第28話らいと覚醒
僕達フレアース様救出部隊全員、そしてフレアース様、精霊フレーネは怪物ファノタウルスを目の前にしている。さあ…今度こそ最終決戦だ。
「ちょっとだけ離れていてくれ!」
らいとがそう言うとフレアース様の前に立ち魔法を唱えるレイオール。
「ウォーターマジックバリア!!」
レイオールの魔法は全員を更に包み込む。二重バリアが施されたようだ。僕は思わず中から手を壁に押し当てる!するとスーッと壁に吸い込まれそのままバリアの外に出てしまった!
「あれ?このバリア……」
僕のつい口から出てしまった言葉がそれだったんだ。するとそのままバリアの中から笑いながらズカズカ出てくるらいと。
「なんだよ簡単に出れんじゃん!」
その行動にレイオールはため息をつき答えたんだ。
「はあああああ……外からは絶対防御を誇るこの魔法だけど中からはそのまま出てこれるんだよ。」
「そうだったのか!わあったよ!じゃあ皆!そこから出てくるなよ!」
らいとがそう言うと皆が顔を合わせてポカーンと口を開けている。あのフレアース様までもが何言ってるんだみたいな顔をしていたんだ。するとダンさんがフルフルと身体を起こしてこちらに話しかけてくる。
「らいと君…私も戦うから回復してもらったら行くから待っててくれ…。」
「今は任せてろよ!おっさん!」
らいとのその言葉に痺れをきらしたかのようにファノタウルスが大声をあげる。
「揃いも揃って貴様ら全員俺様に早くやられたくてここに来たのか…!?」
「何言ってるのさ!アンタは大親友のフレアースをこんなにしてくれて!許さないんだから!!」
怒って精霊フレーネはファノタウルスに怒りをぶつける。するとファノタウルスは大笑いをし始める!
「ぐあああ~~~っハッハッハ!!」
次第にファノタウルスはひきつり笑いに変わっていく。
「ひーーーっ!ひひひひひ!!やめろ!お前ら…笑わせるんじゃねえ!!?」
最後には大声をあげるファノタウルス。その声からビリビリと怒りを感じたんだ。するとファノタウルスはその力を貯め始める!!辺りの地面は振動し初めファノタウルスの身体から炎が吹き出し全身を包む!!
「お前ら!!ここで全員消し去るがいい!!」
周囲が高熱化していく。
「うわっ!凄い高熱だ!!オイラの魔法はバリアで精一杯だ!!」
◇
◇
◇
(こんなにヤバイ状況なのに僕の心の中はシン…と静まり返っている。あれ?落ち着いてる僕には何故か勝利しか見えてこない…)
自分の中に入っていた僕が我に返ると目の前にらいとが立っていた!
「ふぅ…さて…いくぞ…牛野郎!!」
らいとは叫ぶと刀を抜きもせず構える。
「なんだ…あの構えは…!?」
ダンさんが思わず声を漏らす。らいとの身体の周りからはなんの力も感じられないんだ。そして辺りは静寂に包まれる。
◇
◇
◇
静寂に痺れをきらしたように声が聞こえてきた。
「あたしがずっと持ってたあの武器の一つはね…」
精霊フレーネが語り始める。
「太古の魔石の一つ『
「まあ…あたしにはずっとただの石ころにしか見えなかったけどね!」
「そうなんですねフレーネ様!」
サイリスさんはそう言うとフレアース様も口を開く。
「あの二人が…伝説に記された者達なのかも知れない…のか。」
話を聞いていたダンさんも呟く。
「師匠…彼らはあの腕輪にも選ばれた者達なのです。」
フレアース様は驚きの表情をする。そして、にこりと笑みを浮かべる。
「この世界の古代の予言にあった『災厄』を、もしかしたら彼らなら…。」
◇
◇
◇
らいとの目の前には炎で燃え上がるファノタウルスが立ち尽くす。あまりにも無防備な構えにファノタウルスは激高していく!
