第97話フレアース永遠の眠りへ。
らいとの一閃にフレアース様は傷をおい倒れてしまったのだ。
「うわ…。」
「すごーーーい!!」
「あれは…なんだって言うの?精霊化?…いや…神化?なの?」
飛鳥ちゃんも僕も思わず声をあげるとネージーさんもらいとの技に声を上げていた。
すると倒れたフレアース様の元にサイリスさんが駆けつける。
フレアース様をだき抱えるサイリスさん。
「フレアース様っ!?」
するとフレアース様は徐々に意識が戻ってきたようだ。
「う…ううぅぅぅぅ……サ…サイリス…なのか?」
「そうよ!私よフレアース様…いや…母さん…。」
「ふ…最後に我が娘と本気で思っているお前とまた、こうして話せるなんてな。」
「えっ?フレアース様?いや…母さん?何言ってるの?」
「ふふ…どうやら私は長い夢を見てたようで…大分皆に迷惑をかけたようだ。すまない。」
すると…咲楽は狂乱の声をあげている!!
「なによ!?なんなのそれ?私の手術でフレアースは、完全にモンスターに変えたはずよ!意識が本人に戻るわけないじゃない!?」
するとフレアース様は力無く答える。
「ふ…ははは……どうやら彼…らいと君はこのカラクリの仕組みを私に身をもって教えてくれたようだ…。」
「なによ!カラクリって!?コアよ!貴女のコアまでも私はオペしたのよ!?だからそれをとくには貴女の死しか有り得ないのよ!?」
「だから….だよ!はは…私を彼は亡きものにしてくれたのだよ?」
「そんな…馬鹿……な。」
「フレアースを戻すにはこれしか…なかったんだ…俺はフレアースの生命を奪ったんだ…ぜ?」
咲楽にそう寂しそうな顔をして語ったらいと。
「馬鹿な!でも語れてるではないか!?」
「それは…私は今ケルベロス様のご好意で今こうして現世に声を届けさせてもらってるのだよ?」
そう言うとフレアース様は身体から霊体とも言うべき魂が抜けふわりと僕達の目の前にぼんやり姿を現したのだ。
ふわふわと足を地に付けずに浮きその姿はまさに女神。
だけど今の彼女は炎の魔神ではない真の美しさを備えそして優しい微笑みを浮かべるフレアース様の幻影なのだろう。
「フレアース様…ううん!母さん…私、ずっと貴女と生きていけると思ってた。」
「ああ…サイリス本当にすまないな…私の不覚によりサイリスだけではない…皆には本当に迷惑をかけっぱなしだったな。」
「そんな事…。」
「いいんだよサイリス…私もな…こうして最後にお前達と話せて幸せをもらったよ…そして…人生の最後に…大切な娘…サイリスの腕の中…いける事に…私は…そう…満足しとる…よ。」
「フレアース様!!!」
「ありが…とう……。」
フレアース様の目から涙が一粒零れる。
「フレアース様ーーーーーーーーっ!!!」
サイリスの叫びは世界樹のどこまでも響いたであろう。
もう…冷たくなり動かなくなっているフレアース様の身体を抱きしめるサイリス。
すると霊体のフレアース様はサイリスさんの肩に手をそっと触れる。
その瞬間…サイリスさんに何かが宿ったように僕の目には映る。
「あれって?」
「みら?お前も見えたのか…あれはきっと…フレアースの希望の光だ。」
するとサイリスさんはフレアース様の身体をそっと寝かせる。
「フレアース様…力を…ありがとう私を選んでくれて。」
サイリスは立ち上がるとその手にきらりと光る槍を構える。
「さぁ…咲楽って言ったわよね!フレアース様に代わり私が相手をするわ!」
すると咲楽は突然笑い出す。
「ふふ…ふふふ…あーっはっはっは!!フレアース…大丈夫よ!私が貴女のその素敵な身体を完全なる兵器として蘇らせてあげる…だからこいつらをまずは始末するわ!!!」
ヒュンッ!!
その時!咲楽の頬を何かが掠める!
ハッとした表情の咲楽。
うねうねとした触手を一斉に身体から出す!!
更に狂乱化した怒りの咲楽が叫ぶ!!
「ふざけないで!ふざけないで!ふざけないでええええ!!!」
「あいつ怒ったぜ?」
「そりゃ怒るかもよ?顔に傷つくのが嫌だったんでしょ?」
冷静に言うらいとを前につい突っ込む僕。
そんな僕たちを他所にサイリスさんは構える。
「貴女が怒るのは私だって一応女だから分かるわ…顔に傷がついたもんね…でもね……。」
ボワッ!!!
サイリスさんの身体が突然炎に包まれる!!
それはフレアース様からもらった力であろう。
フレアース様がわが子として大切な力をサイリスさんに預けたのだ。
「私は大切な人を貴女に奪われたの!!??この怒りは貴女以上だわ!!!」
「ふん!フレアースの事?そんなの私の身体を傷つける事より数段下よ。」
「フレアース様の事を……」
サイリスさんは槍に水をまとわせる。
「貴女が言うなーーーーーっ!!!」
サイリスさんは炎を纏い水の槍を振り咲楽目掛け攻撃を開始する!!!
「たぁぁぁーーーーーーっ!!??」
サイリスさんの槍が輝く!!
そして咲楽はその触手を一気に伸ばす!!
触手がサイリスさんに集中攻撃!!
サイリスさんの槍は触手を全て切り倒していく!!
「はぁぁぁーーーっ!!」
「氷転華マイナス……
ガキィィィーーーーーンンン!!!
そして全ての触手は凍りつき…停止したのだった。
「フレアース母さん…私貴女が大好き…でした。」
◇
◇
◇
フレアースの死を自分の物に。
サイリスの怒りの氷は魔獣を凍らせる。
お読み下さりありがとうございました!
評価、いいね、感想など頂けたら幸いです。
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