第123話らいとと飛鳥。

らいと視点


飛鳥は俺の目の前でウォンという化け物に力を奪われ倒れてしまった。

俺の事を本気で好きだと言ってくれた飛鳥。

思えば飛鳥とよく話すようになったのは世界樹の所へ行く前の事か。

「らいとさん!お願いがあるんです!私を強くしてください!!」

そう言ってきた飛鳥に俺は基本を教えれば満足するだろうと思ってオーケーし、それから戦闘訓練などを教えてきたんだ。

飛鳥はそれから事あることに俺と一緒にいれくれた。

だが…これは、らいとにとって不思議な感覚だった。

何故かこの飛鳥とは兄妹の様な以前から知っていた様な謎の感覚。

そしてらいとは飛鳥といる事が当然であるかのように今はなってしまっている。

(こいつと俺はずっと一緒にいるんだろうな…そして俺はこいつをずっと守ってやりたい…。)

サイリスと違った点は俺を好いてはくれてはいるが俺は飛鳥に不思議な感情を覚えている事…。

(俺には魂から飛鳥が必要なんだ!!!!!)

「うぉぉぉぉぉーーーーーっ!!飛鳥ーーーっ!!!」

俺の内なる力が溢れだしてくる。

不思議だ!!今までこんな事はなかった。

すると力無く微かな声で俺を呼ぶ飛鳥。

俺の手の中で目に涙を浮かべながらニコりと微笑む飛鳥。

「らいと…さん……?呼んで…くれました?」

「ああ…お前は、もう大丈夫だ……俺がいるぜ………。」

「はい…。」

飛鳥は笑みを浮かべる。

「なんだお前!まだそんな力が残ってたのか?だが…これで終わりだ!!」

ウォンはそう言うと力を貯める。

「これがさっきとは数段上の奥義だ。かえるぴょこぴょこ…」

「むぴょこぴょこーーーーーっ!!!!!」

ウォンの口から舌が無数に飛び出す!!!

「らいとさん…私感じます…らいとさんと私ってすっごく相性いいんですね…」

「ああ…飛鳥……俺にはお前が必要だ…お前がいれば俺は……。」

俺の身体中に溢れ出す魔力。

「な…なにっ!?そんな魔力をお前はどこに隠してやがった!?俺が全て奪い取ってやる!!」

轟々と、うなる風にのりウォンの舌は俺の身体を捉えていく!!

「俺は飛鳥がいれば最強だ。」

俺の刀に雷が落ちる!!!

ドガーーーーーーーーーーンンンンンッッ!!

「なんだ今のは!?」

するとウォンの身体は震え出す。

動物的本能とでも言うべきか。

身体が震え。そして…。

(だが…俺の舌はアイツを捉え今力を奪えるのだ。)

ウォンは滅魔石化している身体の全神経を集中しらいとの魔力を吸い始める!!

「くくっ!!これでどうだ!そっちの女の力は最早…風前の灯火だ…今度はお前の番だ。」

ウォンの無数の舌はムチと化し再び襲いかかってくる!!

ヒュンッ!!!

俺の刀は鞘に納まる。

カチンッ。

「なにっ!!??うがあああーーーっ!!!」

ブシューーーーーっ!!!!!

ウォンの舌が宙に舞いポタポタ地面に落ちる。

「ぐわっ!!!な!なにをひはーーーっ!!」

口を押さえ悶絶するウォン。

転がり泣き叫ぶウォンに俺は近づいて行く。

「は!?はへはーーーーっ!?(な!なぜだーーっ!?)」

「はぁ?お前何言ってるか分からねーぜ!?」

「ほ!ほ!ほはへはほへひひははをふはへへはひゃないか?はへは!?(お!お前は俺に力を吸われてたじゃないか?なぜだ!?)」

俺は刀を抜き刀身を光に翳す。

キラリと光る刀身に何かの力が宿ってるようにキラキラ輝く。

そして…その柄には。

「は!?はんはほへは!?(な!?なんだそれは!?)」

「こいつは…俺達がここに探しにきた貴重な石らしいぜ?」

「はぁ!?は!ははは!ほひは!?はほふへひ!?はへ!ほへほほはへはほっへふ?(はぁ?は?それは!もしや?魔導石!?何故それをお前が持ってる!?)」

「こいつはな…飛鳥の風に乗って俺に居場所を知らせてくれてな…俺のさっきの落雷で眠りから覚めたらしい。俺達二人の………勝ちだ。」

「はひぃぃぃーーーーーっ!!??」

慌てふためくウォン。

俺は抱きとめていた手から飛鳥の身体を地につけてやる。

「私も、もうバッチリ回復しましたっ!」

ウォンは飛鳥を驚きの表情で見ている。

「おはへほひひほ!?(お前も石も!?)」

ガタガタ震えこちらを見ているウォン。

「さぁ…これで形勢逆転ってやつだけど…飛鳥こいつどうする!?」

「ししょー?どうしましょ?」

「もうさっきから何喋ってるか分かんねーしな…。」

「確かに分かりませんねー…それに…実は私蛙好きじゃないんでーす!」

「あはは!そんな理由か!?」

「そうですよ!ししょー!」

「それなら…」

俺達は魔力を溜め…そして構える。

「「風雷陣ふうらいじん」」

俺達二人のコンビネーション攻撃。

風と雷が一気にウォンの身体を通過する。

そのスピード。

まさに電光石火。

「ぐぎぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!?」

ウォンは絶叫と共に消滅したのだった。

「ふぅ…飛鳥大丈夫か?」

「はい!ししょー!そう言えば…さっきのししょーの言葉…私がいれば…の続きのセリフください♡」

「ん?俺そんな事言ったっけか?」

「あーっ!ずるいです!ししょー!」

「さっ!行くぞ飛鳥!」

「あーん!待ってくださいよ!ししょー!」

俺達は絆を感じる戦いを終えた。

魔導石を手に入れたらいとと飛鳥。

果たして…ラージ奪還に間に合うのか!?

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