第42話作戦会議

僕達は沖田さんの元、改めて作戦会議をおこなう事となったんだ。そこでいよいよもって我らがダンさんの登場である。

「ではここからはこちらの力もある程度把握している私がこの場を仕切らせて貰うことにするよ。」

皆が頷き話は始まる。まずは沖田さんから現状を聞く事になる。

「皆様!本当にこの場を借りてまずはお礼を申し上げる。」

深々と頭を下げた沖田さんは皆の顔を見回すと語り始めた。

「まず、事の発端はこの国の西の最果てである『那珂なか』から緊急の報せが届いた事から始まる。」

邪馬国はここ江渡守えどのもりを中心に西の都、逆に北に進むと仙卿せんきょうそして最北端の北陵ほくりょうその反対が問題が起こった最南端の那珂なかの小さい島国ながらも五つの地域に分けられており、その那珂で事は起こったのです。我らこの国を防衛する侍の部隊『誠桜せいおう』は問題が起こるとその場に行き解決へと導く部隊なのですが、部隊は二つ存在しておりまして僕の陽の部隊ようのぶたいと、あの…風雅が率いていた陰の部隊いんのぶたいの二つで活動をしていました…。

ある時、最南端の地、那珂なかより突然の救援の依頼が入ったのです。暗部であり偵察も最も得意な陰の部隊の風雅にこの件の話をしたのです…。

「風雅よ、急な依頼すまないな…。」

風雅は僕の話を聞きながら準備をしている。

「いや、聞いた話では緊急性を伴いそうであるし俺が行こう!風もそう言ってるしな?」

「また風に聞いたのか?相変わらずだね君は?」

僕が少し呆れた様子でそう言うと風雅はニコリと笑う、そのとても清々しい笑顔に僕も笑顔になってしまう。

「まったく、まあいいや、じゃあ頼んだよ!」

そう言って別れたのが僕の知ってる優しくて素晴らしい仲間であった風雅の姿だったんだ。

「……その後、風雅は帰ってこず、那珂は壊滅したとの情報だけがこちらに入ったのです。風の魔道士であったあの風雅は僕と同等、剣技においては僕が勝った事もあるが根本的な魔力と力は僕以上だったんだ。」

