第165話ベレッタの家族

サイリス視点

私達二人はようやく獣人の街へと辿り着いたのだ。

「へぇ…こんな所に凄い立派な街だわ。」

「そうでしょう?一先ず話をする為に街の町長の元へ向かいましょ?」

「え?ええ…でも大丈夫なんですか?こんな話中々。」

するとベレッタさんはニコリと笑顔を見せてくれ。

ベレッタさんの笑顔の意味は分からない私は後ろを着いていく。

確かに周りには犬の獣人、猫の獣人、兎の獣人等様々な獣人が住んでいるようだ。

するととある建物の前で彼女は立ち止まる。

「ベレッタさん?」

「ここよ!一緒にいきましょ?」

「はい!」

私はこうしてベレッタさんの後を追い家の中に入ったのです。

比較的大きな家はこの街の町長の家だと言ったベレッタさん。

でも挨拶も無しに入っていくって。

私はそうは思ったものの彼女の後を追って行くと。

やがて一つの部屋の扉の前に立つ。

コンコンッ!!

ベレッタさんがノックをする。

「はい!どなた??」

ガチャ。

ベレッタさんは返事もせず扉を開け入っていく。

「ちょ!ちょっとベレッタさん!そんな勝手に。」

「ベレッタ!!??」

中の誰かはベレッタさんを見るやいなや驚きの声をあげたのです。

「えっ!!??」

そこに居たのはベッドに座りベレッタさんを見て驚いている鹿の獣人であろう人物。

きっと見た目でわかる。

町長というのはベレッタさんの父親なのだろう。

するとベレッタさんの父親は急に咳き込みだす。

ゴホッゴホッ!

「だ、大丈夫ですか??」

私は町長さんの背をさする。

「お、おお…どなたかは知らぬが申し訳ない。」

「いえ!まずは落ち着いてください。」

「すまぬな……。ベレッタ…帰ったのか?」

そして町長さんはベレッタさんにも問いかける。

ベレッタさんは無言でじっと見ていたのだ。

「ベレッタ?お前の顔をまた見れるとは思わなかった…。母さんは…。」

そこまで話した町長さんは暗く表情を変える。

「そう……。」

ベレッタさんはそういうと部屋を飛び出してしまう!

「ベレッタさん!!??」

私は彼女を追おうとすると町長さんから声をかけられる。

「あの…何か話をしにきたのであろう?」

「えっ?」

「ベレッタが顔を見に来たとかそんな理由でここに来るわけはないのだ…そしてワシは君に優しさを感じる事が出来た…良かったら聞かせてはもらえないかね?」

「はい。」

こうして私は町長さんに世界の事。これから起こるであろう魔幻獣十二魔人の暴威を話した。

そしてその為に獣人の中から力を借りたいと。

「君は…サイリスさん…話はよく分かった…だがこのワシらの街の兵士も役には立てるようにしよう…だが…一番力を持つ者は…ベレッタ…あの子だ。一緒に連れて行ってはくれないかね?」

「町長さん…待って!!私が連れてくるから!!」

私は家を飛び出す!

そして走りベレッタさんを探す!!!

どこにいったの!!??

ベレッタさん!!??

「ベレッタさん!!いない!!」

私は次々と街中を探す!!!

「ベレッタさんっ!!??」

街の奥に丘が見えてくる!!

そこに誰かの姿が見えた!!!

「ベレッタさん??」

私は急いで丘を駆け上がる!!!

「はぁ…はぁ…はぁっはぁっ!!べ…ベレッタさんっ!?」

私がベレッタさんの後ろに立つとそこには。

お墓の前で手を合わせているベレッタさんの姿があった。

「ベレッタさん。」

私はベレッタさんの隣で手を合わせる。

「えっ!?」

「ベレッタさんのお母さん!どうかベレッタさんをお守りください!」

「サイリスさん……。」

ベレッタさんは一緒に手をまた合わせる。

私達はベレッタさんの母親の元で手を合わせ。

そして、私はベレッタさんを連れて父親である町長さんの元をまた訪れる。

「おお……ベレッタ……。」

「父さん…ごめんなさい…私からもお願いします!この世界を救う為に私達に力を貸してほしいの。」

ベレッタさんがそうお願いをすると町長さんは笑顔で答える。

「分かった…そしてお前にこれを渡そう。」

ベレッタさんの父親はベッドの下から何かの箱を出してくる。

「それは??」

「ああ…これは我家に代々伝わる我らの力の魔道具。これをさずけよう。」

「えっ!?」

「それはな…我ら獣人の力を発揮させるとあるアイテムだ…人の為にその力を使いなさい。」

「父さん。」

「兵士は明日には編成し各地に連絡し獣人軍として送ろう。」

「それでよいかな?二人とも。」

病もあるであろうに彼は流石に立派な人だった。

「ありがとうございます!」

「父さん!ありがとう!」

町長さんは立ち上がりベレッタさんを抱きしめる。

「あ。」

「行ってきなさい!そして帰ってくるんだぞ。」

ベレッタさんの目からは涙が零れだす。

彼女らの抱擁は私の心を温めてくれたの。

サイリスさんとベレッタさんは敵に対抗する人達の力をも借りる事が出来たようだ。

お読み下さりありがとうございました!


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