第144話らいとの大切な飛鳥

らいと視点

「飛鳥!!??」

飛鳥は飛び出していってしまった。

俺はただ…今…話の中のスサノオという恐ろしい相手の力を全身に感じてしまって。

大切に思っている飛鳥を傷つけたくなかったんだ。

そんな相手にアイツが傷つけられたらと思うと。

俺はそう考えていると。

天草は俺に声をかけてくる。

「らいと…殿…貴方の判断は私は間違ってはいないと思いますよ…それほど…スサノオの力はこの世界にとっても脅威なのです。」

「ああ…天草様の言う通りだ…まずは彼女抜きでの作戦を立て今回の件を進めていくことにしよう!」

「分かった。」

俺はそういうと天草、そして沖田とスサノオを倒す為の作戦を立てる話し合いをするのだった。

だけど俺の心の中はどこかぼっかり穴か空いていたんだ。

飛鳥が不在のまま…

俺達は準備を始めだした。

名前としてついたのはスサノオ討伐隊。

リーダーの沖田を筆頭にこの邪馬国の力を持つ兵士五人。

それにプラス俺一人の計六人の討伐隊が発足されたのだ。

作戦とは。

スサノオの眠る祠太陽の祠という名のついた江渡守の東にある東仙という場所にこの祠は眠っている。

俺達六人は早速その場所を目指す。

俺は飛べるが他は飛べる訳では無い為沖田達と共に行く俺。

(飛鳥……あいつどこ行ったんだろうな……。)

あの時部屋から出ていってしまった飛鳥は気配を消しどこかに雲隠れしたような状態で俺にも探す事も出来なかったんだ。

「どうしたんだ?らいと君?いつもの元気は無いみたいだけど?」

ふと、沖田が俺に声を掛けてくる。

「え?あ!いや、なんでもねーよ?」

「ははっ、あの時のらいと君の顔は誰が見ても真剣だったからな!」

「そうですか?んな事ねー気が…」

そう言った俺だったけど実は本当に嫌な不安感が心に溢れつい口に出してしまっていたんだ。

「彼女が大切なんだね?」

「ん?あ…ああ……まあ…な。」

俺の言葉はいつもこう上手く伝えられない。

それはいつもそう思う。

「でもらいと君の気持ちも分かるけど僕には彼女の気持ちも分かる気はするよ?」

「えっ?沖田さんには分かるのか?」

「まあこれでも君よりは長く生きてるし女性との交流は時折あるのでね?」

「まあ確かに沖田さんはモテそうだもんね?」

俺がそういうと沖田さんは笑顔を見せる。

「あの子…飛鳥ちゃんは風雅の妹だよね?」

「ああ…まあな。」

「風雅の話は色々な所からの情報を聞いていて僕達ももう…存在していない話はきいたんだ。」

「…………。」

「風雅がまだ魔幻獣十二魔人に入る前は僕と肩を並べる存在でね。風雅は蘭樹さんの話もしていたが妹…飛鳥ちゃんの話も僕によく話してくれていたんだよ。」

「ああ…。」

「いつも元気で…確かに口数少ない所は君に似ている部分があるのかもしれないな。」

「俺と風雅が!?まさか。」

「いや!案外似てるとこあるのかもしれないよ?」

「………………。」

「いつも人を、仲間を、そして大切な人を守る為ならその身をかけるのに生命をかけるのも厭わないところも。」

俺を飛鳥はいつも見てくれてたな。

風雅を倒してからその存在はきえた。

邪馬国には平和が戻りそして飛鳥はらいとに強くしてください!と。

弟子入りした。

でも飛鳥は確かに忍びとして生まれてきた事もあってか戦いのセンスは確かに良かった。

「ししょー!と呼ばせてくださいね!」

「飛鳥。」

「ししょー!ご飯出来ましたよ!」

「ししょー?もう寝ました?」

「ししょー!大好きです。」

俺の頭の中には飛鳥の色んな顔が思い出される。

「飛鳥!!??」

俺は気がつくと一人になっていた。

洞窟を目指し俺を入れたら確かに六人でスサノオの元を目指していたはずなのに。

「ん?誰がいるのか!?」

俺の声に辺りに不思議なモヤが立ち込めてくる。

「これは!?」

気がつくとそこは洞窟の大岩のある目の前にいたんだ。

辺りを目視すると気を失って倒れている沖田さん始め一緒に来た兵士達の姿。

(これは…やばい!!??俺達を眠らせて…食う気か!!??)

俺の頭にそんな考えが浮かぶ。

『ぐふふ…ぐふ…ぐふふふふ。』

「だれだ!!??」

俺の叫びに益々モヤが酷く濃くなってくる!!

(やばい!!これは!!??)

「ししょーーーーーっ!!!」

ビュンっ!!!!!

周囲に風が舞い一気にモヤを吹き飛ばしていく。

そして俺は気がつくと飛鳥の身体に支えられていたんだ。

「あ…あす……か。」

「ししょー…こんな弱々しい声初めて聞いたから…なんか頼られてるって感じで…嬉しいです♡」

「はは…さんきゅ飛鳥…やっぱ俺には…お前が必要だ。」

「ししょー♡大好きです♡」

ビュンっと俺の身体を風が包み。

そして。

俺達を包んでいたモヤが飛鳥の風により消えていく。

「おおっ!!飛鳥の風がモヤを払ってくれたおかげで力が戻って目も完全に覚めたぜ!」

「はい!ししょー!私も一緒に戦います!」

「ああ!!飛鳥!!お前だけは俺がどんなやつからも守ってやる!!!いくぞ!!」

こうして俺達は遂にあのスサノオと戦う事になったんだ。

恐ろしい敵スサノオの脅威に立ち向かうらいとと飛鳥!!

どうなる!?

お読み下さりありがとうございました!

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