第78話炎の怪物フレアース
炎に包まれるフレアース。
その姿は美しい容姿を炎で包み込んだ火の女神とも言えよう。
容姿は今まで見てきたフレアース様その人。
でも今は…蛇の魔人ミスリルの本体になってしまったのだ。
「フフ……フフフ…さっきはちょっと失敗しちゃったけど…もう…僕の毒でフレアースの身体はすっかり僕の物。」
「ミスリル!!どういう事だ!?」
ミスリルは妖艶な笑みを浮かべる。
「フフ…じゃあ説明してあげようかな?僕との戦いの時にフレアースに僕の秘術スネークオブフロッグをかけてあげたの…そしてその瞬間…僕の猛毒『ポイズンハート』を注入。並の者なら五分と待たずに死に絶える猛毒…でも、フレアースには効かなかったのね…でもね…その代わりフレアースは僕に身体を明け渡したの…そして猛毒は身体中全てに周り…。」
「そんな…フレアース様は……。」
僕の身体中の力は抜けフッと膝から崩れ落ちてしまう。
全身が震えこの事実を受け入れないといけない現実に力を奪われてしまう。
「フレアースは今や僕の毒で心まで侵されたのさ…だからこうして…」
フレアース様の姿のミスリルはそうつぶやく。
そしてミスリルの思うがままに操られるフレアース様はゆっくりと僕の元へ歩き出す。
僕はフレアース様をじっと見ているしかない状況。
フレアース様は僕の目の前までくると手を差し伸べ僕をゆっくりと立ち上がらせる。
「フレ…アース……さま。」
フレアース様はその美貌を残したままにこりと微笑む。
確かに僕の目に映るこの美しさは本物のフレアース様なのだ。
だけど…今のフレアース様はフレアース様じゃない。
「みらい…。」
フレアース様は僕の名を呼ぶと僕の身体を抱きしめる。
「あ……フレアース様……。」
僕が動けずにいるとその瞬間…。
僕の唇に重なるフレアース様の柔らかな唇の感覚。
フレアース様の美しい瞳に僕の瞳も吸い込まれそうだ。
その時。
「みらい!?」
「みらいさん!!??」
僕を呼ぶその声は風雅と飛鳥ちゃんの声だった。
僕が我に返るとミスリルは僕から腕を離し唇もそっと離れていく。
するとミスリルは笑い出す。
「クク…クククッ……どうだい?これで分かったろ?もうフレアースは僕そのものなんだよ…。」
ボウッ!!!
すると突然全身に炎を纏うミスリル。
「フフ…じゃあ僕はこのままフレアースとしてこの地を…。」
ゴーーーーッとミスリルは炎を最大限に放出!そしてその身に纏わせる。
「また会う機会があれば会おうぜえええ!!」
ミスリルは炎の羽根をバサッと広げると大声を上げ飛び上がる!!!
そして炎のフレアース様は火の粉を撒き散らしながら飛び去るのだった。
「フレアース様…。」
「みらい…これはこの地の緊急事態だ…このままアースウェル王の元へ向かいそしてフレアースを救うぞ!!」
風雅はそう言うと皆立ち上がる。
「うん!行こう!そしてフレアース様を救うんだ!!」
◇
◇
◇
こうして僕達はフレアース様奪還の為にアースウェル王の元へ向かう事となったんだ。
◇
◇
◇
ところ変わりここはニューエデン。
アースウェル王の城。
玉座に座るは土の大魔導師アースウェル。
彼は今とてつもない報告をうけようとしていた。
「アースウェル王よ!西のウェストハースが先日の一夜の壊滅から数日…先程その地から炎の何かが出現し天高く飛び上がったと報告がありました!!」
「なんだと!?それは本当なのか?」
「ええ…一夜の壊滅から我々の偵察隊は先まで念入りに壊滅の原因を探っていた所…それを見てしまったのです。」
「それでそやつの行った方向などは分かるのか?」
「ええ…あやつはウェストハースから飛び去るとこの国ニューエデンの上空を飛び去ったのです……その目的地は…。」
「イーステン……か……。」
「ええ…あそこには森林と山狩猟が主な産業ですが…。」
「そうだな…ウェストハースの王も国民全てが消え去るという怪異…そしてイーステンも今やどうなっているのかも分からない…そこへ上空を飛ぶ炎の何者か…タダならぬ脅威を感じる。」
すると報告をした兵士は王を真剣な眼差しを向ける。
「自分はこれからイーステンに向かいます。」
「頼む…何かあったらすぐに知らせるのだ!」
「はっ……では。」
兵士は早々と立ち去っていった。
「これは…ネージー達は無事であろうか。」
アースウェル王はそう一言呟くとため息をつくのだった。
◇
◇
◇
ところ変わりみらい達。
「あの方向はアースウェル王の方か…」
「お兄ちゃん…これは行くしかないよ!」
僕達の気持ちは決まっていた。
「まずはアースウェル王の所に行って情報を聞いてフレアース様の事を相談してみよう!何か分かるかもしれないしさ!」
「さぁ…いきましょう!この地は私が案内できますから!」
ネージーさんの声で僕達はアースウェル王が待つニューエデンに向かうのだった。
◇
◇
◇
フレアース様の行方。
そしてみらい達はこの地で起こる脅威をこれから知る事になる。
お読み下さりありがとうございました。
レビュー、評価、感想等いただけたら幸いです。
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