第183話そして世界は。

みらい達が異世界転移をして初めて降り立った場所ここドリームソレイユ。

穏やかな国民達。

そしてその国を守っていた国家ドリームソレイユ。

その永久とも言える安定をずっと守り続けていたこのドリームソレイユの今。

近くにはマリンベルという港町もあったはず。

え?あったはず?

そう…今このドリームソレイユを含めた近隣の大地は。

海の中に沈んでいたのだ。

かろうじて近くの山魔幻の滝のある山だけがその頭を出している。

人々は…そしてみらい達はどこへ行ってしまったのか。

そして…そのドリームソレイユが沈んだという情報は世界中に広まっていた。

隣国邪馬国。

「天草様!!!!!」

バタバタと城内を走るその足音は沖田さんのもの。

ガラッと会議室の扉が開き入ってきた沖田さんの目の前には天草様が座りそして隣には、あの柚子葉ゆずのはの姿もあった。

「どうした?沖田よ……落ち着き話すが良い。」

ぱああっと天草の手が光ると光は沖田を包み込む。

「はっ!天草様申し訳ありません!少々取り乱してしまい……。」

「分かっておる…先の大地震でこの国も危うい所を柚子葉ゆずのはに抑えてもらったのだからな…。」

沖田はハッとし膝まづく。

「失礼しました!天草様、柚子葉様!!」

「まあよい…そして話とは隣国マリンベルとドリームソレイユが海に沈んだという話だな。」

「はい!そこまでもう知られていたとは。」

「そして…その元凶もな。」

沖田はその言葉にハッとし息を飲んだのだ。

「ドリームソレイユの大地を海に沈めたのは…魔幻獣十二魔人の一人『猪鬼ちょき』その正体は、かつての魔導協会会長をしていた男『バラキ』だ。」

「なっ!?あの世界の魔導協会のバラキですか?」

「ああ…そうだ…あの少年…みらい君達はバラキと死闘を繰り広げたのだ…。」

「なんと!!あの怪物バラキと!!??」

すると天草様は悲しげな表情へと変わる。

「ああ…だが…あの、らいと君もそしてみらい君達も、あと一歩あのバラキには及ばず……。」

「天草様…そうだったんですね。」

天草様は窓から空を見上げる。

「神よ…この世を見ていてくださるのならば」

天草様のその目は空に願いを込めたんだ。

「彼らを生かしてください。」

そして、ここは地下世界エルフ女王の城。

バタバタと妖精、そして精霊達が何かに怯え狂ったかのように城内、城の外も。

まるでこの城を埋め尽くすかのように無数の精霊達も飛び回る。

ふぅっと深いため息をつくエルフの女王エリーン様。

「エリーン様っ!!??」

エリーンの名を呼び入ってきたのはネージー。

彼女はエリーンの娘…であり、そして彼女は今お腹に小さな生命を宿していたのだ。

「どうした?ネージー??」

「はい!さっきまたお腹を蹴った様な気がして!!」

「そうか。良かったじゃない?」

「ええ!エリーン様??その顔…どうかしましたか??」

「ああ!ちょっと考え事をな。」

(私は今は言えない…この幸せそうな顔をしている大切な娘に…みらい君たち…まして…ダンの気配も消えてしまった事など、言えるはずもない。)

「あ!やっぱり!今!今!!蹴ったよ!」

(そう…お願いです…皆さん…ダン……生きていて。)

エルフ女王の周りには精霊達が集まってくる。

「あなた達……私を励ましてくれるのね。ありがとう。」

そして世界は新たな動きを見せようとしていた。

その場に立つのは表立った世界の覇者バラキの姿。

見てるだけなら正に彼の姿は世界の王と言っても過言では無い程の姿と力。

今彼の姿は世界へと発信しようとしていた。

今の彼の姿は世界の魔導協会の元トップ。

世界で彼の事を知らない者はいないのだ。

バラキが立つのは魔導協会のある地フォーゼンボルグ。

ここは世界の魔導協会のものでありここから世界中へと発信出来る様になっている場所である。

バラキは壇上に堂々とした姿で登場する。

そして辺りを見渡す。

フォーゼンボルグの人々はこの街の王とでも呼べる程の支持力と崇拝されているバラキ。

「バラキ様!!!!!」

誰かが一言叫んだ。

するとその声は波のようにしかも巨大な大歓声となってこの地を包み込んだ。

「バラキ様だ!!!皆!!バラキ様がお戻りだーーー!!!!!」

「うぉぉぉーーーーーっ!!王よ!!」

「王様ーーーーーーー!!!!!」

「「バラキ様ーーーーーーー!!!」」

大歓声はバラキの心をも高揚させる。

「皆の者!!よく聞くがいい!!」

バラキの声は世界中に響き渡る。

シンっと一瞬の沈黙。

そしてバラキは手を上げる。

するとバラキの後ろから純白のヴェールに包まれた一人の女性が姿を現す。

コツコツと彼女は一歩一歩バラキの元へ歩いてくる。

世界中の誰もが彼女の行動に注目しそして沈黙を守る。

美しい純白のヴェールに包まれた彼女はバラキの傍に立ち止まる。

辺り、そして世界中に緊張が走る。

バラキは彼女のヴェールをゆっくりと外していく。

すると…壇上にはこのフォーゼンボルグでは馴染みのある顔ではあったが世界に届けられるのは初であるその人物。

それは。

ラージリアスの妹。

そして僕たちの仲間のレーミアちゃんだった。

バラキの姿。

そして謎のレーミアの行動。

世界は一体どうなってしまうのか!?

みらい達の行方は!?

お読み下さりありがとうございました。




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