第155話マリンベルの暗雲

レイオール視点。

オイラは久しぶりに家にいる。

しかも二人の美女を連れて。

何故ここに転送されたのかはよくわかってないが。

ここはマリンベル。

どう言った訳か一緒にきたこの二人。

一人は酔っ払いの獣人ベレッタさん。

そしてもう一人は、あの魔道協会騎士団長ラージリアスの妹で騎士長でもあるレーミアだ。

だけどまあ悪くは無い。

どう言った訳かベレッタさんは親父に酒はあるかと尋ねるとお袋も元々豪快な性格で二人はベレッタさんに料理と酒をご馳走しはじめたのだ。

飲み始めると中々止まらないベレッタさん。

それにオイラの両親も気を良くし酒や料理やと次々と運んでくる。

そして親父は一緒に飲み出す始末。

「ベレッタさん……ちょっと!飲み過ぎですよ!」

「こんなに美味い酒!そして美味い魚!硬いこと言うな!飲むしかないだろう?」

「ええーーーーーっ!!??」

レーミアも流石に酔いすぎてるベレッタさんを止める事は困難を極めていた。

「こんな時はこーすればいいよ?」

オイラはどこからともなく持ってきた酒をグラスに注ぐとベレッタさんに差し出す。

「おおっ!?この酒は??」

「とっておきのひざけですよ?」

「おおーーーっ!?そうかそうか?ありがと〜!!んぐっんぐっんぐっ。ぷはーーーっ」

そしてオイラの差し出した酒を飲み干したベレッタさんはそのまま眠りについたのだ。

「すーーーっ。はぁーーーっ。すーーーはーーーーっ。」

「えっ?寝たんですか??」

「ああ!」

オイラ達はこうして夜もふけ寝たのだった。

オイラはふと目が覚めると外に出て海を見に行く。

するとそこに立って海を見ていた先客がいたのだ。

「レーミア??」

「えっ!?」

オイラの声に振り返るレーミア。

「あ!レイオールさん。」

「隣いい??」

そして頷くレーミアの隣に座る。

目の前の海はとても静かでオイラ達はあまりにも静かな海をじっと見ていた。

どれくらいの時間二人で海を眺めていたんだろう。

「あのさ!?」

オイラは先に口を開く。

そしてオイラを見つめるレーミアの姿。

(な!なんだ??オイラの心臓がこんなにドキドキしてるぞ?なんだこれは??)

オイラはこれまで女の子という生き物をこんなに間近で見た事がなかった。

しかもましてこんな美少女と話などした事はなかった。

そんなオイラを他所に潤んだ瞳で問いかけてくるレーミア。

(うぉっ!!??なんだこの生き物は!?オイラの母ちゃんなんて同じ女なのに全く違う生き物だぞ!!!)

オイラがそんな事を思っているとレーミアはまた声をかけてくる。

「どうしたの?レイオールさん??」

(くーーーーっ!?これはなんだ!?女ってこんなに可愛くてドキドキさせてくる生き物だったとは!!??)

オイラは昔から魔法の修行や漁を必死にしてきた。

その中で女の子!という生き物にほとんど面識がなかったのだ。

確かにみらいとらいとと出会ってからちょこちょこ。

サイリスやフレアース様など綺麗な女性には出会ってきたが気になどした事もなかったし自分はそういうものにうとすきたのだ。

それが家に戻り彼女達の事を嫁候補?と親が呼ぶとなぜかそこに反応してしまった自分。

やはり年齢も年齢になってくるとこれを意識するのも無理もない事なのかもしれない。

そして今オイラの隣には中々見る事の無い絶世の美少女がいるのだ。

そんな彼女は意識しないのかオイラの顔を覗き込むように話しかけてくる。

「レイオールさん?大丈夫??」

「あ!ああ!大丈夫!!オイラは大丈夫!!」

オイラは思わず立ち上がりそう強く言ったんだ。

すると。

クスクスッ!!

「えっ!?」

「あはは!レイオールさんって面白いね!」

彼女の笑顔は月明かりと海の波間の光により美しい表情も倍増したような気がする。

オイラはレーミアのその表情にドキドキが止まらない。

「そ、そうかな?れ、レーミアだって、、

、か、かわいい、、、と思うぞ。」

「えっ??」

オイラの言葉に聞き返すレーミア。

(こ、こんなにドキドキしてしまうとは!?これはどうしたらいいんだ??やっぱし慣れてそうならいとにでも聞いとけば良かった!!)

オイラはこの場に来てなぜか後悔の念にかられる。

「くくっ!!そんな心配はいらないさ。」

突如聞こえてくるオイラの心まで読んだかのようなセリフと声。

「誰だ!!??」

オイラは声の主に問い返す。

すると海が波立ってくる。

「なにっ!?」

「レーミアさがるんだ!!」

オイラはレーミアを庇いながら声の主を威嚇する。

ドバーーーーーーーッ!!!

海から現れたのは…一人の男の姿だったんだ。

「お前は……誰だ!??」

そこに立っていたのは長髪でその整った顔立ち。

レイオールはふと思い出す…その懐かしい顔を。

「ま…まさか。」

「ククク…そうだ。僕の名はマリオン……お前の師でありそして……お前を破滅させる男の名だ。」

突如レイオール達の前に現れたのはなんとレイオールの師でもある若かれし頃の姿のマリオン様の姿だったのだ。

果たしてどうなる!?

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