第85話風雅の足取り。
眠兎が猿弩を倒したその頃…みらい達は神樹へと向かっていた。
ドガーーーーーーーン!!!!!
深い森の中まで聞こえた凄まじい衝撃音。
「えっ!?」
「あの音は…眠兎!?」
僕達の聞こえた衝撃音に飛鳥ちゃんが先に声をあげる。
そちらの方向を見るが視界には何も捉えることは出来ない。
するとダンさんは僕の肩を叩く。
「行こう!みらい君!私達に託されたのは今は先に進み神樹を目指す事だ。」
「そうよみらい君!今は前に進むのよ?」
「ダンさん!ネージーさん!分かったよ!」
僕達は先へとその足を進めたんだ。
◇
◇
◇
そしてその頃…風雅は蘭樹達の跡を追っていたのだ。
風雅視点
「アルベルトの話からするとこちらの方向へ二人は立ち去ったと聞いたが…。」
俺が辺りを見回すとやはり砂漠の大地…ここで一つの考えに辿り着いた。
「暫くこの技は控えていたのだが…」
俺は巻物を胸から取り出し咥え構える。
「
巻物を宙にほおり投げると突然大地が揺れ地中より何かが現れる。
ゴゴ…ゴゴゴゴ……。
そう…それは俺の巻物から忍術により出てきたのは砂の怪物サンドタイガーだった。
俺はサンドタイガーに乗り荷物からとある何かをとりだし匂いを嗅がせる。
「どうだサンドタイガー…?」
サンドタイガーは匂いを嗅ぐと視線を前に移す。
「この匂いを追い奴らをつけよ!」
そう…実はあのアースウェル王の城で生き残った兵士『アルベルト』から襲ってきた怪物ナイトが戦闘中に落としたらしい僅かな匂いのついているであろう指輪を彼は偶然拾っていたのだ。
それを俺は預かってきた。
◇
◇
◇
「風雅様…これを。」
「何だこの指輪は……?」
「これはあの馬の魔人『ナイト』が戦闘中に落とした物でこの私の倒れていた所に偶然転がってきたもの…これを拾い私は気絶してしまいましたが何かのヒントになればと。」
「おお…そうか……すまない…預かるぞ。」
◇
◇
◇
こんな事があり俺はナイト達を追う為のヒントを得ていたのだ。
そしてその匂いを頼りにナイト達の跡を追った俺は遂にその足取りを捉えたのだ。
サンドタイガーは風の速さでかけていたがフッと減速していき立ち止まる。
きっと匂いの消えた場所がここなのだろう。
俺がサンドタイガーから降りると砂はパラパラと崩れ去りサンドタイガーの身体は広大な砂の一部と化した。
「よし!ここか…待ってろ蘭樹。」
俺の着いた先に見えたのは一つのオアシス…そこは小さな池と一つの建物が見える場所。 その空間に俺は立ち入ったのであった。
その建物は何処にでもあるような平屋の一軒家俺は家の入口まで辿り着くと中から男女の声が聞こえてくる。
「蘭樹……大丈夫か?」
「ナイト…本当に心配かけて…ごめんなさい。」
「いや…俺はいいんだ…それより…ん?誰だ!?」
俺の気配を感じたのかナイトと呼ばれる男はこちらへ声を投げかける。
俺はその足を進め二人の前に立ったのだ。
「お…お前は!?」
「ふ…風雅……。」
ナイトは俺をじっと見てとまる。
ただならぬ二人の状況、そして布団に伏せている蘭樹の姿に俺は思わずその声を失ってしまうが声をかける。
「蘭樹…久しいな……。」
「お前…あの風雅…だな….俺の顔は初だろうがな。」
俺の言葉に返したのは馬の面を被ったその男だったのだ。
「この状況は…どういう事なんだ。」
「お前…ここに何をしに来たのだ?」
「俺は…」
蘭樹を一目見た俺は続ける。
「俺はアースウェル王の仇討ちとしてここに来た…。」
「そうか…。」
ナイトは立ち上がる。
「蘭樹には何の関係もない事だ…アースウェル王の仇討ちならばこのナイトが相手をする。」
「ナイト…私………風雅様………待ってください…私の話聞いて貰えますか?」
そう言った蘭樹は以前とは違い力が弱まっているようにも見える。
「蘭樹…ああ聞こう。」
俺がそう答えると蘭樹は口を開くのだった。
「私は知っての通りあれから魔幻獣十二魔人の一人となりました…そして私達の筆頭の力により操られ意のままに使われてきました…ですが…私や貴方、風雅の様な元人間にとっての魔人化にはリスクがあります…それによって私は次第に衰弱しはじめそして今では…。」
ぐらっと蘭樹の起こしていた身体は布団にふせていく。
「蘭樹!?大丈夫か!?」
ナイトは蘭樹を抱きしめかかえる。
「ナイト…だ…大丈夫。」
俺の中でやりきれない怒りと憤りはどこへその力を吐き出せばいいのか分からなかったのだ。
そして弱々しく蘭樹は声を出す。
「風雅…様…もし貴方にお慈悲があるのならこのまま私達をそっとしておいてはもらえませんか?」
蘭樹の言葉に俺は思わず背を抜く向けてしまった。
「ナイト…一緒に外へ……そして蘭樹…幸せに。」
そして俺は外に出るとそのまま歩く。
後にはナイトの足音が聞こえる。
ザッ…ザッ…。
俺たち二人は小屋から次第に離れていく。
そして俺は立ち止まる。
数分、俺は棒立ちになり、じっと…時を待つ。
俺が振り向くとそこには馬のキラキラした鋼の面をつけて武装しているナイト!
その手には大きな輝く槍を握っている。
俺は背から二本の忍者刀を抜き構える。
そして俺達二人の運命とも言うべき戦いの幕が切って落とされる。
◇
◇
◇
お読み下さりありがとうございました!
風雅とナイトの魂の決戦が開幕する!!
評価、感想等いただけたら幸いです!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます