第92話飛鳥のちネージー

飛鳥視点

夢?なのかな?

ううん!これは夢なんかじゃない!!

だって今、私の目の前にはらいとさんがいるもの!

私のボーッとした頭はやっと追いついてくる。

視界はハッキリしてきて私の思考は追いついてくる。


私、飛鳥はクラーケンを追ってきたけど何も出来ず危ないところをらいとさん達に救われたのでした。

「お二人とも助けていただいて本当にありがとうございました!」

「そんな事は気にするな!実はな、俺達は修行を終えたんでみら達の足取りを追ったんだよ!で!ようやくここに来て飛鳥を見つけたって訳だ!」

「そうだったんですね!こんなピンチの時にありがとうございます!」

「それで、みら達は…あそこ…か?」

らいとさんが指さした方向は大樹だったんだ。

「よし!サイリス!飛鳥!いくか?ちとヤバいやつらがいそうだ。」

「らいとさんもちろん!」

「私が案内します!」

こうして私はらいとさん達と合流し皆の待つ大樹へと向かったのでした。

ネージー視点

私の目の前にいるのはあの鳥の魔人によって作られた怪物兵器キマイラ!

ライオンの顔と胴体にヘビが首をもたげてるシッポ!

背中には大きな羽根をつけている恐ろしい魔物だ。

私は混血の獣人だ。ドワーフの血をひいているそしてエルフの血も。

この血のためにもここはあいつを倒しそして世界のための力となる。

我が王アースウェル様が先日亡くなってしまったが幼い時に孤児になってしまった私を身分は公表されなかったがこのアースウェル王は娘として陰で育ててくれた。

彼アースウェルとエリーン様には子は出来なかった為。

私はその代わりとなり大切に育てられたのだ。

そしてその父でもあるアースウェル王を死に追いやったこの魔幻獣達には一矢報いてやらねばと心に誓ったのだ。

「こいつ!くるか!?魔法剣!!炎!!!」

私はその剣に炎を宿らせる。

その瞬間!!

キマイラは私目がけ攻撃を開始する!!!

キマイラの猛突進!そして口から白い息が漏れているように見える!

ガアアアーーーーーッ!!!

雄叫びと共にキマイラは飛びかかってくる!!

私は剣を構え一振りする!!!

「はぁぁぁーーーーーっ!!!」

ボウッ!!!

炎が剣の軌道上に沿い燃え上がる!!

キマイラの顔に到達しようとしたその瞬間!!

なんと炎はかき消される!!

「えっ!?」

私が気がつくと剣から炎が消えそれゆえ剣の攻撃をキマイラにより跳ね除けられてしまう!!

ガキンッ!!!

「くっ!?そんな馬鹿な!!??」

「ふふ…残念ね…そんなただの剣ではキマイラの身体に攻撃も届かないわよ。」

見ていた咲楽の声が聞こえてくる。

「くっ!ならばこれならっ!!」

私は今度はその剣先を凍りつかせていく。

ピキッ、パキパキッ。

「たあああーーーっ!!氷の剣っ!!」

私が叫んだ瞬間!

キマイラの口に炎がボウッと発生する。

ズシャッ!!ガキンッ!!!

私の攻撃はまたもやキマイラによってふせがれてしまう!!

「えっ!?どうして?」

「ふふ…だからいったでしょ?私のキマイラは向かってくる相手の攻撃を見ると瞬時にその攻撃に対抗する魔法を発生させ攻撃する対魔道士用魔道兵器とも云うべきいわゆる魔道生物兵器ね。」

「魔道生物兵器…。くっ!ではこれならっ!!」

私は剣を構える。

足元からズズズと音が聞こえてくるとそう…大地は揺れ始める!!

「それは!?…ああ…貴女がいると面倒なようね…仕方ないわね…キマイラ!そいつを始末してきなさい!転送ゲート。」

咲楽が突然何かの魔法を唱える!

その瞬間!私の視覚そして聴覚は奪われる。

何も見えない。何も聞こえない。

「えっ!?」

すると私は気を失った。

私が気がつくとそこは見た事のある情景…。

森林の中…いつの間にか私は先程までいた大樹から離れた森の中に転送されてしまったようだ。

すると後ろから聞こえてくるその声は。

グルル……。

先程まで戦っていた相手。キマイラだった。

私が辺りを見回すとこの場所はきっと大樹から数キロ離れた場所…私達は咲楽の魔法で転送されてしまったようだ。

「ここは…大樹があんな所に見える!?行くわよキマイラ!私は貴方を倒して大樹に戻るわ!たあああーーーっ!!」

ガキーーーンッ!!!

私の剣をその強靭な歯でくらいつくキマイラ!!

「くっ!?こんな所で…」

キマイラのその圧倒的な力は徐々に私をおしてくる!!

私の精一杯の力でもこの生物兵器の脅威的な力の前では押される一方だ!!

すると私の脳裏に浮かんできたのはアースウェル王とダンの顔だった。

アースウェル王の顔は凛々しくも私が幼い頃は優しい笑顔をよく見せてくれた。

そしてその笑顔に重なる様にダンの笑顔が見えてくる。

私はアースウェル王を血こそ繋がってはいないが本当の父と思っている。

そしてこの地で出会ったダンに時々アースウェル王が重なる不思議な感覚を感じる事があったんだ。

「この戦いが終わったら…きっと彼に……」

私の身体に力が戻ってきた様な気がした!

「こんな所で…まけないっ!!!」

私の剣に力が宿る。

(何これ?魔法では無い私の力が剣に宿ってる。)

だがこれは目に見えない力。

私の魔法剣の魔法に目で見て対処してくるキマイラにとってはきっと致命的な事。

これならキマイラは私の魔法剣を防げない。

ではこの力とはなんだろう…炎でも氷でも…風でも土でもないまして闇にも光にも属さないこの力。

これって…そうか。

私は先の出来事。

ケルベロスと出会い私にだけ教えてくれた事を思い出す。

「お前はドワーフのキーマンとも言うべき存在、よくぞここまでの扉を開いたものだ。」

「ええ…ここに来るには私の血に宿るドワーフの力が必要だったので。」

「そうだな…それでは一つお前にいい事を教えておいてやろう…」

「ケルベロス様?」

「お前の血ドワーフの血にはここ地獄からの力を転送出来るようになっているのだ。」

「えっ!?そうなんですか?」

「ああ…言うならばお前にはこの黄泉の力を転送出来るのだ…そこの扉を開けれる力がその一つなのだ。」

「なる…ほど。」

「目を閉じるが良い…」

私が目を閉じると私の中に流れ込んでくる何かの力。

「目を開けよ、お前にはこの先色々な事が起こるかも知れぬ…力が必要な事もあるかも知れぬ…その時この力の事を思い出すが良い…きっとこの黄泉の世界はお前の力になる事だろう。」

私はハッと我に返る。

「ケルベロス様…私。」

剣を握る手に力がこもる。

「行くわ!キマイラ!覚悟しなさい!!」

そして私の力は具現化したのだった。

お読み下さりありがとうございました!

ケルベロスから託されたネージーの力とは!?

そしてキマイラに勝てるのか!?

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