怒りの声は鳴り止まなかった。

「くく…そうそう!皆聞きなよ!コイツはさ!魔導協会の会長なんて言ってこんな酷い事をずっとしてきたんだぜ??」

竜也はそう言うと更に声を上げる。

「いいか??これから僕は、この化け物バラキを勇者として倒してやるよ!?」

「おーーー!凄いです!!」

「おおっ!!誰だか知らないがアンタは??」

そんな竜也を賞賛する歓声へと人々の声が変わる。

すると一人の女性が口を開く。

「あの…」

「ん??なんだ??お前?」

その女性は一歩群衆から足を踏み出した。

「私はバラキ様をそれでも信じます。」

その女性の一言で竜也の表情が一瞬変わった気がした。

「へぇ…面白い事いう女だな?」

「私これまで何度かバラキ様に助けられた事があります…」

その声に竜也は声を止める。

「私の母は元々重い病気を持っていました…そして私もあまり身体は強くなくて病気がちで…働く事の出来ない私は困り果ててた所…バラキ様に優しい声をかけてもらい…そして色々と助力をしてくれて…私達家族は救われたんです。」

女性は涙ながらに訴える。

「フン!そんなのはコイツがお前らに良いように思って欲しかったんだろ?」

「いや…。」

続けて他の男も声をあげる。

「確かにバラキ様は豪快すぎるしその姿は怪物なのかも知れない…だけど…この俺も子供を守る為に力を貸してもらった事があるんです!」

するとバラキへの感謝の声が次々と沸き起こってくる。

「これは……。」

バラキ自身がその声に驚いているとレーミアは微笑みバラキにこたえる。

「これが貴方の魅力ですよ!」

「レーミア。」

すると突然ドラゴンが叫ぶ。

ギャーーーーーーーーーーーーース!!!

「皆…うるさいんだよ…だまれよ。」

その時竜也の黄金の眼は輝く。

すると辺りに波動のような何かが発したのだ。

一瞬…時が止まった気がした。

遂にバラキは竜也に反旗を翻す。

そして国民はバラキに賛同し始める。

そんな時竜也は。

お読み下さりありがとうございました!


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