第109話ダンさんandネージーさん

ダン視点

これは、あのミスリルとの戦いから数ヶ月後の話である。

世界は混沌の世界へと変貌はしていたのだが。

ここエルフ達の暮らす地下世界エルリアーナは無事だったようだ。

そして私は今ネージーと二人でエルリアーナを訪れエルフの女王エリーン様の元にいたのだ。

そして…何やら困り事が。

「さぁ…ネージー!ハッキリ聞かせて頂戴な!」

エリーン様の声がこの王宮内へと響き渡る。

「エリーン様…いや!母上!私は確かにこのダンさんを好いてはいます!ですが!婚約とはどういう事でしょうか?」

それに負けじとネージーも大声で話している。

私はその状況に中々慣れない。

「ですから!!貴女は我が国の大切な後継人なのですよ!今後の事なども少しは考えてくださらないと……。」

「はぁ…また始まったわ!お母様はこの話になると本当に長くて!さ!ダン!行きましょ?」

私の手を引くネージーに怒り顔のエリーン様。

私は実にこういった話は苦手なのだ。

「ふぅ…それにしても大変ね二人とも。」

私達の背後からそんな声が聞こえてくる。後ろを振り返るとそこにいたのはサイリスだったのだ。

「サイリス!いつの間にここへ?」

「わぁ!サイリス!やっと来てくれたのね!ねぇねぇ!ちょっと私の話聞いてくれないかな?」

「どうしたの?」

そしてネージーはサイリスに事細かく先程の事を説明していたのだ。

するとサイリスは何かを考え始める。

「サイリス?どうかしたのか?」

「そうねぇ!これは中々難しい問題よね?でもまあネージーさんの気持ちもわかるし!エリーン様が心配するのもわかるし…うーん。それに、まだあの魔幻獣十二魔人だって残りがいるし、今はまだ保留でいいんじゃないかな?」

「そうだよねサイリスちゃん!流石わかってるぅ!」

するとサイリスは何やらネージーに耳打ちをしている。

なにか私に聞かれたくないことでもあるのだろうか?

「ね!そうでしょ?」

「まあ確かにそうだけど私にそれが出来ますかね?私はほとんど騎士訓練しか受けてきてなかったので。」

「それは……。」

サイリスはそこまで言うと私の方を見てニヤニヤしている。

「サイリス?なんなのだ?私の顔がそんなに面白いのか?」

私の声に何も言わず再びネージーに耳打ちをし終了したのだった。

「うんっ!て事で私はネージーさんを応援してるわ!」

「わかったわサイリスさん!ありがとう!」

「じゃあ、またねぇ!」

するとサイリスは立ち去っていってしまったのだ。

ネージーを見ると私を見てモジモジとしているようだ。

「ど…どうした?ネージー?トイレなら…あっ。」

バキッ!!

「いっ!?」

私の頬をひっぱたいたネージーはそのままプンスカ怒りながら立ち去ってしまったのだった。

私の頬は熱くそして赤く染まっていたのだ。

それからしばらくネージーはこないだの件でまだ怒っているようだ。

私はこれはまずいと直感し声をかけてみることにしたのだ。

ところがネージーは私の姿を確認するとスタスタと逆方向に立ち去ろうとする。

「ネージー!?」

私はその後を追おうとするもネージーは犬化する!!

そして走り去る!!

だが私もサラマンダーの獣人!

ボウッ!!!

私も身体に炎を纏いネージーの後を追うのだった。

私はネージーの後を追うと見失ってしまう!そしてなんとそこはこの地下世界でも初めてきた場所でこれまで見た事のない場所だった。

地下世界なのにここだけ空が見える場所。

辺りには草木も生え花が咲き。

ここは…。

するとポンポンっと花の周りに集まる何かの姿。

その光景を炎を消し人化した私はジッと木陰に隠れそれを見る。

(妖精…なのか?)

声にもださずジッと見ていると妖精は一人増え二人増えしていく。

(おお…この光景は……凄い。)

私は心の中でその光景。美しさについ見とれてしまう。

そして私はくぎ付けになっているとそこに現れた一人の女性の姿。

(!?ネージー???)

綺麗なドレスをその身に纏い現れたネージー。

妖精はネージーの周りを飛び回る。

すると次第にそのスピードは加速していく。

そして徐々に上へ上へと回りながら飛んでいく妖精から小さな光か落ち零れてくる。

その光はネージーの身体を包み込んでいく。

そして…………。

私がそのまま立ち去ろうとすると引いた足は小枝を踏んで音を立ててしまう。

パキッ!!!

「誰っ!!??」

ネージーのその言葉に私は意を決して出ていく事にしたのだ。

頭を書きながらネージーの元へ出ていく私。

「いやぁ…黙っているつもりだったのだが…つい…美しすぎて…な。」

私のその言葉に真っ赤な顔をするネージー。

「こ…これは………。」

「ああ…悪い……この事は他言はせんよ?」

するとネージーは口を開く。

「ふぅ…ここはね…妖精から精霊族の者達が癒しを得れる場所なの…傷とか魔力回復も出来たりする神聖な場所。私も月に一度は必ず来てるのよ?」

「なるほど…」

「え…えっと……この間は私貴方、ダンをここへ誘おうと思って…ほら!ダンも結構酷い怪我してたじゃない?だから…私。」

「ありがとう!ネージー!私の事をいつも気にかけててくれて。」

「いや!ほらっ!それはぁ!!」

「私はこれまで女性との付き合いなどした事がなくてな…だからつい。」

私はネージーの顔を真剣に見つめると深くお辞儀をする。

「こないだは私が悪かった!すまない。」

「いいっていいって!もう怒ってないわ!それより…見て!」

ネージーの声に私は空を見上げるとそこには。

私達を祝福するかのように空を舞う妖精の姿があったのだ。

ダンさんとネージーさんのとある話でした。

お読みくださりありがとうございました!

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