第91話飛鳥

(私…どうなったんたろ?)

それは気絶したのか飛鳥の脳裏に湧いてきた夢たったのかも知れない。

「なーに寝てんだよ飛鳥!?」

「えっ!?あ!らいとさん!?」

「おう!お前また修行中寝てたな?」

私はみらいさんとらいとさんに邪馬国を救われてから私も自分の非力さにガッカリして、らいとさんに修行をつけてもらったんだ。

コツン!

私の頭を軽く小突いてくる、らいとさん。

「あ!ごめんなさい…らいとさん。」

「あはは!まあいいけどさ、飛鳥も復興の為に昼夜惜しまないで働いてるの知ってるしな!」

「えっ!?そうなんですか?いつの間に!?」

そう…まずは邪馬国の復興を第一優先にしなきゃと思ってはいたけど修行もしたかった私は無理言ってらいとさんに修行をつけてもらっていたのだ。

「飛鳥はちと働きすぎだぜ?みらにも俺にも、もっと頼っていいんだぜ?」

「はい…」

私がそう顔を曇らせると彼は私の頭に手を添える。

「えっ?」

「飛鳥頑張ってるからな…これは褒美だ。目をつむれよ。」

私はドキドキしながら何かを期待してしまったのかその時の私はドキドキしていたの。

私の首元に何かがあたる。

「えっ?」

私が目を開け見てみると私の首には何かがかけられていた。

「これは?」

「おう!それは飛鳥に御守りだ…いざ!って時はそれに祈れ。きっと何とかなる。」

私は、ぼぉーっとしながらその事を思い出す。

すると私に今度はみらいさんのある言葉が思い出される。

「飛鳥ちゃん!らいとの修行頑張ってるね!」

「はい!結構上達も早いって褒められました!」

「あはは!それは良かったね!らいとって褒め上手だしねぇ!」

「はい!それで気づいたんですけど!らいとさんの言葉って妙な説得力があって!」

「そうそう!らいとの言葉って嘘でしょ?って言葉でも妙な説得力があってさ!僕もついつい信じちゃうんだよね!」

「それ分かります!私もらいとさんに言われると出来ない事でも不思議と出来そうな気になるんです!」

私もみらいさんもらいとさんの話になると何故か盛り上がるのだった。

「これは…夢?」

私が目を開けていくと私の手足は怪物クラーケンの束になった足により拘束され動けない状態だった。

「くっ!?うぁぁぁっ!!??」

ぎゅーっと締め付けてくる触手に私の手足もそして首すらもちぎれてしまいそうな痛みと苦しみに私は意識が遠のきそうだった。

(私はやっぱりらいとさん…それにお兄ちゃんがいないとダメなのかな?)

私の目から涙が溢れてくる。

「う…ぁぁぁっ!!??」

その瞬間私がらいとさんにもらったネックレスが光り輝く。

「えっ?」

私はその光をぼぉーっと見ていると聞こえてくる聞き馴染みのある声。

「なーに寝てんだよ?」

ズシャシャッ!!!

凄まじい音が聞こえると私の身体を締め付けていた何かから全て解放される。

私の身体がふわり宙に浮いてる感覚。

氷転華ひょうてんか…プラス。『炎天火えんてんか。』」

ボワッ!!!

当然クラーケンに火がつき燃え上がる。

するとクラーケンの身体はたちまち火柱に襲われ焼き尽くされていく。

「えっ!?えっ!?」

徐々に私のぼやけて見えていた視界が戻っていく。

「サ!サイリスさんっ!?」

するとサイリスさんはニコりと私に微笑む。

(って事は…)

そして私を両手で抱きかかえるその逞しい腕は。

「らいとさんっ!!!」

顔に傷が増えているがその優しい笑顔は私の師匠とも呼ぶべきらいとさんだったんだ。

「おいおい!飛鳥元気そうだなぁ?」

「はいっっっ!!」

私が叫び思わず抱きつくとコホンと咳払いをするサイリスさんがこちらを見ている。

「らいとさん!どうして貴方はいつもそうなの?」

どうやら私の行動に怒っているみたい。

「あ!ご!ごめんなさい!私ったら!」

「ああ!いいの気にしないで飛鳥ちゃん!」

「さぁて!あれっ?あいつ生きてんじゃんか?サイリスは詰めが甘いぜ!」

「「えっ??」」

私とサイリスさんが後ろを振り返るとそこには焼け焦げても興奮してウネウネ動いているクラーケンの姿!!

「あっ!サイリスさん逃げて!」

「サイリス!飛鳥を見てろ!」

らいとさんは私の身体をサイリスさんに預けるとクラーケンを前にし私達の前で立ち尽くしている。

「分かってるわよ…らいとさん!」

「上出来だぜ!」

すると半焼けのクラーケンは必死の形相でこちらに襲いかかってくる!!

クラーケンの触手は無数に私達に向かい飛んでくる!!!

「なるほどな!こいつはただのクラーケンじゃなかったみたいだな…チッ!」

するとクラーケンの無数の触手攻撃は寸前のところで停止する。

「えっ!?どういう事?」

「サイリス!こいつはどうやら改造を施されてしかも魔力を得てパワーアップしたクラーケンみたいだな!」

「そういう事ね…」

「おう!じゃあ俺が仕留めとくぜ。」

らいとさんは一瞬キラリと輝く。

「お前に恨みは…おお!あったっけな!よくも大事な飛鳥を!!」

クラーケンは蠢き、らいとさんに一斉に襲いかかる。

武神流ぶしんりゅう……風神ふうじん…いくぜ…」

風はらいとさんに集まっていく。そして…らいとさんは風に…なる。

風神ふうじん。」

スターン!!!

カシャン。

そう…この刀の音を聞いた後。

クラーケンの全てが風になり消えたのだった。

そして、そこにはもう…何も存在していなかった。

久しぶりのらいとandサイリスの登場!!

そして飛鳥と共に無事にクラーケンを倒したのだった。

お読み下さりありがとうございました!

コメント、評価もいただけたら幸いです。

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