第89話籠の中のフレアース

僕達が魔幻獣十二魔人鳥の魔人咲楽の元に辿り着きそしてそこで見たものは巨大な籠の中に力なく囚われていたフレアース様の姿だったんだ。

「フレアース様!?」

「なんてことを!?」

僕もダンさんもその光景に驚きを隠せずにいたんだ。

「こんな物!!フレアース様っ!?」

飛鳥ちゃんが籠に近づき扉を開けようと格子に触れる。

すると飛鳥ちゃんは突然ガクリとひざまずいた。

「えっ!?どういう…事?」

そして、へなへなと力をなくしその場に座り込んでしまう飛鳥ちゃん。

「これは!?」

「そうよ…もちろんその籠は魔力を持つ者から力を奪う滅魔石で作られたもの…何人たりともその籠に触れたら全ての魔力は奪われてしまうわ。」

「くっ!?お前達の目的は一体なんだと言うのだ!?」

すると咲楽は軽快に語り出す。

「そうね…まずは私達は邪魔な魔幻六芒星を倒す事かしら?」

「なにっ!?」

「そんな怖い顔されても…ねぇ…。」

「そんな勝手はさせないわ!魔法剣!!」

ネージーさんは剣に魔法を仕込む。

「くらえ!アースウェル王の仇!!フレアショット!!!」

咲楽にネージーさんの炎の剣技が炸裂する!!

咲楽を炎が取り囲むといっそう燃え上がる!!

ボウッ!!!

その刹那の事だった。

何者かが飛び出し咲楽を庇ったのだ!!

「ん?」

「あれは!?」

「フ…フレアース様!!??」

そこに立ち尽くすのは炎で全身を覆った炎の怪物と化したフレアース様の姿だったんだ。

フレアース様の入っていた檻の扉はキーキーと音を立て空いている。

「どうして!?」

見るとフレアース様の目は黄色に光り口からは炎が漏れ溢れだしているまさに炎の怪物。

「そうよ…そこに居るのはもう貴方達が知っているフレアースの意思はもうなくなっている生きる魔道兵器フレアースよ。」

咲楽のその言葉通りの姿の変わり果てたフレアース様の姿。

僕達は唖然とフレアース様を見つめてしまう。

「どうかしら?私の能力『オペレーション』その名の通り私の望み通りの姿に変える能力。でもね、その素晴らしい能力には弱点があってね…元々の素材が悪ければパワーアップも制限があるの。その点フレアースは最高ね…素材も良くて…そして何より……美しい。」

「フレアース様をどうしたんだ!?」

僕は思わず大声をあげてしまう。

「ふふ…まあ簡単に説明するとまずはあいつ…ミスリルの呪いって力は私の力で完全に消しそしてフレアースに施した意識は無とし…ただの意思のない殺戮マシーンの完成よ。」

咲楽がそう言った瞬間奥の影から何者かが動き出す。

「ぐぉぉぉぉーーーっ!!!」

そいつは雄叫びを上げ動き出す!!

神樹に響き揺るがすその声に皆立ち止まってしまう。

「なんだ!?この声は!!??」

「この神樹をも響かせる声!」

何事かと僕達が部屋の奥を目を凝らし見る!!

部屋の奥で蠢くデカイ姿!!

「な!なんだアイツは!?」

「フフ…ふふふ…あの子は私が作った第一号の兵器『ちじゅう』そして…あそこには…。」

咲楽が外の指さす方向に見えた湖。

一見何があるのかもその大きな湖からは見て取れない。

だが湖面に波紋が現れるとザバーーーーッ!!

湖より出てしその身体は巨大なクネクネした首を持つまるで例えるなら首長竜の様な姿の怪物の姿がこの場からも見えたのだ。

「あれは!?」

「あれは水竜の化身とも言うべき私の兵器『クラーケン』」

そして咲楽が指を部屋の奥へと向けていく。

「そして…この子…空の魔獣『フレアース』この子が完成したばかりの私の魔獣ね。」

妖艶とも見える咲楽は美しく微笑む。

「この三魔獣が私の最高傑作!!この地を灰にする為の凶暴凶悪なモンスターよ!!!」

ぐああああーーーーーーっ!!!

突然魔獣達の雄叫び!!!

まずは外のクラーケンが湖から出てくると暴れ始める!!

木々をなぎ倒しある方向へ向かい始める!!

「あの方向は!!??」

僕の言葉に咲楽は笑いそして返す。

「うふふ…そうね……あの子が向かっているのは海…この地は壊滅したわ…そうなると向かう先は……。」

僕はその言葉に勘づく。

「もしかして…邪馬国!?」

「あらぁ…よく分かったわね…あの子が向かうは邪馬国…君達に邪魔されてあそこは潰せ無かったからね…。」

「そんな事はさせない!!」

僕は構えクラーケンの元へ飛ぼうとしたその時。

シュンっ!!!

「えっ!?」

僕達の目の前に立ち塞がるのは、ちじゅう。

ぐるるるる……。

唸り声をあげるちじゅうは僕達を何時でもおそえそうな戦闘態勢は整ってるようだ!!

「フフ…そして、ここには新しい私の下僕…フレアースもいるしねぇ。」

「えっ?」

すると赤く発光したフレアース様が檻の中で立ち上がる。

そしてゆっくりと扉へ向かうフレアース様。

扉の前で立ち止まると咲楽は扉の前にひらりと飛び舞い降りる。

ギギギ…ギィーーーッ。

その扉は咲楽によりゆっくりと開かれる。

「くぉぉぉーーーーーっ。」

もはや人では無いなにかの声を発するとフレアース様は炎を全身に纏う!!

それは戦慄の時間の始まりの合図だった。

魔幻獣十二魔人の咲楽の怪物兵器が三体も!!

この恐ろしき状況に一体どうなる!?

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