第108話風雅後日談


風雅のその後の話。

風雅視点。

俺は今蘭樹を追い、そして現在彼女を守ってくれていたナイトとの一戦を迎える。

蘭樹を想いそしてここまで辿り着いた俺だ。

だが…。

果たしてここは大人しく引くべきだったのだろうか。

いや…世界はもう俺に選択肢はくれないだろう。

一度は魔幻獣十二魔人の一人として敵サイドに加担した俺だ。

今更平和の為になどと立派な言葉を述べる事ですら俺にはおこがましい事だろう。

俺がそんな事を頭に浮かべていたのだ。

「どうした?お前の力はこんなものなのか?」

「いや…ちょっと運動がてらに頭の体操をしていたよ。いくぞ!!」

ガキーーーーーン!!!

俺とナイトの刃はぶつかる!!!

その衝撃波は辺り一面に走り砂漠は砂塵が舞う!!

力と力の押し合いは以前の俺ならナイトに負けていたかもしれないが今は。

「俺は一度地獄に落ちてな…今は地獄の魔道兵器として甦ったんだ…そうそうナイト…お前にもひけはとらん!!」

ジャキーーーーーン!!!

俺はそのバワーでナイトの槍を弾く!!!

「ぐおっ!?くっ!!!」

再びナイトは構え直す!!!

「うおおおおおおーーーーーっ!!!魔道兵器よここへ!!!」

俺の足元にはズズズと開くワープホール。

すると次の瞬間ワープホールの中からゆっくりと出てる魔界の鎧!鎧は俺の前に浮いている。

「魔導イン!!!」

その瞬間!鎧は俺の身体を武装していく!!

ガシャガシャと音を立て俺の身体は瞬く間に鎧と一体化する。

「なんだ…それは!?お前。」

「ああ!俺はこの力を世界の役に立てる為この世界に甦ったのだ!!お前を倒し魔幻獣十二魔人を壊滅させる為にな!!いくぞ!!!」

俺は新たに忍者刀を取り出すと構えそして!!

ズシャッ!!

ガキィィィン!!!

先程とは打って変わって俺の身体は軽く攻撃のバワーも上がっている!!!

「なにっ!?うおおおーーーっ!!ロデオブレイク!!!」

ズシャッ!!!ガガガ!!!

ナイトによる槍技の猛襲!!!

その攻撃は凄まじいものだ。

俺のこの鎧がなければたちまち俺の身体は風穴だらけにされていたかもしれない。

「はぁぁぁーーーーーっ!!忍術…風遁、水遁。風水手裏剣。」

俺の忍術で風と水が調合されその力の二つが混じり合う。

そして、それは次第に姿を変えていく!!

「なにっ!?それは!?」

「ふふ…驚いたか……この力は俺にもずっと使う事がなかった技。存分に堪能するがいい。」

「くっ!?そいつは!まさか俺の魔法剣をお前は知っていたのか!?」

「ああ!複数の魔法をお前が使えるのは知っていた…それでお前はあのアースウェル王をやったのだろう。いくぞ!!」

俺の起こす風と水!!

「双剣!!風水花月ふうすいかげつ!!!」

ジャキンッッ!!!

俺の双刀の剣技はナイト目掛けて飛んでいく!!!

「二極創成…風水連突き!!!はぁぁぁっ!!」

ドガドガンッ!!!

ナイトは俺と同様の力をその槍から放つ!!

「くっ!?これくらいなら俺にでも返せる!」

「フンッ!貴様がこの力でアースウェル王を。」

流石は魔幻獣十二魔人の一人ではある!まさにパワーとその技は俺に匹敵する力を持っていたんだ。

力と力!そして技と技の俺達の戦いはここへ来て互角というものだった。

「さて…どうやらこの勝負は根競べとなりそうだな…」

「それはどうかな?俺はお前を倒し蘭樹を救わなければならん!いつまでもお前の相手をしてる訳にはいかん!」

「なにっ!?」

ナイトはそう言うと槍を構えていく。

「俺は常に力を進化させより強くなろうと努力は今でも続けているのだ…風雅よ…俺の技に消えるのだ!!」

ナイトの槍先には謎の渦が宿る。

「なんだそれは!?」

「悪いが手加減はできん!これが俺の真の技…あの、アースウェル王は使う前に消えたがお前には。はぁぁぁっ!!俺は蘭樹を守るのだ!『ロデオ・ボルテクス!!』」

その時!!

俺の魂に何かの声が聞こえてくる。

(お兄ちゃん…)

この声は飛鳥か?

(お兄ちゃんってばいつも私の事子供扱いばかりしてさ!)

なんだろう…飛鳥の幼少期にあの時…起こった事。

(お兄ちゃん!気をつけて!)

これはこないだの別れ際のアイツの言葉。

大人になってきたよな…。

「うおおおおおおーーーーっ!!」

その時!俺の身体に力が宿る。

俺は元々大人しい性格で風と共にいきて風のように生きたかった…そう…俺の究極の技って…そうか…これだったんだ。

荒々しい風、ずっと魔幻獣十二魔人に入ってからは俺を象徴する様な荒々しい風、竜巻、暴風。それが俺の技の全てだった。

ところが力に力では衝突ばかり起こってしまう。

それにより破壊が起こり人は傷つき時には生命をも奪う。

俺は一度は死んだこの身。

この身に刻まれただろう。

力は何も生まない。力対力ではダメなんだ。

それならば。

俺が気がつくとナイトのロデオボルテクスは俺の身体を数度となく貫いていた。

これのは俺の魔道兵器もガシャガシャと音を立て崩れている。

俺は身体中に力を貯めていく。

「なにっ!?俺のロデオボルテクスをそのまでくらいまだ動くのか!?」

「ああ!そうだぜナイト!俺が蘭樹をずっと守る力を求めていたがそれを教えてくれたのはお前と蘭樹の愛し合う姿だった…。」

「……なんだそれは。」

「お前に蘭樹をまかせる……。」

俺の風は優しいそよ風に変わっていく。

シンと静まるこの地。

「俺の究極の技だ…ナイト…『無風零むふうゼロ』。」

パリーン!!!

その瞬間。

ナイトの槍は粉々に崩れ去り鎧は割れ落ちその中身の姿一つとなる。

そして、、、。

俺は動かなくなった魔導兵器を残し再び魂と化す。

「風雅…アイツはどこへ……はっ!?蘭樹!?」

魂となった俺には蘭樹の元へ向かったナイトの後ろ姿は見えていた。

魂のまま彼らを覗く。

そんな趣味は俺にはない。

きっと二人は幸せに暮らす事だろう。

そういや俺の力は飛鳥に渡せたはず………。

そして俺は…皆と向こうで会ったら…戦いのない世界で俺はやっと風を感じ暮らせるだろうな。

風雅は世界に思いを残すこと無く。

自分の使命を果たしたのだった。

お読みくださりありがとうございました!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る