第38話隠里
レイオールの攻撃で現れた敵を粉砕し隠里へと進む僕達。どこまでもその道を進むと段々と道は細くなっていく、そして岩山の脇道を進み、その道も次第に細くなっていく。
「これは…結構凄い道だね…」
僕が呟くと飛鳥さんは答える。
「本当にこんな道をすみません、、、ですが隠里はそう遠くはなくなってきました、この山を超えて下山していくともうすぐ隠里のある樹海に入ります。」
「そうなんだね、分かったよ、でも僕達は大丈夫だよ。」
飛鳥さんの申し訳なさそうな表情に僕は笑顔で返すと飛鳥さんも安心したような笑顔で応える。
「皆さんありがとうございます。」
僕達はまず、頂上を目指す。流石にこの邪馬国一の標高の山、辺りは雲が自分達よりも下に見え眺めは最高だった。
「うわあ…本当に凄い景色ね!兄さん!」
「ああ…これは中々お目にかかれない景色だな」
サイリスさんもダンさんもその光景に見とれていた。すると飛鳥さんが口を開く。
「凄いでしょ?この山は邪馬国の象徴でもある山なのです!さて…あの頂きが山頂で後は反対側に下って行けば隠里に辿り着きます。」
僕は自分の元の世界の富士山には登った事はなかったからこの登山は貴重な経験になったんだ。
「さあ、じゃあ飛鳥さん達の隠里まで頑張ろうよ!」
僕が一言声をかける。皆も頷き僕達はまた歩き出したんだ。
◇
◇
◇
僕達が頂上に向かって歩いていると脇道に一人の少女が寝ていたんだ。
「あれ?あんな所で寝てる子がいるみたいだよ。」
僕の一言に返すダンさん。
「ん?こんな所で寝てるなんてな…倒れているのではないだろうな?」
「私が声かけてみるね?」
サイリスさんも興味を持ったようだ。
「こんにちは!こんな所で大丈夫ですか?」
サイリスさんの声と僕達がジロジロ観察していた事に少女は驚き跳び上がる!
「うわああああっ!?えっ?えっ?ここはどこ?あれっ?」
少女はそう言うと辺りをキョロキョロ見回している。
「あれっ?あれっ?ねえねえ君達!亀君見なかった!?」
「えっ!?誰?亀君?」
僕がそう返すと少女は焦って周りを見ているようだ。焦っている彼女は僕達の事など気にしてないようだ。
「亀く〜ん!!もうゴールしたーーー??」
少女が叫んでみたが反応はない。
「うわああああっ!?もう帰っちゃったのかな?はぁ〜これで二勝二敗かぁ…。」
少女は溜息をつきガッカリしている。
「君…大丈夫?」
僕が問いかけるとガッカリしたその顔で僕を見て答える。
「ふぅ…僕は『
眠兎と名乗る少女は肩を落としてまた溜息をつく。
「はぁ…次で決着着いちゃうけどさ、僕何故かこの辺に来て寝ちゃてしまうんだ…本当なら足の遅い亀君に僕の足で負ける事ないのにさ…。」
あれ…この話ってどこかで聞いた事があるぞ…僕がそんな事を考えていると飛鳥さんが口を開く。
「そうなんだね、でも拙者達は先を急がなくちゃならないので悪いけどこれで…」
「ちょーっと待って!」
眠兎が僕達を止める!っていうか僕の前に立って止めてくるし進めないよ。
「でもさ…僕達もちょっと急いでてさ。」
僕はそう言うと眠兎は目をうるうるさせてこちらを見てくる。こんな小さな少女が訴える様な目をしている。
「わかったよ…じゃあ僕達に着いてくればいいよ!途中で亀くんにも会えるかもしれないしね。」
僕がそう言うと皆仕方ないなとやれやれと首を振りながら溜息をついている。
「じゃあ、危ないし大人しくお姉ちゃん達に着いてくるのよ!」
サイリスさんもそう言うと眠兎はニコニコ笑顔になる。
「わかった!お兄ちゃんもお姉ちゃんもありがとう!」
僕達は眠兎を加え山を下山する事になったんだ。
◇
◇
◇
僕達が下山を初め数時間…眠兎が突然何かを発見する。
「うわああああっ!!お姉ちゃん達!あそこに木の実がなってる!?」
眠兎は叫ぶと木の実がなってるという木に猛ダッシュしていく。あんなはしゃぎ方するなんて本当に子供なんだな…僕はそう思い声をかける。
