第110話らいと、飛鳥、サイリス。
俺はミスリルとの戦いの後。
一人ある場所に佇んでいた。
「みらも強くなっていたな…あのキューズの技に俺はまた手も足も出なかった。くそっ!!」
俺は考えていた__。
「ここにいたんですか?師匠?」
「んあ?ああ…飛鳥か。」
俺の元へやってきた飛鳥。
よく見ると腕骨折していた為、今はギブスをつけその姿は痛々しかった。
「腕もう良くなったのか?」
「はい!もう平気です!あの…隣…座っても?」
「そっか…ああ……。」
飛鳥は俺の隣に腰掛ける。
俺達はしばらく無言でいた。
それは不思議と安心出来る心地いい空間。
俺の目は自然に閉じて…。
(あれ?なんだこれ?)
◇
◇
◇
俺は突然目覚める!!
俺の目の前にはあのミスリルがいてサイリスと飛鳥はミスリルの巨大な触手により縛りつけられ身動きが取れない状況だ。
「くっ!?」
(これは?夢なのか?こないだこいつは俺達が倒したじゃねぇか!?)
「おっ?中々しぶといじゃないか?らいと君?」
ミスリルは俺にそんな声をかけてくる。
「くそっ!!??う!うごけねぇ!?」
「ふふっ!当たり前じゃないか!?僕の触手は君の力ごときじゃ破壊なんて無理無理〜〜!」
苦しくもがくも俺の力では引きちぎる事も叶わなそうだ!!
「そうそう!大人しくしててくれよぉ!!実はね!君にこの状況で聞きたい事があるんだよぉ?」
「くっ!くそっ!?いったいなんだ!?言ってみろ!!??」
俺がそう叫ぶもミスリルの触手は俺の身体をさらに締め上げ一向にその触手からの解放は為せるように感じられない。
「ま…魔法はどうだ!?ふ、ふぁい…うぐぅっっ!!??」
俺が魔法を使おうと魔力を溜めるとそこには出した魔力が吸い取られていくのだった。
「う!マジか!?ま、魔力が………。」
「ふふ…魔力だって僕が君からぜーんぶ吸い取っておくよ〜〜〜!なんたって君の魔力はずば抜けて凄いからねぇ〜〜〜!!」
より一層ミスリルは俺の身体から魔力を奪っていく。
「うあああああ!!」
するとそれと同時に二人の叫び声が聞こえる!
「うわぁぁぁーーっ!!!」
「きゃーーーーーっ!!!」
「サイリス!!??飛鳥!!??」
二人を押さえつけている触手はどうやら俺の魔力を吸い更にパワーアップしたようだ!!
「あーーっはっはっはっは!!どうだい!?新たな僕の力は!!??君がその魔法を使おうとしても魔力は僕に吸い尽くされ!そして君に好意を寄せる二人の女の子達は僕に捕まり蹂躙されていく!!!」
「くっ!そぉぉぉーーーーーっ!!??」
(なんとか!なんとかなんねーのかよ!!??)
俺はそう考えるも徐々に奪われていく俺の体力と魔力。
力も入らず絶体絶命のこの状況に俺は焦りと怒りを感じる!!!
「おい!!ミスリル!!??てめぇ!お前は俺だけをやればいいだろ??二人は離しやがれ!!!」
ニョロニョロと蠢く触手。
すると触手はその動きを止めミスリルは俺に話しかけてくる。
「はぁ!?君は一体、何を言ってるんだい??どーしてこの僕が君の要望をこの状況で聞いてあげなきゃいけないんだい??」
確かに最もな話であった。
らいとはそう思ったがグッと堪える。
「ふふん!悔しいか!?悔しいだろぉ??」
「くっ!?てめぇ!!??」
「そんな勢いづいたってもう、ジ・エンドさ!あーっはっはっはっはーーー!!!」
するとミスリルは何かを閃いた様子。
「そうだそうだ!それなら一つ提案しようかなぁー!僕って優しい!!」
ミスリルはサイリスを指さす。
「じゃあさ!この子!サイリスちゃんだったかな?そしてぇ……。」
そのまま指を今度は飛鳥に向ける。
「この子!飛鳥ちゃんだよねぇ。」
するとミスリルは続ける。
「この二人のうち、どっちかは僕のお嫁さんになってもらおうかなぁ〜!そしてぇもう一人は…君と一緒に消えてもらう!あーっはっはっはっはーーー!!!」
ミスリルは俺の顎を掴むと顔を上げさせる。
「さぁ!君が選ぶんだ!!生きて僕のお嫁さんになる子を選ぶんだよぉぉぉーーー!!」
ミスリルの腐った提案に俺は吐き気を覚える!
「てめぇ!!」
「さぁ!?質問は僕の方がしてるんだ?選べよ!!」
「この……やろーーーーーーっ!!??」
◇
◇
◇
「このぉーーー!!??」
ぽかりっ!?
俺の頭部を誰かが小突く。
「は?え?」
俺が目覚めるとそこには飛び切りの笑顔のサイリスが俺を起こしていたようだ。
「どうしたの?このやろーーーって!」
「ああ!変な夢見てたぜ。」
「そう?おかしならいとさん!で?この子とどーしてこんな所で一緒に寝てるの?さぁ!答えなさい!」
指を刺し俺に答えを求めるサイリス。
「はは…なんかしらねーけど、いつの間にか一緒に寝ちまってたんだ。」
「ふぅーーーーん。そーですか?」
サイリスはそういうと少し怒り顔だ。
その時。
「うーーーーーん…お兄ちゃん…らいとさんってお兄ちゃんみたい…。」
俺達はその寝言に笑えてくる。
「あはは!こいつなんの夢見てんだろーな?」
「まあ、まだまだ飛鳥ちゃんは私のライバルではないわね、ふふふっ。」
俺は二人を見るとなぜかほっとする。
そう思えるようになった俺はこの安心感に幸せを感じたんだ。
◇
◇
◇
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