第37話海を越えて

僕達が海へ出てしばらく経つと突然モンスタークラーケンに船は襲われてしまう。そんな中サイリスさんはいとも簡単にクラーケンを倒してしまったのだった。

「凄いですサイリスさん!」

「また強くなったんじゃないサイリスさん!?」

僕達はサイリスさんの圧倒的な強さに感心してしまう。するとサイリスさんは槍を見ながら呟いた。

「この槍には大切な想いがあるの…この槍が私を強くして守ってくれる…。」

僕達は強くなったサイリスさんの思いを感じたんだ。さあ行こう!邪馬国へ、僕達は全員前よりずっと強くなったんだ。

こうして僕達を乗せた船は邪馬国への進路を順調に進めたんだ。

時を同じくしてここは邪馬国、『江渡守《エドノモリ』魔幻獣十二魔人の一人虎の魔人『風雅』が江渡守に進行中との状況報告。敵を迎え撃つ為の兵を指揮する『沖田蘭丸おきたらんまる』は皆を集め作戦会議を行っていた。

「皆…よく聞け、今の戦況としては風雅軍は魔獣を従え戦力とし…邪馬国の地方都市の制圧をしてきている。よって拙者は古来よりこの地の争いの影の功労者である忍達に応援を要請している。まだそこからの情報は来てはいないが…」

すると幹部の一人が声を上げる。

「沖田殿…西にある都からも被害続出の一報も入っているという話ではないか…それはどうなっているのだ?」

沖田の顔に一瞬焦りの表情を浮かべる。

「風雅軍はこの邪馬国を西の最南端から制圧、進軍している模様…先程入ったばかりの話では西の都に入ったとの情報です、いずれ西の都が壊滅してしまったら、この首都『江渡守エドノモリ』に攻め込み邪馬国制圧、この地は魔幻獣十二魔人の手に落ちてしまう事でしょう。」

幹部の皆がザワつく。そして一人が発言する。

「そうだ!?世界の魔道協会にはこの報せはしておるのか?」

沖田の顔は暗いまま答える。

「なぜか…連絡網が途絶えてしまい…この邪馬国は孤立無援という状況です…。」

「「なんと…。」」

他の幹部達も動揺しザワつく。

「そこでまずは西の都の状況把握と戦力の補強を早急に行って…」

ドオオオオオンンン!!

沖田の話途中、建物に突如巨大な地震と爆音がおきる!!

「「何だ今の地震は!?敵襲か?」」

幹部のざわめく声…すると外から何者かの声がし慌てて窓を開け沖田が外を見る。

「はいはーい!皆さんこんにちは!!」

広場にはこちらに向かって話しかける何者かがいたのだ。沖田は外に飛び出していく。走りながら先程の者の事を考えながら。

(あれは何者だ…)

そこに立っていたのは若そうな、年は十五~十六歳くらいの女の子…いや、姿から見てくノ一だろうか…?ニコニコと腕組みをしながらこちらを見ているのだった。

沖田は、その子を前にし息を整える。

「お前は…何者だ?ここへ何をしに…」

沖田がそこまで話すとくノ一らしき者は沖田の目の前からフッ…と音もなく消える。

「なにっ!?」

そして沖田が気づくと沖田は背後から首を締められ押さえつけられる。

「うぐっ…ぅぅぅぅ。」

「動かないでよね…あたしは魔幻獣十二魔人の一人…鳥の魔人、『咲楽さくら』…よろしくね!外敵討伐本部隊長の沖田さんっ!」

咲楽はそう言うと締め上げを強くする。

「うぐぅっ…」

沖田は身動きが取れずにいると咲楽は語る。

「いい?あたし達十二魔人はまず、この邪馬国を制圧してその後世界をあたし達の世界へと変える為にお祭りを始めたってワケ!わかる?」

咲楽は続けて淡々と語る。

「まあ、あたしは今はこうしてお手伝いに来ただけだからさー!後は虎と兎さんでこの邪馬台国はあたし達の手に落ちて終わりよ。」

「まあ、せいぜい足掻いてみる事ね!?じゃあねえ!!」

咲楽はそう言うと背に生やした羽根を羽ばたかせ空へと消えていくのだった。咲楽に捨てられ地面を転がる沖田。

ドサッ!!

「はあはあ……くそっ!?あれが魔幻獣十二魔人の一人か…確かに強力過ぎる敵だ…援軍を増強せねば…。」

沖田は、そう言いフラフラと立ち上がるのだった。

みらい達はその後、何とか海を渡り出航から約三日後邪馬国に辿り着いたのだった。

(島が見えてきたぞ!邪馬国に到着だ!!)

