第125話幽閉された二人
サイリス視点
辺りはゴツゴツとした石壁そして独房に入れられた私達。
「ぐっ!?」
「大人しく入ってろ!?」
「キャッ!!??」
私とラージは無造作にこの独房に入れられてしまった。
私の手首には滅魔石を使用された特殊な錠をはめられている。これにより私はもちろんラージも力を奪われまともに動けないのだった。
「ちょっと!こんな所に…」
「無駄だ!サイリス!」
「えっ!?」
「今は….大人しくしていよう。」
「うん。」
◇
◇
◇
私達が幽閉されてどれくらいだっただろう。
牢には子窓が付いていて夜になるとそこから月が見えていたの。
私は気がつくと彼はじっと月を眺めていたの。
「月?」.
私の声に気づきニコッと笑顔で返す彼。
「月…すごく綺麗だよね…。」
「ええ…すごく綺麗。」
私も身体を彼に近づけていき隣で月を眺める。
こうしないと一つの窓から見える月が見えないから。
「ラージ…あの時言えてなかったけど……私を助けてくれてありがとう!そして私の代わりに落ちてしまって…本当に…ごめんなさい。」
私のその素直な言葉を聞いたラージは月を見上げたまま答えてくれた。
「ずっと…気にしていたんだね…大丈夫だよサイリス。僕は一度だって君を怒ったり恨んだりした事はないよ。」
私は気がつくと彼のその言葉に目から涙が溢れ出す。
「えっ!?え?…ぐすっ!ううっ。」
私の胸は熱くなり彼に申し訳なさでいっぱいだった。
「ううっ!ほ、本当に…ごめんね!ラージ!」
私の目からはもう止まらない涙がポロポロと落ちてくる。
すると彼は両手が動かせない代わりに私に寄り添いそして…頬にキスをしてくれる。
ちゅっ。
「えっ!?」
思わず私は顔が熱くなる。
「今は…これしか出来ないや。」
「うん。」
私は泣いた…彼への罪の意識も彼の言葉と行動により洗い流されていったような、気がしたの。
そして彼の腕の中で私は眠ったのだった。
◇
◇
◇
私が気がつくと彼はまだ起きていた。
「あれ?ラージ?」
「ああ…サイリス…起きたのかい?」
「うん…私いつの間にか寝ちゃってた…ごめんね!」
私はふと昔の事を思い出す。
「サイリスどうしたの?」
私を見てたラーくんが声をかけてくる。
「そう言えば昔ラーくんと沢山遊んだし沢山色んな事してきたんだなって。あ!冒険は沢山行ったもんね!」
「そうだね!確かにずっとサイリスと一緒にいたような感覚かな?僕も考えてみると妹よりもサイリスとの時間の方が長い気がするよ!」
「そうね…レーミアちゃんも確かに居たけどまだ小さかったしね!」
「そうそう!サイリスが本当の兄妹みたいだったかもね!」
「そうね…でもラージがその時約束してくれた言葉ってさ…まだ覚えてる?」
私はちょっとドキドキしながらラージに聞いてみる。
ラージはふと月を見上げると。
「もちろん…覚えてるよ。」
「あ!あのさ、それってまだ時効じゃない…かな?」
「あははっ!」
笑い出すラージ。
「もうっ!!ラージのバカっ!!」
「怒らないでよ!サイリス!ね!」
「知らない!」
「ふむ………。」
ラーくんは一瞬考え込む。
するとラーくんはゴソゴソと動き出す。
「えっ!?どうしたの?」
「ちょっと!まって…て!」
私の後ろに回ったラーくん。
後ろにいて何されるか分からなくてドキドキが止まらない。
ぎゅっ。。。
「えっ!?」
気がつくと手に錠がされているけどそれでもなんとか私に身体を密着させてくれるラーくん。
そしてドキドキしながら私は時を待つ。
すると彼は私の後ろから囁くように口を開く。
「サイリス…僕はいつまでもサイリスのナイトだよ…ずっと君を守るよ!」
「ラーくん。ありがとう!!」
「その前に、ここから出なきゃな!」
「そうね!でもどうしたら。」
「サイリス…提案なんだけど…僕はこの力を使うと暫く動けなくなってしまう。だから動けない僕を支えててくれないかな?」
「うん!分かったわ!」
「ありがとうサイリス!」
「あのね…ラーくん!動けなくない時でも…私。」
「うん!」
すると、ラーくんの身体は光り出す。
「これは…」
「錠をずっとかけられてるせいで吸われていく力をコントロール出来るようになったんだ。だからこうして……はぁぁぁっ!!」
私の手錠にその光が移動してくる。
パリンッ!!!
「す…すごいわラーくん。」
「剣がなくとも力をコントロールすればなんとか出来たんだ!これでレーミアの錠も破壊できたしね!」
「このまま自分のも…えっ!?」
ラーくんはそのまま気を失ってしまう。
「そっか…こういう事ね。」
私はラーくんを支えた。
ラーくん。
必ず一緒に出ようね!
こうして私達は処刑の日を迎えるのだった。
◇
◇
◇
ラージとサイリスはどうなってしまうのか!?
お読み下さりありがとうございました!
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