第120話光の魔導士ライティア

神獣フェニックスの癒しの風を受けた僕達。

そしてねこまと僕達の間に割って入ったフェニックスは、ねこまを睨みつけている。

「神獣だと!?こんなもの誰が使役してるって言うんだ!?」

するとフェニックスは倒れてた僕達に促すように背を向けてくる。

「せ…背中に乗れと?」

僕にはフェニックスがそう言ってる様な気がしたんだ。

「み…皆!ここはひとまずフェニックスの背に乗ろう。」

「あ……ああ。」

ダンさんはレイオールをやっとの事で連れてきてくれ。

そして僕達三人は消えてしまったサイリスさんとラージさんを残しひとまず撤退を余儀なくされたのだ。

「ふふ…あーーーっはっはっはっは!!逃れるか…しかしこちらの手にさっきの女とラージの身柄がある事を忘れるな!!まあ何度来ても我が力にこうしてひれ伏すことになるがなぁ!!!」

そしてフェニックスはその大きな翼を広げると大空へ飛び立つ!僕達はねこまのその笑い声を耳にしながらフェニックスの背で逃れるのだった。

「う……うぅぅぅ…………っ!?はっ!?」

僕が気がつくとそこはどこかの小屋の中だった。

「こ…ここは?」

「あ!目が覚めましたね!良かった!」

そこにはレーミアちゃんがいてどうやら僕達は彼女に危機一髪の所を救われたようだ。

「えっと、僕はサイリスさん達を助けようとして戦って…そしてあの『ねこま』とかいうやつに皆やられて…あ!皆は!?」

僕は周りを見ると僕の寝ていたベットの隣にも逆隣にもベットがありそこにはダンさんとレイオールも横になっていたのだった。

「ダンさん!レイオール!?」

「ん…おう!みらい君!君も気がついたようで良かった。」

「う……うぅぅぅっ!くそっ!アイツやばかった!オイラも結構くらったけど。」

「そっか、でも二人はひとまず無事で良かった。レーミアちゃんありがとう!!」

「いえ!ある程度傷は癒えたかとは思いますがどうですか?まだどこか痛みますか?」

僕はその声に身体を確認するとねこま達にやられた傷はもはや浅く治りかけてきているようだ。

「これは…本当に凄い。レーミアちゃんって治癒士さんなのかな?」

「まあ。私も兄も光の魔力を有する者兄は私ほどまではいきませんが治癒も少しは出来てしまいますね!」

「なるほどね!でもこれでは本当に悔しいけどあのねこまの言う通り今の僕達では相手にならないや…せめてらいとと飛鳥ちゃんが石をとってきてくれたなら…それに。」

僕はふと思い出す。

僕を影から攻撃してきた男。魔幻獣十二魔人の一人闇犬の事を。

「どうした?みらい君?」

「いや、あの戦闘中僕を攻撃してきたのは闇犬と言ってたんだ。あいつは十二魔人の1人だよ。しかもあいつの能力もやばかった。そしてここにはもう一人魔導協会を牛耳ってる奴がいるはずだよね?」

「それって。」

レーミアちゃんは呟く。

「魔導協会会長にして最強の男…バラキ…でしょうか。」

僕は頷く。

「きっとそいつも魔幻獣十二魔人の1人だよ。」

僕達はここへきて敵の更なる力と脅威を感じる。

するとそこへぽぉーっと光が射し込むと姿を現したのはライティア様だったんだ。

「ライティア様!!」

レーミアちゃんを退ける僕。そして。

「ライティア様…すみません……僕達ラージさんとサイリスさんを救えませんでした!!」

深く頭を下げ謝罪をする僕。

「いや!私も恥ずかしながら…」

「そんな事ならオイラも…アイツらに遅れをとってしまってあれは…為す術がなかった。」

するとライティア様は口を開く。

「皆さん…大丈夫……まだ彼らは生きています…幽閉はされているものの力は感じます…ですが死刑執行の時が決まったようで…私はそれを報告に…そしてもし…らいと達が間に合わない場合は…別の手段をとりましょう。それに…レーミア…あなたと皆さんに話しておかなければならない事があるのです。」