レイオールのアナウンスが流れ僕達は邪馬国に到着した事を知ったんだ。

「邪馬国…いよいよ着いたね…」

僕の緊張感が増してくる。サイリスさんもその表情はキリッとしている。

「ええ…みらい君準備はいいかな?」

「僕は大丈夫!」

サイリスさんとそんな会話をしてると飛鳥さんの準備も整ったようだ。

「お二人とも、ではここからは拙者が案内致します。」

飛鳥さんを先頭に僕、サイリスさん、船頭だったレイオール四人は船を降り、ついに邪馬国に辿り着いたのだった。

僕達は『江渡守エドノモリ』に到着したのだけど、戦力を整える為に先ずは飛鳥さんの案内で隠れ里のある『藤山ふじやま』の麓の樹海を目指す事になったんだ。

「では、これからこの邪馬国で一番の大山を目指します!そこの麓に拙者達の隠れ里があります、着いてきてください!」

「オッケー!飛鳥さん!」

「よろしくお願いします!」

僕とサイリスさんが頷き話しているとレイオールが船から降りてきたんだけど、その装備たるや僕達はレイオールの装備に圧倒されてしまったんだ。

「レイオール…その格好は何さ?」

僕がそう問うとレイオールは笑って答える。

「何って格好いいだろ!?」

レイオールの姿はまるで海賊の様な姿をしていたんだ。

「そのキャプテンハットに海賊衣装にその手は…」

レイオールは得意げな顔をして答える。

「これか?これはカギ爪型のオイラの新武器だ!そのうち披露する事になるさ!」

「そ…そっか!期待してるよレイオール!」

僕はそう言うとレイオールは嬉しそうにカギ爪を撫でていた。

(すっかり海賊気分だなレイオール…まあいいんだけどさ!)

僕はそんな事を考えてると飛鳥さんが先頭に立つ。

「皆さん!ではこれより出発します!」

こうして僕達五人は隠里目指し出発したんだ!

一方その頃…隠里では飛鳥を待つ面々が揃い話しあいが行われていたんだ。その中でも長老と呼ばれる老人が口を開く。

「皆の者!必ずや飛鳥が我々と共に戦ってくれるであろう者達をここへ連れてきてくれるはず…それまでは戦況を見てじっと耐え忍ぶしかあるまい。」

するとそれを聞いていた若者が口を開く。

「ですが長老…もう、今や最後の我々の暗部も

西の都に加勢に行きましたが昨日壊滅したと話は聞いた、このままでは西の都も時間の問題、この地を奴らは進軍し、首都である江渡守えどのもりを落とすのに時間はかからないはずです…。」

戦闘で酷い怪我をおったであろう若者は悔しがり拳を硬く握り震える。

「我々はあの西の都での戦いに敗れ、何とかこうして命からがら逃げ帰り今こうしているのだ、もう少しだけ、飛鳥を待とうではないか。」

長老はそういうと若者の肩を叩き諭す。

(飛鳥よ…頼む……間に合ってくれ…。)

僕達の旅路は飛鳥さんの話では、いつ何処で、何が起こるか分からない状況である為、大きな通りは通らず山手の道を進む事にしたんだ。大通りはこんな状況の今、誰も道を歩いてはいないみたいだが僕達はあえて山路を進む。僕達が歩いていると目の前に大岩が道を塞いでいたんだ。

「うわ!おっきな岩!避けて歩いて行かないと。」

僕がそう言った瞬間その大岩はグラりと動くと突然の咆哮!!

「ぐおおおおおっ!!」

「こいつは、大鎌タヌキ!!こんな時に!?」

飛鳥さんは叫びながらも宙に跳び大鎌タヌキの攻撃を避ける!!大鎌タヌキは強大な全身が岩に覆われ前足が大鎌の爪になってる正に化け物だ。大鎌タヌキは飛鳥さんへの攻撃を外すと今度は僕達目掛け大鎌を向け飛びかかってくる!

「うおっ!!」

「キャッ!!」

ダンさんもサイリスさんも何とかかわす!

「タヌキの割に結構早いじゃんか!?」

僕がそう言うとレイオールが次のターゲットになる!鎌タヌキは次の瞬間空中で回転を始める。

「あれは…まずいぞ!レイオール君!?」

ダンさんが叫ぶとレイオールは鉤爪を構えている。レイオールの身体は青く光りその光は鉤爪に集中していく。鉤爪から僅かに水が滴り落ちる。

「ふぅ…じゃあオイラの修行の成果試させてもらうぞ。」

レイオールが一言呟くと鉤爪から水が吹き出す!そして手を前に構えると叫ぶ!!

「海円釣り《かいえんづり》!!」

レイオールの鉤爪は水流と共に発射され鎌タヌキに向かって一直線!!鋭く鎌タヌキの身体に突き刺さる!!

「凄い!!あんな硬い大岩に突き刺さる攻撃力!!」

飛鳥さんが叫ぶとレイオールは声を上げる!

「うおおおおぉ!!」

レイオールと大鎌タヌキは水流で繋がってる状態だ。大鎌タヌキの巨体は徐々に持ち上がっていくと大鎌タヌキはレイオールの攻撃によりピクピク震えながらもがいている。

「トドメだ!『アシッドブルー!!』」

レイオールの放つ水は紫色の浸蝕の水へと変わり大鎌タヌキの身体を腐敗させていく。

ジューッ!シューッ…大鎌タヌキの身体が溶けそれにより白い水蒸気が発生していく。

「ぐおおおおおっ!!」

そして…みるみるうちに大鎌タヌキは腐敗し消えていったんだ。

新たなレイオールの能力発動!そしてみらい達は先を急ぐ。

お読み下さりありがとうございました。




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