第77話フレアース変化の兆し

僕が気がつき目を開けるとそこは永遠と広がる大地…というか僕達は広大な砂漠にいたんだ。

どうやら僕達はケルベロスの力でこの砂漠に飛ばされたようだった。

辺りを見回しても砂埃が風で舞い視界は微かにしか見えていない。

するとこちらに近づいてくる数人の影が…。

「みらいさん!?」

僕の耳に聞き覚えのある声。

これは…飛鳥ちゃんの声だ。

「え?ここは…どこ?」

僕のその声に次に聞こえてきたのは風雅の声だった。

「みらい…気がついたか…ここはどうやらアースウェル王の支配する国ウェザルークの大地だ。」

すると僕の目の前に到達する二人。

「ウェザルーク?砂漠って景色に見覚えないけどここもウェザルークなの?」

僕がそういうと風雅は頷く。

「アースウェル王の統治する国はこのウェザルークでも巨大な国家アースウェルとも呼ばれているが正式名称は『ニューエデン』…他に二つの国があってな…一つは緑と水が豊かな国…『イーステン』そして一つはこの広大な砂丘に覆われた枯れた街…『ウェストハース』だ。」

「枯れた街ウェストハース…僕達はあの後ここに飛ばされたって言う事なのかな?」

「その様だな…。」

僕がその声の主の方を振り返るとそこにはフレアース様とダンさん…そしてネージーさんの姿もあったんだ。

「皆とりあえず無事なようで良かった!」

僕のその声に皆が笑顔になる。

「ああ…みらい!こうして無事風雅は復活出来たしな!」

「そうよ!みらい君!まずは一つずつ目的達成できたね!」

ダンさんもネージーさんも嬉しそうに言ってくれる。

するとフレアース様は一人…何かを考え込んでいる様子だ。

「フレアース様?」

「あのケルベロスの言っていたのは何だったのか…私はその事がずっと頭から離れなくてな…地上が危ういと聞いたはずなのだが…。」

「確かにそれは俺も聞いた…だがここは元からこの荒廃した大地であったのだが…ここにも国はあったはずなんだ。人の気配すらないとは…何かがあったのだろうか?」

フレアース様と風雅は考え込む。

「ならば…ここは私が偵察をしてきましょうか!?」

そう声を上げたのはネージーさんだった。

「ネージーさん?」

「私はドワーフの血を引いてますが実は犬の獣人でもあり…偵察向きでもあります!」

聞いていたダンさんも何かを考え始める。

「ネージー一人では危険だ…ここは私も行こう。」

そう言ったダンさんの身体は炎に包まれる…そしてその身体は深紅の鱗に覆われ口は耳まで裂け鋭い目をしたサラマンダーの姿と化したんだ。

「ダンさん…」

「大丈夫だみらい!私達に任せておけばいい。」

ダンさんがそう言った瞬間!!

「うぐっ!!!ぐああああーーーーーっ!!」

辺りに響き渡るフレアース様の突然の叫び声!!

「えっ!?」

「フレアース様!!??」

フレアース様の叫びは二人を足止めしてしまう。

飛鳥ちゃんと僕はフレアース様に近づこうとすると僕達の動きを止めるかのようにフレアース様の手がそれを遮る!!

「うっ…うくっ……ううううぅぅぅぅぅっ!!」

フレアース様は苦しそうにもがいているも僕達にはどうする事も出来ない!!

「フレアース様!?」

そこへネージーさんは魔法剣を翳す。

「魔法剣って攻撃魔法しか使った事ないけどっ!!」

「ネージーさん!!??それは!?」

僕の声にネージーさんは叫ぶ!!

「安心して!ヒールを魔法剣で放ってみる!ヒールスラッシュ!!!」

スシャーーーーーッ!!!

眩い光がフレアース様を包み込む!!

「やったのか!?」

「フレアース様!??」

ダンさんも飛鳥ちゃんも見ている事しか出来ない。

すると突然フレアース様の全身から炎が吹き出しフレアース様本体を包み込む。

「ダメか!?」

「みらい…フレアースに何か隠されてるかもしれん…。」

「風雅?それってどういう事?」

「ちょっと待ってろ。」

風雅はそう言うとフレアース様に近づいていく。

「フレアース…ゆるせ。」

次の瞬間…風雅はフレアース様を抱きしめる!!

すると燃え上がっていたフレアース様の炎が徐々に弱まっていく。

「おお!?」

「これは…。」

僕もダンさんもじっと見ている。

すると次の瞬間…風雅はフレアース様の唇を奪う。

「お兄ちゃん!?」

「風雅!!??」

その光景に驚き僕と飛鳥ちゃんの声が上がる。

すると燃え上がっていた炎はどんどん弱まっていく。

「ん……あ………風雅……。」

「……………」

フレアース様は徐々に気がついてきたようだ。

そしてフレアース様の炎はおさまっていくのだった。

「お兄ちゃん!?」

飛鳥ちゃんの声に気がつくと風雅はフレアース様からその口をそっと離す。

フレアース様は弱々しくペタンと腰を地につける。

「ありがとう…風雅。」

「大丈夫なら良かったフレアース。」

どうやらフレアース様の狂乱化は一時停止したようだ。

「突然…意識が消え去り…何者かに意識をとられそうになったのだ…これは…一体。」

「そんな事が…。」

「もしかしてあの…ミスリルの何か…とか!?」

僕の声に続ける飛鳥ちゃんの声。

僕達の周囲は静まり返る。

その時。

フレアース様の身体は再び炎に包まれたのだった。

ボウッ!!!!!

まさかのフレアース様の暴走を止めた風雅だったが…再びフレアース様から炎が溢れ出す!!

果たしてどうなる!?

お読み下さりありがとうございました!

レビュー、評価、感想等いただけたら幸いです。

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