「なんだ!さっきからずっとその構えのままじゃねえか!?魔法攻撃も俺様にかなわなかったからっておかしくなったのか!?」
ファノタウルスの罵声に動じず構えたままのらいと。
「それにな!この俺様にはこの大斧があるからな!そんなちいせぇ刀で敵う訳ねぇだろ!!分かったなら…消えろ!?」
ファノタウルスは一気に大斧を振り回しらいとに仕掛けていく。
「らいと!?」
「「らいと君!!」」
僕も皆もらいとに向かって叫ぶ!!
ドガーーーーーン!!
凄まじいファノタウルスの攻撃の衝撃で爆煙が立ち上がる!そしてファノタウルスは笑い叫ぶ!
「フフ…フハハハハハ!!」
「何を言ってるかと思いきや一発で吹き飛ん……!?」
爆煙がおさまっていくとそこにはさっきと同じ構えをしたらいとがいたんだ。
「「らいと!!」」
皆でらいとの名前を呼ぶとまだらいとは集中しているようだ。するとたまらずファノタウルスの猛追が始まる!!
「うおおおおぉ!!」
ファノタウルスの攻撃の嵐!!爆煙と爆風で辺りは見えなくなる!そして…。
「はあはあはあ……これで…どうだ!?」
ファノタウルスが肩で息をしながららいとの方を見るとそこにはまだ動じず構えに集中するらいとの姿が!?
「なにいっっっ!!」
ファノタウルスは震えながら悔しがっている。しかしらいとはどうした事だろうか。僕がそんな事を考えていた。
「あれは…何かの魔法…なのか…それとも…」
ダンさんはそう言うとフレアース様は何かを考えこんでいる。サイリスさんもレイオールもただただ見ているしかない。すると精霊フレーネが口を開く。
「あれは…まるで武神が宿ったかのような…。」
「確かに人間の技とは思えない動き…」
ダンさんもそう納得するしかないらいとの姿に
凄さを感じてしまう。
「あれは…正に武神石から生まれた武器の頂点なのかも…その名をつけるとするならば…【
フレアース様はそう呟く。
「なるほど!確かにらいと君になら確かにピッタリな武器だな…。あの動き…凄い。」
「だが…避けてるだけではファノタウルスは倒せぬ…どう出るらいと君…。」
ダンさんはそう言いながら視線を戻すとらいとはファノタウルスの攻撃を凄まじい動きで避けている。
「らいと!!僕も加勢するよ!?」
僕が出ようとするとらいとは叫ぶ!
「みら!少し待てよ!準備はオッケーだ!」
「えっ!?」
僕が動きを止めるとらいとは構えを深める。
「貴様…何の真似だ!?もういい!どうせまた逃げ回るだけだろ!?」
「これで終わりだ!?くらえ!!?」
らいとに火炎をさらに纏わせた大斧を思い切りふるい切りつける!!
「らいと!!」
「「らいと君!!」」
らいとが息を深く吸込み吐いていく…。
『武神…射抜き!!《ブシン…イヌキ》』
一瞬らいとの全身が光り輝く。その瞬間ファノタウルスの動きが止まる!!そのままファノタウルスは動きを止めるとピクピク震え出す!!そして激しい大声を上げ叫び転がる!!
「ぐあああああーーーーーっ!!」
ファノタウルスの苦しみ暴れ狂う姿をよく見ると斧を持っていた腕に一本の光の矢が突き刺さっている。
「なんだ…アレは!?」
ダンさんの発した言葉を耳に残し僕がらいとを見るとらいとはまたファノタウルスに向け構えている!!
「ダンさん…あれがきっとファノタウルスを仕留める僕の相棒の力だよ!」
ダンさん達に僕は笑顔で微笑みそう言ったんだ。
◇
◇
◇
お読み下さり本当にありがとうございました!凶悪なファノタウルス相手にらいとは新たな力を得て覚醒した。そして次はみらいの力が試される…と信じたい。
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