第90話咲楽の三魔獣

魔幻獣十二魔人の一人、咲楽の力により、最早モンスターと化してしまったフレアース様。

他の二匹の魔獣も雄叫びを上げ今にも暴れだしそうだ。

「ちじゅうとかいうこいつもヤバそうな感じだけど外のアイツ!すっごいデカいし放っておいたら海を渡って邪馬国に行っちゃうよ!?」

「くっ!?こうなったら手分けして倒すしかないな…」

僕の言葉に返してくるのはダンさんだった。

「フフ…うふふ…私の魔獣最高でしょ?貴方達が力を持ってるのは分かってるわ…でも私の魔獣は特別だから…ねぇ。」

「くっ!?ここに兄さんとかいたら…」

「飛鳥ちゃん!ここは僕達三人で何とか凌ぐから!まずは邪馬国にあいつを行かせないようにしなきゃ!あいつの足止めをなんとかしてくれないかな?」

「分かったわ、みらいさん!」

すると咲楽は笑い出す。

「そうねぇ…ここには私を入れて三人いるわ…そこの子がクラーケンの所にいけば確かに四対四よね…そう上手く行けば…だけどね!」

咲楽が片手を上げると咲楽の魔獣と化した三体の目が赤く光る!!

「やってしまって!アイツら全員の息の根を止めるのよ!」

すかさず飛鳥ちゃんが構える。

「忍法風遁の術。」

風を起こし自分の身体に集めると地上へ扉から飛び出す飛鳥ちゃん!!

「皆ーーーーーっ!!生きて!!」

「飛鳥ちゃんも!」

僕が叫び返すと飛鳥ちゃんは風に乗りクラーケンの方向に飛んで行ったのである。

すると、ちじゅうはネージーさんに今にも飛びかかりそうだ。

そしてダンさんはフレアース様と向かい合う。

残るは咲楽。

どうやらこいつが僕の相手の様だ。

「はぁぁぁーーっ!!!」

ネージーさんが叫び、ちじゅうに剣を向ける。

「魔法剣…炎!!『炎舞の舞』!!!」

炎を纏わせた剣は燃え上がりネージーさんの攻撃に呼応するかのようだ!!

「たぁぁぁーーーっ!!!」

かぁーーーっ!!

ちじゅうは見た目はライオンの様な風貌!

口は大きく裂け全てを噛み殺す勢いのまさに野獣というべき魔物だった。

ネージーさんが炎の剣を構えた瞬間!!

ちじゅうは飛びかかる!!

ネージーさんの数倍はあろうかという大きさ。

誰の目にもこの戦いが厳しい戦いである事がひと目でわかる。

「くっ!いけっ!!たぁぁぁーーーっ!!」

シャキン!!!

ネージーさんの炎の剣はちじゅうを斬ったかに見えた!!

ざざっと降り立つちじゅうはネージーさんの方を振り返る。

「くっ!そうは簡単にいかないわよね…」

がるるるる…

ヨダレを口の脇から垂らし唸るちじゅう。

ガウッ!!!

再び飛びかかるちじゅう!!

「ネージー!?」

「ネージーさん!!」

ボウッ!!!

その時!フレアース様の炎が更に熱量が増す!

「あははぁ!貴方達に他の心配してる暇があるかしら〜??」

そして、そう言った咲楽が僕に攻撃を開始する!!

「くっ!?皆!!ここを乗り越えよう!!」

そしてクラーケンを追う飛鳥。

飛鳥視点

「まさか大きい怪物な筈なのにこんなに移動速度が早いなんて!!」

私は飛んだままクラーケンをおっていたの。

すると私の目に徐々に見えてくるクラーケンの姿。

うねうねと蠢きながら高速移動まで出来るなんて!

確かにこんなのが邪馬国に行ったら大変ね。

私の飛行は徐々にあの怪物に追いついていく。

そして私は遂にクラーケンの目の前に降り立ったの。

私が風に乗りスタッと着地するとクラーケンはそれでも移動を止めず私に突っ込んでくる!!

「止まりなさい!!止まらないなら…。」

私は構えそしてある術を発動する。

「風魔手裏剣!!!」

ごぉぉぉーーーーーーっ!!!

私の技は風を形作り巨大な手裏剣を手のひらの上に作る。

私は風魔手裏剣をクラーケンに発射する!!!

飛んでいく風魔手裏剣!!

そしてクラーケンに向かい飛ぶ風魔手裏剣は今にも奴を切り刻もうとする!!!

「いっけぇぇぇーーーーーっ!!!」

ズシャズシャーーっ!!

その音はクラーケンの身体を割いたかに聞こえた!!

「どぉ!?」

私が確認しようと振り向いた瞬間!!

急に私の両手が動かない!!

「えっ!?」

そして気がつくと両足も動かない状況に私は焦る!!

「キャッ!!何よこれ!?さっき私の技で割いたはずなのに!!??」

私の両手両足をしっかりと捉え離さないクラーケンの数本の足。

(まずい!このままだと、私!)

私の脳裏にそんな嫌な予感が湧いてくる。するとクラーケンの足は私の口も塞いでしまう!

うぐっ!!??うぅぅぅっ!!

(本当にこのままだと窒息させられて私…)

私の中に焦りがわきだし嫌な予感しかしてこない。

(皆!足止め頼まれたのに…本当に…ごめんなさい。)

むぐむぐと動こうとする私をクラーケンは更に締め付けてくる!!

(私もう…お兄ちゃん…本当にごめ…あ。)

私を諦めの感情が支配する。

すると何かが私の脳裏を支配し始めた。

クラーケンの攻撃により絶体絶命の状況に陥る飛鳥。

どうなってしまうのか!?



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