そう言った沖田さんの顔がかげっていく。

「僕の第二の理解者だと思ってた風雅の身に…きっと何か起こったんだと僕は思っているんだ。」

僕はそんな沖田さんに質問する。

「風雅さんはもしかしたらきっと何かの事情があって今敵の大将になってるのかも!?だから皆で元の風雅さんを取り戻す事を考えて行動しませんか?」

僕がそう言うと飛鳥さんも口を開く。

「ありがとうみらい殿!拙者もそう言っていただけると助かります。」

「じゃあこの戦いは風雅奪還に重点を置くとしよう!これに異議があるものはいるか?」

ダンさんが意見を問うと皆一同に頷く。

「では、今の戦況と攻め込まれたと言われた西の都の情報が知りたいな、これはどうすればよいか。」

確かに今の西の都の情報は知りたい。僕達がそう思っているとコンコンと部屋の扉をノックする音が聞こえたんだ。

「どうぞ、、、入ってもらって構わないが。」

沖田さんがそう言うと来客の声がする。

「では失礼するよ。」

そう言いながら入ってきたのは何と僕達が途中から一緒に連れてきた行商人の姿だったんだ。

「あれ?油揚げ屋のおじさん!?」

僕がそう言うとニコニコしながらおじさんが入ってくる。そして僕達の目の前を通ると皆の前に立ちその口を開いたんだ。

「皆、ここまで本当に御苦労であった。皆には出会った時から首都であるこの江渡守えどのもりまでの安全な警備をしてもらって無事に辿りつけた事本当に感謝しておる。」

油揚げ屋のおじさんはニコニコしながらそう話したんだ。

「いや、僕達もここにくる旅だったから全然気にしなくていいよ!皆で無事に着いたんだからさ!」

「その謙虚な所も気に入ったぞ!さて、皆が困惑の目でワシを見ているのだがそろそろ正体を明かそうかの。」

おじさんはそう言うと自分自身に魔力をためる。そしておじさんの身体は白い水蒸気で覆われていく。次の瞬間僕達の目の前に現れたのは狐の獣人だったんだ。

「「おおおおぉぉ…」」

皆が声を揃えその光景に驚き声にだす。すると狐の獣人は口を開く。

「拙者は西の都の主、名は柚子葉ゆずのはという、以後よろしくの。」

「「えええええええぇぇぇぇ!?」」

その言葉に誰もが驚く、でも沖田さんだけはきっと分かってたのだろう…落ち着いている。すると沖田さんは柚子葉さんに向かい跪く。

「お久しぶりです、西の主よ。」

「本当に久しいの沖田よ。この間会ったのは三年ほど前かの?」

「ええ、あれから僕も…おっと、今はそれ所ではありませんな、で…あなた様が一人でここまで来られたという事は西の都は…」

沖田さんのそんな表情を察してか西の主は沖田さんの肩をポンポン叩くとニヤリと笑い答える。

「今頃拙者の幻術で都は保護しているからな、敵さんは幻術兵と戦ってるだろうよ!?あーっはっは!」

そう言って西の主さんは笑う。この人が西の都の主様か、なんとも豪快な人だったんだ。僕がそんな事を考えてると西の主さんは顔をキリッとしめると口を開く。

「これより西の都今の状況を伝えるぞ、敵は拙者の幻術に時間かからず気づき、それにより怒り狂ってこの江渡守えどのもりに一気に攻め込んで来るであろう、そこでこの地に拙者はこれから幻術をかける!そして攻め込んできた敵を皆の力を借り殲滅する事にする!皆の者よいか!?」

「はっ、拙者達は総動員でこの地を守り抜きます!」

沖田さんのその言葉に僕達も頷き彼に習う。

「これでよいか?天草よ…?」

西の主様はそう言うといつの間にか天草様が主様の隣に座っていたんだ。

「感謝する、柚子葉…」

「気にするな、天草よ、拙者の力も存分に使いこの邪馬国の窮地を救おうではないか!?」

そして沖田さんが立ち上がる。

「皆さん、ではこれから対風雅討伐の為の陣をひく!西の主様の情報ではきっとそう遠くかからずしてここまで風雅達は来るだろう。」

「では皆!私達でこの邪馬国を救う為に今こそ力を使う時だ。」

ダンさんが僕達の指揮をとる!僕、サイリスさん、ダンさん、レイオール、飛鳥さん、そして沖田さん、皆の気持ちが今、一つになる…僕達は勝って邪馬国を守るんだ。

こうして僕達は対風雅戦の為に、ここ江渡守えどのもりに陣を構える。まずは柚子葉ゆずのは様の力で江渡守えどのもり全体に幻術で幻影を作り出す。そして街の前に陣取る僕達がいる。

「これなら二段構えだし防御は完璧そうですね?」

僕は隣にいる沖田さんに声をかける。すると沖田さんは答える。

「ええ…ですが、あの風雅の力は計り知れないものがあります、それにあなた方が到着前に僕の元へ来た魔幻獣十二魔人の一人、鳥の魔人と呼ばれる者の強さは僕がまるで赤子の様だった、ゆえに心してかかりましょう!」

沖田さんのその言葉に僕達は気を引き締める。すると、一陣の風が辺りにふきあれだす!!

「きたか!?風雅!!??」

沖田さんが叫ぶと風は小さな竜巻を三つほど現れ次第に三つの竜巻が大きくなっていく。

「うわっ!?」

僕は思わず顔を腕で隠す!そして次第に三つの竜巻は収まっていく。すると僕達の目の前には三人の恐ろしい魔力を放つ魔物が姿を現したんだ!!

多分敵であろう三人の魔物は一体何者なのか!?戦いの火蓋が切って落とされる!!

お読み下さりありがとうございました。






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