第184話バラキとレーミア

レーミア回想

これは私レーミアとバラキの間にあった出来事。

今私は彼と一緒にフォーゼンボルグのあの処刑台壇上に立っているの。

処刑台でもあり人々への広報台でもあるその壇上。

そして…私たちは。

皆があのバラキの大波にさらわれてしまい何故か彼に救われていた私は彼に囚われの身となっていた。

囚われの身…それは、もう囚人、奴隷の様な者。

私は、そうなるものだと思っていた。

だけど__。

「どうだ?レーミア?気分は晴れたか?」

私は、その声で目覚める。

「あれ?ここは……。」

まだ頭もボーッと働かないみたい。

そして眠い目も中々開いてこなかった。

「ここは…どこですか?」

「ふ…どうやら、お前は目覚めが悪いようだな。」

「えっ?えっ?ええーーーっ???」

私が気がつくと目の前には、あのバラキの姿。しかも彼は隣で裸で私を見ていたの…。

私は恐る恐る自分の身体に目を向けていく。

あまりの衝撃的な出来事に私は耳まで熱くなる。

「あ、あの…こ…これ……は?あわわっ!!」

そう、バラキが全裸だったのも衝撃的だったけど私も肌着すらもつけていなかったのです。

私は思わず布団に潜り込み顔だけを出す。

「み…見ました??」

「ふん!見たぞ!それはもう隅々までな?」

(うわぁっ!!!ヤバいヤバいヤバいっ!!)

私が顔を真っ赤にしてふくれる。

「どーしてくれるんですか??私初めてだったのにぃーーー??」

「何を怒ってるのだ??」

「そりゃあ!怒りますよ!私の許可無しにあんな事やこんな事までしたんでしょ??」

「は?」

「もう!分かってます!!貴方達はそういう人達ですし、まあ私が殺されてないだけまだいいのかな?いやいやでも何かが何かがおかしいのっ!!!!!」

慌てる私の考えも取り乱しおかしくなっている。

そして暴れる騒ぐ私。

「ふぅ…やれやれ。」

「えっ??」

取り乱した私を抱きしめるバラキ。

「おちつけ。」

「あ………。」

すると、どう言った訳か私の心も落ち着いてくる。

「えっ!?どういう事??」

「お前が驚くのも無理は無い…俺様の力は『海』。『水』の魔法同様破壊だけでは無い癒しの効果も発揮するのだ。」

そう言ったバラキの身体からは青白い光が発せられている。

「あ…ああ…………。」

不思議と落ち着く心。

これまで感じた事のない感覚。

これは…母なる海、いや…父なる海とでも言った方がしっくりくるだろうか。

そんな大きい力に私の心も…そして。

「あれ?私の傷もいつの間にか癒えてる。」

「ふん!俺様の妻となるお前の傷は俺の力で癒したのだ。」

「どうして??」

「ん?何がだ??」

「どうして私なの!?どうして私だけ生かしたの!!??」

私は、また不思議な気持ちでバラキに訴える。

するとバラキは抱きしめていたその手を緩め私を見つめる。

「レーミア…お前はこの俺様と魔導協会で会う遥昔……お前が幼い頃出会った事があるのだ…。」

「えっ!?」

「お前が幻獣使いなのは知っている…そして俺様は昔…猪の幻獣だった。」

「えっ!?ええっ!!??」

俺の名は猪の姿を持つ幻獣『エズマ』と言った。

元々猪として生まれ成長する度に何かが変わっていった俺…。同族からもその強力な魔力を秘めていた俺は阻害され一人で生きてきた。そしていつしか俺は気がつくと猪の獣人と変わっていたのだ。

まだ完全なる幻獣となってはいなかった俺は何事も無く獣人として成長した。

そして山で一人生きていたのだ。

そんな時…俺が住んでいた山に偶然一人の人間が迷い子がやってきた…俺は初めは見ていたのだがその子は泣きながら誰かを呼んでいた。

「お兄ちゃん!!??どうして??どうして!?」とな。

初めはうるさいヤツが来たと思ってたのだが…その子から何か不思議な力を感じたのだ。

「えっ?それって??」

バラキは私を懐かしむ様な目をして続ける。

いつしか俺様はその子の力に惹かれるように後を追っていたのだ。

その子は深い森を迷いに迷いながら兄を呼び叫び続けた。

そして俺様がその子をやれやれと思いながらも見ていた矢先…突然その子は目の前から消えたのだ。

俺は焦り後を追うと!!

きゃーーーーーっ!!という声が聞こえ、俺は跳んだ。

滝つぼに落ちていったその子を何とか救えた俺は大樹の元へ寝かせる…。

もしかしたらここなら誰かの目につくかも知れないと思ったからだ。

そして俺はその子の安否を確認する。

「息は…」

俺が確認すると呼吸をしていない…俺は息を。

「えっ?ええっ??」

「まあ最後まで聞くのだ。」

「はい……。」

俺はその子に息と生命エネルギーを込める…。

すると徐々に呼吸をし息を吹き返したのだ。

よく見ると少女だった事に気づく。

そして気がつく彼女。

「あ………」

「き、気がついたか?」

俺が声をかけた瞬間。

パァァァン!!!

銃声と俺の傍を通り過ぎていった銃弾を確認した。

パンッ!パァァァン!!

更に銃弾は俺に向かい放たれる。

「くっ!?なんだ!!?」

俺は叫ぶ。

すると銃を構えながら出てくる男たち。

「おい!化け物!さっさとうせろ!」

「ん?何を言って…」

「お前がその子を襲ったんだろ??どう見ても獣人だし!気持ち悪いんだよ!?」

すかさず男たちは銃をこちらに向け構える!!

「さっさとここから立ち去れ!化け物!!!」

「いや!俺は…。」

「うるせぇ!!!」

パァァァン!!っとなる銃声!!

俺が目で追えた銃弾が少女に向かおうとしていた。

「うぐっ!!!!!」

俺は彼女に向かう銃弾を腕をのばし止める。

痛み、そして身を呈した腕から血が飛び出してくる。

(ダメだ、このままだと少女まで被害に遭う。)

俺はそう思い…少女を抱き上げその場から立ち去ったのだ。

バラキの語るレーミアとの過去。

一体どうなってしまうのか!?

お読み下さりありがとうございました!

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