第63話アースウェル王

アースウェル王の元にひれ伏す『レイモンド』は語る。

「アースウェル王よ…急な対応に感謝致します…。」

アースウェル王はレイモンドの言葉をじっくりと待つ。

「イーステン王からの報告です…イーステン山脈の大洞窟から魔物が大量に出てくる報告が多発しました。」

「なに?あの大洞窟からか?」

「はい。」

「それでイーステンはどの様な状況だ?」

「我がイーステンも部隊はご存知の通り強固な部隊…簡単にはやられはしないのですが…魔物を率いてる者がずば抜けて強力な敵が現れたのです。」

アースウェル王は眉を顰める。

「その敵とは…?」

「魔幻獣…十二魔人の一人…。」

「最近邪馬国もそやつらに荒らされ…だがある者達に救われた…とか。」

「そこで…我がイーステン王もアースウェル王、そしてウェストハース王とこの状況を話し合うべきとの事…そしてこの事は魔導協会にも報告を…。」

「ふむ…魔導協会にはもう報告をしたのか?」

男はアースウェル王を直視すると答える。

「いえ…まだそちらまでは……」

「では…この報告の事は内密にしておいてはくれぬか?」

「ですが…アースウェル王…。」

「お主とは大分昔からの中である…我はお主に絶対の信頼をおいておる…そこで話すが最近…奴らの動きがきな臭くて仕方ないのだ…だからこの事はまだ我とお主の中の話にしておいてほしい。」

「ははっ…ところでウェストハース王の所へはどうしましょう?」

「…ふむ……奴の事は我は昔からどうしても好きになれぬのだ…だが今はそうは言ってられぬな…このまま向かってくれるか?」

「はっ…アースウェル王の名をお借りしても?」

「ああ…もちろんである…頼んだぞ。」

こうして男はアースウェル王の元から旅立ったのである。

「頼むぞ…レイモンド。」

するとそこへ入れ替わりにある男が現れる。

「魔導協会より王へ挨拶との事です!!」

(奴らめ…何かを嗅ぎつけたか……。)

「あいわかった!入るが良い!」

アースウェル王の元へ一人の男が現れる。

元々魔導協会とはこの世界の平和そして秩序を守る為のこの世界の『法』である。

誰もがこの世界に生きる者には当然の常識。

その法が我の元へ何かを調査をする為にきたのであろう…。

するとその男はアースウェル王の元へ現れる。

男は全身ローブ…魔導協会の証しといえる白いローブに首には魔導士のネックレスを付けている。

そして脇には二人の従者を従えていたのだ。

代表の男はアースウェル王の前に辿り着くとフードを脱ぐと若き一人の男。

その男は口を開く。

「私は魔導協会本部部隊長…名を『ハデス』早速だがアースウェル王に魔導協会の本部としての発言をさせてもらう。」

「ハデス…とな……では続けるが良い。」

「それでは…邪馬国の危機がこちらにも報告が来ていたかと思う…我が魔導協会にも依頼は来たのだが気がつくと終わっていたのだ…ここにも救援に向かってくれと依頼は出したはずだが…。」

アースウェル王は考える表情をする。

実は邪馬国の危機と同時にウェザルーク大陸の南国ウェストハースでとある事件がおきたのだ。

南国ウェストハースは年間の温暖な気候に作物が取れる事で有名なのだ…国を上げて農業に力を入れている…この国があるモンスターによりとある作物が荒らされてしまったのだ。

その被害が国の作物を全滅しそうな勢い…業を煮やしたウェストハース王はアースウェル王にも声をかけ被害をもたらした者達を退けに行くのに手を取られてしまっていたのだ。

「邪馬国には…沖田初め、風雅と手は揃っていると思ってはいたのだが…。」

「風雅?…あの戦いであやつが魔幻獣十二魔人に加担した…としたらどうする…。」

「なにっ!?」

アースウェル王の表情が変わる。

そしてその驚きの表情に男は続ける……。

「魔幻獣十二魔人の脅威は貴方達…魔幻六芒星にも影響を与え始めている…フレアースは救われたが…風雅は消された…。」

「なっ!?風雅がやられた…だと?」

「ああ…風雅はフレアースの息のかかったある者達の手により消されたのだ…。」

「あの風雅を…。」

男は目を閉じ言葉を続ける。

「我が魔導協会本部ではこの一件で首謀者『フレアース』が魔幻六芒星を手中に治める為にこの事件を起こした事と考えている…。」

「バ…バカな……あのフレアースがそんな事を考えるはずではなかろう…。」

「そうか?だが風雅を倒したのはフレアースの弟子ともいうべき『みらい』とかいう異世界人だ…。」

「異世界人…だと?」

「ああ…お前なら分かるだろ?何を考えてるかも分からない異世界人の身勝手なやり方を…。」

「ああ…それは…わかっている…おかげで俺達ドワーフ族は…。」

「大方フレアースを偶然にも救う事ができ…うまく言いくるめ今回の風雅を消す事件を起こしたのであろう…。」

「何がいいたい?」

「その連中が風雅を消した後今フレアースを引き連れこちらに向かっている…という事だ。」

「何っ!?」

「数日中にもここに到着するであろう…。」

すると男は立ち上がる。

「我々魔導協会本部はお前が助力を求めるならば力を貸すとしよう…いつでも言ってくるが良い。」

魔導協会本部部隊長ハデスはそう言うとアースウェル王の元を去っていったのだ。

ハデスの虚偽の報告によりアースウェル王はフレアース…そしてみらいを敵と認識してしまう…果たしてみらい達はどうなる!?

お読み下さりありがとうございました!



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