「ライティア様?それって?」

ライティアは初めは力を渡したらいとが正式な力の後継者だと思っていたのだが実はレーミアとそしてラージの二人だった事に気がつく。

これは普通なら有り得ない事。

この世界ではほとんどの者が一種類もしくは二種類の魔法までしかその魔力は持てないのだがらいとはどんな魔法でも使えてしまうという超特異体質だったのだ。

それで光の力も受け入れはしたのだが光の力はらいとにとっては正統な継ぐ者ではない事実を知る。

では…自分のかつての弟子であったラージはというと。

時はラージの幼少期に遡る。

ライティア視点

「師匠!僕は将来師匠の力を継いで立派な聖騎士になって見せます!」

「ほぉ?そうか?それは実に楽しみだな!だがいいのか?お前は『ベルリス』家の立派な後継者であろう?」

彼の家は昔からの名家。ラージに必要なものはこの力というものではなく屋敷を守りその家を守っていく事だろう。

家の事、世界の事の知識なら必要だろうがこうして私の元にいてもなんの為にもならないであろう?

この家に私が呼ばれたのも実はラージの父からせめて剣の訓練くらいはしてほしいと剣の講師を頼まれたからである。

するとラージは根っからの真面目さでその剣技は見事に私の技を吸収していったのである。

これには教えている私の方も楽しくなりラージをどんどん鍛えていったのだ。

そして…ある日私はその剣技に光を見たのだ。

「これは!?」

それからはラージに少しづつ光の魔法も教えていったのだ。

こうして私のラージへの講師は終わりの時を迎える。

「ライティア様!今までありがとうございました!」

「ああ!いつか大人になったら…いや…なんでもない。またいつか。」

こうして私はラージへのそれ以上の介入はこの名家からは許されはしなかったのだ。

それから数年の時を経てまだ私はこの国にいたのだ。

彼ラージとは特に会いもせずに。

そしていつも通りの生活をしていた私だが何処からか私の元へ彼が滝に落ち行方不明になったと報告があった。

私は家を飛び出した!!

そして必死にラージの生存と安否を確認をしに!!

すると私は遂に川を流され途中で木に引っかかっり気絶しているラージの姿を見つける。

私はラージを救出すると治癒しそれから完全に回復するまで一緒に暮らしたのだ。

そして私は彼に私の後継として期待をし力を半分ほど授けていたのです。

もちろんこれは彼が望んだ事。

理由は…大切な人を守りたい。

だからもっと強くなる。

彼はそう望んだのだ。

そして、この一件でラージは世捨て人として生きてきたのだ。

そしてラージ損失後は親もファンガイアとの交流も全くしなくなる。

それでもファンガイア王はラージの損失は責任もって償うと。

しかしそんな折り。ベルリス家は突然の不慮の事故により親二人を亡くしてしまうことに。

それを聞いた私はラージを家に返す事にしたのだ。

こうしてベルリス家は親はいずとも二人は成長し騎士団にまで入りこの国を支えてきたのだ。

「そんな事がラージさん達とライティア様の間にあったんですね。」

「ええ…でも二人はそんな暗い過去も乗り越えて魔導協会の聖騎士として活躍していましたが…こんな事に巻き込んだのは全て私の行動が原因かも知れません。そしてレーミアには、こんなに辛い思いをさせてしまう事に繋がったのですね…許してとはいいません…たった一人の兄も貴女も私の一存でこんな恐るべき世界に巻き込んだ事…本当にごめんなさい…レーミア。」

するとレーミアの目から涙がこぼれていたのだった。

そっとレーミアの涙をふくライティア様。

「レーミア…ラージには光の力は既に授けてあります…そして貴女にも今ここで。そして皆さん…私は残りの力をレーミアに渡した瞬間もう戻ってはこれないでしょう…どうか…二人を…そして世界を…よろしくお願いいたします。」

ライティア様はそう呟くとその光は消え去り何も僕達には聞こえる事も感じる事もなくなったのだった。

「ライティア様…私は必ず。」

身体が優しい光に包まれたレーミアちゃんは輝いたんだ。

光の魔道士ライティア…彼女もまた力を後継に与えそして…光となり消えるのだった。

お読み下さりありがとうございました!

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