ユメカナッ！！本編

第139話マルコスの力

サイリスの放った技によりドラゴンの触手は崩れ落ちる。

「お！おのれ！！」

マルコス王子はその身体の触手を切り落とされ悶える。

ワナワナと身体を震えさせ、サイリスに向い今にも襲いかかろうとしているマルコス王子。

するとサイリスの前に立つラージ。

「ラージ？」

「サイリス…ここからは僕がやる！下がってて。」

「うん。気をつけて…ラージ。」

ラージは魔人と化したマルコス王子に対面すると腰の鞘から剣を引き抜いていく。

「マルコス王子よ！さぁ来るがいい！民を傷つけ国をも滅ぼさんとするその行為…たとえ貴方が国の王子としても僕は許す訳にはいかない！！」

ラージ視点。

僕は剣を構えると元マルコス王子だったはずのその怪物テンタクルドラゴン。

触手を生やし、しかもその姿はドラゴンという恐るべき怪物。

きっとマルコス王子は魔幻獣十二魔人の手に落ちた時からその体を改造…そして、とうとうこんな怪物へと変化してしまったんだ。

「おのれ…魔幻獣十二魔人……どこまでこの国を苦しめるのか。」

その時…テンタクルドラゴンが声を発したのだ。

「くくっ…ラージよ…我のこの力は全てを破壊し尽くすのだ…こうなってからでは、もはや我が力の制御などできぬのでな。よって…問答無用でお前も。」

テンタクルドラゴンの触手は再び生え揃っていく。

「えっ！？そんな！？」

サイリスが仕留めたはずの触手は今また生え揃ったのだった。

うねうねと蠢き僕に襲いかかろうと今か今かと待つ触手。

「大丈夫だ！サイリス！ここは僕が決める。」

僕は剣を再び構える。

すぅ〜っ。はぁ〜っ。

深呼吸を一つ。

「はぁぁぁーーーーーっ！！？？」

声と共に僕はテンタクルドラゴンに向かい走り出す！！

うねうね動いていた触手達は僕めがけ突撃を開始する！！！

「はっ！！はぁぁぁーっ！！」

シュンッ！！シュンッー！！っと次々と触手を交わしていく僕。

ズシャッ！！

スパッ！！！

交わしながらその触手を斬りつけていく僕。

斬られた触手はその身をボタボタと地に落ちきえていく。

僕の身体は更に加速。

テンタクルドラゴンの間近に迫る！！！

「おのれ！ラージ！！よくも僕の身体をまた傷つけたな！！これならどうだ！！！はぁぁぁーーーーーっ！！！」

ズボボという音と共にドラゴンの口から更に太く大きな触手が現れ僕めがけてうねうね飛んでくる！！！

「くっ！！しまった！！近い！！？？」

あまりに接近していた為にそのまま僕の身体めがけ食らいつこうとしてくるテンタクルドラゴンの巨大な触手！！！

ガキン！！！！！

僕は咄嗟に剣でその攻撃を防ぐ！！！

触手は今にも僕に食らいつきそうな勢いだ！！

「ぐっ！？くぅぅっ！！たぁぁぁーーーーーっ！！！」

僕の剣から眩いほどの光が溢れたかと思うと力が漲り触手を跳ね返す！！

「これは…凄いな魔導石……僕の聖剣『ライトエグゼイド』から凄い力が溢れてくる。これなら。」

僕は再び剣を握るとテンタクルドラゴンに向け刃を振るう！！！

「はぁぁぁーーーーーっ！！！」

ズババババッ！！！！

テンタクルドラゴンを斬りつけていく！！！

「ぐっ！！？？ぐああああーーーーーっ！！」

ドラゴンは血しぶきを飛ばしながら悶え苦しむ！！！

僕はテンタクルドラゴンに向け剣を構える。

◇

◇

◇

マルコス王子視点。

僕は今意識を何かに奪われていた。

ボーッとしているとそこに見えてくるのは怪物と化した僕の身体により破壊された街。そして人々…。

ああ…僕はどうしてこんな事に。

今ふと頭に浮かんできたのは僕がこの街フォーゼンボルグに来た時の事。

国王と大喧嘩をして僕は城を飛び出したのだ。

憂さ晴らしと思い街までくるとこんなに国民が笑顔で暮らしてたとは。

僕の目には本当に素晴らしいと感じ思ったのだ。

僕の地位は確かに国の王子。

いずれは確かにこの国の国王となり一生を終える事になるのだ。

朝起きて全てする事は決まっており…それをこなす毎日。

そして例え国王になったとしてもそれは変わらず国の為国民の為に働きそして死ぬ。

これが俺の生まれた国王家に生まれた僕の宿命ではあるのだ。

ところが。

見ろ？この国民の自由でめちゃくちゃ楽しそうなこの笑顔を。

僕はその暮らしと生き方に心を奪われたのは言うまでもなかったのだ。

そんな時。

僕は魔道協会に入らないかと声をかけられたのだ。

王子としての地位を無駄にすることなくそしてある程度の自由な暮らし。

ここには僕の本当の幸せがあった。

この魔道協会は僕に本当の幸せを教えてくれたんだ！！

「だから！！だからぁぁぁーーーー！！！」

僕の身体は更に変化していく。

身体から凄い力が湧いてくるようだ。

◇

◇

◇

マルコス王子の力の解放。

そしてそれに対するラージの力！！

どうなる！？