第93話ネージー、そしてダンの戦い。

ネージー視点

「キマイラ!私があなたを黄泉よみの力で葬るわ!」

私は握った剣に何かの力が宿っているのを感じる。

まるで剣に宿った力は私の全てを具現化の素材にするかのようだ。

剣の光は私の全身を包み込んでいく。

すると…私の身体は自然にその姿を変えていく。

「えっ??これって?」

驚いている私の意識に何者かの声が聞こえる。

(ネージーよ…我だ。)

(この声は…ケルベロス様!?)

(ああ…)

(どうして急に!?)

(我は、お前の全てを知る者…伝え、そしてお前に託している秘めた力を解放する必要があるが故、こうして語りかけたのだ。)

(そうなんですか?)

(ああ、、、)

ケルベロス様は私の意識に話しかけてきてくれている。

どうやらこのままケルベロス様と会話ができるようだ。

(お前は自分が犬の獣人である事は知っているであろうがその本質が他の獣人とは違う力を秘めているのだ。)

(えっ?それって…)

(我ケルベロスには弟的存在のオルトロスという者もいる…オルトロスは二首の獣。

そしてお前はその下の存在アルテリス…ネージー、お前は我らの種族の力を持っておるのだ。)

私はその言葉に驚き固まってしまう。

「私がケルベロス様の妹?」

私がそう質問しようとした時、自分の声に力が戻りそして気がつくと私の目の前に立ち尽くしていたキマイラ!!

その瞬間!!

キマイラの大きな右手が私を狙って振り上げられていた!!

「うわぁぁぁっ!!!」

思わず目を瞑り叫んでしまう私!!!

気がつくと身体に衝撃がこない!

私は瞑ってしまった目をゆっくり開けていくと私の右手は獣化し更に巨大化しキマイラの攻撃を防いでいたのだ!!

それどころか今の私は四足の神獣へと身体を変化させている。

アルテリスへと全身が変貌を遂げた私。

「我が、兄妹いもうとアルテリス…」

「ケルベロス様…」

「お前は冥府で暮らす事より人間界で暮らすがよい。」

「それってどういう事ですか?」

「いずれ分かるが今地上では世界の危機に瀕しておる。お前はその力を地上の為に使うのだ。」

「この力を私が?」

「ああ…いずれまた話そうぞ。」

するとケルベロス様の声は聞こえなくなっていった。

「これは…いや!これなら!!」

キマイラ対私アルテリス!!

この光景は四足の巨大なモンスター同士の戦いに見えるであろう。

するとキマイラの口元からは小さく炎が、見えている!!

これは!?

私は身構えるとキマイラは炎を吐き出す!!

ボゥッ!!!!!

私に向かい炎を、吐き出すキマイラ!!

私はスタッと飛び上がるとキマイラに向かい魔力を溜めると今度は私が口から炎を吐き出す!!!

キマイラもすかさず炎を吐き出すと私の炎と相殺する。

「なるほど!この力確かにすごいわ!これなら!!」

私は宙を駆け上がっていく!!

そしてキマイラの頭上に跳ねる!!

シュバババッ!!!

「くらいなさい!これが私達地獄犬ヘルズドックの力よ!」

キマイラは更に口に炎を宿すと燃え上がらせる!!

ボウッ!!!

「私の炎は貴方の炎の数倍上の地獄の黒き炎よ…くらいなさいキマイラ!!」

獄炎天国ごくえんてんごく!!!」

ゴーーーっという音を立て私の口から地獄の黒き炎がキマイラを襲う!!

ボウッ!!

だがキマイラは初め平然としていたのだ。

自分も得意としている炎に臆する事もなく立ち尽くすキマイラ!!

ところが私の地獄の黒炎はキマイラを取り囲むと一斉に襲いかかる!!!

「いいかしらキマイラ!私の炎は地獄から呼び寄せる黒い炎!貴方の火遊びの炎とは全く異なる物よ!」

私のその声に呼応するかのように黒炎は燃え上がりキマイラを焼いていく!!

蛇のシッポも焼ききれボタリと焼け落ちキマイラの大きな翼までもが焼かれ朽ち果てていく。

ぐがああああああああああーーーーーっ!!!

キマイラのたてがみそして顔をも焼き尽くす地獄の黒炎!!!

そしてキマイラはやがて…。

バタリと倒れ、そしてその行動の全ては停止したのだった。

「ふぅ……」

見る見るうちに私の身体も元の人型へと戻っていく。

「さぁ…みらいさん達の元へ。」

こうして私もキマイラを倒しみらいさん達の元へと向かったのです。

ダン視点

その頃ダンは…。

私とみらい君…私達の目の前には、あの鳥の魔人、咲楽とすっかり魔人と化したフレアース様の姿。

あの時、操られていたフレアース様は果たして自分達を忘れているのか?確かめる為私は声をかけてみる。

「フレアース様!私です!ダンです!

分かりますか!?」

「………………………。」

フレアース様はメラメラと炎に包まれ目は黄色く輝きこちらを見ている。

「あは…あはははは…無駄よ…もう彼女は何も感じる事もないし何も答える事もない私のただの人形よ。」

「それは…ミスリルが操っているからであろう?」

「うーん…ちょーっと今は違うわね。」

「なっ!?ど!どういう事だ!?」

「こないだまでは確かにミスリルがフレアースの中を操り支配していたの。」

咲楽はにやりと微笑む。

「だけどフレアースを完全に私の物とするにはミスリルは邪魔だったのよねぇ…だから。」

「だからなんだ!?」

「ミスリルはフレアースの中から私が消滅させたわ…だからもうこの子は…」

咲楽はフレアース様を指さす。

「もはや完全に私の従順な人形…火炎魔人フレアースとなったのよ!!」

するとフレアース様はその炎を更に加熱熱く全身に纏う!!

ボウッ!!!

「くっ!!??この力は…更に以前より熱い炎だっ!!??」

「ダンさん!!このフレアース様の熱量は異常です!」

「みらい君!私も火炎魔人のはしくれでもある…ここは私が…。」

するとダンさんは構える。

「獣人化!!はぁぁぁーーーっ!!」

ダンさんの身体は鱗に覆われていく!そしてサラマンダーの皮膚に変わりダンさんもまた魔人化していく。

「へぇ…貴方面白いわね…さぁフレアース…あの子を倒して私のモルモットにするわ…やってしまいなさい!!」

こうしてダンさんVSフレアース様の戦いは始まったのだった。

お読み下さりありがとうございました!

評価コメント等いただけたら幸いです。

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