「それって何の実?」
「これはももぶどうの実!凄く美味しいよ!僕の大好物なんだあ!」
そう言って見せてくれた実は紫色の桃みたいな実だった、中は紫色の果肉らしく眠兎の口の周りは紫色に変色していた。
「ぷ…くくく…あははははっ!」
僕はその顔に思わず笑ってしまう、そんな僕を見て眠兎はプクっと頬を膨らませている。
「そんな笑っちゃダメだよお兄ちゃん!ほらほら食べてみて!」
「うわああああっ!んぐっ!」
僕の口にももぶどうの実が突っ込まれ口を塞がれ口の中に桃と葡萄の中間の甘くて美味しい味が広がる。
「んん?これ…美味しい…。」
僕の口から思わず一言漏れる。眠兎は僕を見てにっこり微笑む。
「でしょ!?美味しいでしょ!?僕はこの実が大好物でこの山はどこの山よりももぶどうがなるからここに住み着いたんだあ!」
「そうなんだね!確かにその気持ち分かる気がするよ!」
「でしょでしょ!?」
眠兎は屈託の無い笑顔で答える。こんな子もいるんだ、この国も本当に素敵な国なんだな…守らなきゃ!僕は新たに思いを強くするのだった。こうしてまた僕達は歩き出すと少し先に小山が見えてきた、だけどその山は少しづつ動いてるようにも見える。すると眠兎が驚き叫びだす。
「あーーーーーっ!?亀君ーーーーー!!」
「「えっ!?えーーーっ!?」」
僕達は思わず声をあげる。眠兎の声に気がついたようにその小山(巨大な亀)は首を伸ばしながらこちらを振り向く。すると驚いた事に声を出したんだ。
「おいいいい!眠兎ぉぉ!どこに行ったのかと思ったけど今来たのか?」
僕はついその事に驚き声に出してしまう。
「亀が…!?」
「「喋った!!?。」」
皆も驚くのは仕方ない、亀が言葉を話したんだから!?僕達が驚いてると眠兎は亀に話しかける。
「僕さ、また眠くなって寝たらいつの間にか抜いてったんだもんな…起こしてくれたら良かったのに…」
眠兎はそう言うと飛び上がり亀の甲羅の上に乗る。
「よし!じゃあ亀君!?また僕が負けたし麓の川まで行って魚を取ってあげるよ!」
「おお!じゃあ今日は川魚だな!いくぞ眠兎!?」
二人は元からあんなに仲がいいんだな、僕がそう思っていると眠兎はこちらを振り向く。
「じゃあ、お兄ちゃんもお姉ちゃんもありがとう!まったね~~~!!」
眠兎は明るい笑顔でこちらに挨拶をすると巨大な亀とゆっくり歩いて行った…と思われたのだが、なんとその瞬間!!亀が突然猛ダッシュして僕達の目の前から消えていったのだった。
「あれ…亀…だよね…?」
「そう…だね…」
僕の問いに答えてくれるサイリスさん、すると飛鳥さんが冷静に目の前の先を指さす。
「見てください!もう樹海に入りますがこの樹海は迷いの森とも言われ歩いていると遭難しやすい森なのです!隠里には拙者の後を着いてきてください!」
飛鳥さんはそう言うと前を歩き出す。そして僕達はその後を追うのだった。樹海に入り先程から同じような道を進んでいるとレイオールが口を開く。
「さすが樹海と言うだけあってさっきから同じ道ばかり歩いている気がするのはオイラだけか?」
「いや…私もこの森でもう訳が分からなくなっているよ。」
ダンさんもレイオールの意見に同意している。確かに僕も歩いて来ていて同じ景色ばかり辿っている気がする…そしてひたすら飛鳥さんの後を追って辿り着いたのは大樹の裏側に隠れるようにポッカリ空いていた洞窟の入り口だったんだ。
「さあ…着きました!ここが拙者達の隠れ里の入り口です。」
こうして僕達は無事に飛鳥さん達の暮らす隠れ里に辿り着いたのだった。
◇
◇
◇
来る途中、出会った眠兎とは一体何者なのか。
隠れ里に到着したみらい達はいったいどうなる!?
お読み下さりありがとうございました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます